関東大会

『晴れて良かったねー』
「おお、ほんとだよ」
「凛せんぱーい!今日は差し入れ何ですかー?」
「アイツは食いもんのことばっかだな」
『赤也君だからねぇ』


一週間はあっという間に過ぎて関東大会がやってきた。
ま、特に緊張したりはしねぇ。
勝てるだけのことは今までしてきたつもりだしな。
つっても去年は俺だけズタボロだったけど。
今年は凛がいるし俺に負ける要素はねぇしな。


「んで今日は何にしたんだよ」
『サクランボのゼリーにした』
「チョコレートじゃねぇの?」
『パサパサするかなと思って。汗かくだろうし食べやすいものにしたよ』
「あーそういうことな」


青学も氷帝もいるし不動峰もルドルフも山吹もいる。関東大会は大変だよなほんっとに。
ま、今年もうちが優勝するけどな。
会場に着いて隣を歩く凛の首元をそっと確認してみると先週付けたキスマークは既に消えていた。
やっぱ一週間ありゃ消えちまうよなぁ。ちぇ。


『ブン太?どうしたの?』
「おーキスマーク綺麗に消えちまったなと思って」
『まだ残ってたら困るよ!?』
「困らねぇだろい。何言ってんだ」
『恥ずかしいでしょ!』
「それお前だけだし」
『み、みんなそうだよ!』
「んじゃ藤堂や片岡に聞いてみろよ。藤堂は今日来てんだろ?」
『うん、聞いてみる』


なんだかんだ跡部大好きっぽいし藤堂だって気にしねぇだろ。そんなあれこれ照れるのお前だけな凛。
んでそんな理由なら俺はキスマーク付けるの止めねぇからな。


「ちゃんとみんな間に合ったね」
「当たり前っすよ!」
「お前は俺が電話で起こしたのだがな」
「や、まぁ。ちょっと二度寝したって言うか」
「赤也お前はまだ一人で起きれんのか!」
「バカじゃのう。あの一言が無ければ参謀は黙っとってくれたのに」
「あれが赤也の平常運転なんだろ」
「このメンバーでの最後の関東大会ですね」
「柳生、最後とか言うの止めろって」
『柳生君も立海大には行かないの?』
「えぇ、私は医大が志望ですので」
「柳生とも丸井とも一緒にテニスが出来るのはこの夏が最後だからね。オーダーも細かく変えていくからみんなそのつもりで」
「優勝までさくさく行きますよー!」
「無論負けるつもりは無い」
「俺も蓮二と同じ気持ちだ」
「さぁて柳生との最後のダブルスじゃ」
「私も頑張らせていただきます」
「俺も、ブン太とは最後だしな」
『私もサポート頑張るね』


柳生が最後とか言うからちょっと空気がしんみりしたじゃねぇか。
まぁでも間違いではねぇし高校最後の大会気合い入れて頑張るか。
県大会で勝つのは当たり前過ぎてあんまいいとこ見せれなかったしな。


『みんな凄いねぇ』
「何が?」
『オーダーコロコロ変わるのに全然平気そうだし』
「赤也は別としても他は中1から一緒だぜ?んなもん息があって当たり前だろい」
『だって今ダブルスしてるの真田君と赤也君だよ?』
「赤也だって真田に怒られてばっかだけど尊敬はしてんだろ。アイツの目標いつだってあの三人だったからな」
『赤也君頑張り屋だね』
「そりゃ荒れた時もあったけどアイツにも他校に友達出来たからなぁ」
『同い年の?』
「そそ。ソイツらと仲良くなってからはだいぶ落ち着いたんじゃねぇの。多分だけどな」


中1の時は毎回毎回幸村達に勝負を挑んでは凹まされてたからなぁ。
中2になって高校生に混じっての合宿で青学の海堂や氷帝の日吉それと四天宝寺の財前と仲良くなって落ち着いたような気がする。あ、それと白石も。
目標は幸村達に勝つことだろうけど他校にライバルが出来たのはアイツにとって良いことだよな。


関東大会も俺達は危なげなく準決勝へと駒を進める。
反対側大変そうだったけどな。
準決勝で青学と氷帝が当たるらしいぜ。


「んで俺らの相手は?」
「山吹だよ丸井」
「意外っすねー」
「亜久津が戻ったのが大きいだろうな」
「彼高校生になって煙草止めたらしいですからね」
「鬼さんに説教され続け根負けしたらしいぞ」
「本当はあの人に言われなくても止めなければいけなかったのだぞ」
「真田が何度言っても止めんかったからのう」


あの亜久津が煙草を止めるなんてなぁ。
ま、鬼さんにしつこく言われりゃしょうがないか。あの人も世話焼きだったからなぁ。


「また今度亜久津のことも鬼さんのことも話してやるよ」
『え?』
「お前だけ話についていけてなかったろ?」
『でもテニスの繋りって広くてみんな仲良いんだなぁってのは分かったよ?』
「ちゃーんと凛にも分かるように説明してやるよ」
『気にしてないのに』
「俺がお前に知ってて欲しいんだって」
『分かった。ありがとねブン太』


去年のことはテニスのことでもあんまり知られたくねぇけど中学の時のこととかは知っててほしかった。
コイツ俺のこと好きだったくせに家の手伝いとかで俺の中学時代のテニスのこと全く知らないんだもんなぁ。


「やぁ南元気にしてたかい?」
「GWの合宿以来だな幸村」
「今日も俺達は強いよ」
「俺達だって簡単に立海に勝てるとは思ってないよ。けれど勝つ気でここに来たからな」
「楽しみにしとくね」
「幸村が出ないのなら俺達にも勝ち目はあるからな」
「それはどうかな」


準決勝のオーダーはまさかの幸村が控えに回った。
控えも順番に回してるけどここで幸村が控えなのかよ。
ま、俺達のことそんだけ信用してくれてるってことだよな。
千石も亜久津も手強いって言うのにだ。


『ブン太が柳生君とダブルス?』
「そ、高校でテニス隠居組で頑張ってくんぜ!」
「丸井君、その隠居って言い方どうにかならないでしょうか?」
「はぁ?事実だろい?」
「競技テニスとしては引退しますが趣味では続けますよ」
「なら俺と一緒だな!学校変わってもたまには一緒にテニスしようぜ柳生」
「えぇ、是非」
「んじゃ行ってくるか」
「相手は南君と東方君ですから油断は出来ませんよ」
「分かってるよ柳生。俺はもう去年みたいな負け方はしねぇ」
「その心配はしていませんよ丸井君」


凛達に送り出されてコートへと向かう。
さぁて俺の天才的妙技にアイツらどんだけついてこれっかな。


『凄かったねブン太!』
「ちゃーんと観てたんなら良かったぜ」
『ダブルスもペアの相手が変わると全然違うんだね』
「面白いだろい?」
『かなり!』
「椎名さん次の試合が始まりますよ」
『あ!スコアちゃんと付けます!』


次のダブルスはジャッカルと柳のペアだ。
こっちもあんまり観たことねぇから楽しみだったりする。
ジャッカル、柳に負けんじゃねぇぞ。


「この次が切原君ですね」
「相手が亜久津だからなぁ」
「てっきり千石君かと思ったんですけどね」
「アイツ亜久津に勝てっかな」
「彼もかなり成長したらしいですからねぇ」


凛は真田の隣でスコアを付けているので俺は柳生と試合観戦をしている。
つーことは仁王が千石と試合すんのか?
アイツ今日は誰で千石と戦うんだろなー。
まぁ赤也が亜久津と対戦すんのはいい経験になるだろ。
亜久津はこの夏終わったら海外行くらしいしなー。


幸村が見守る中俺達は山吹との準決勝を勝ち取った。
まぁこんなとこで負けてたら全国優勝三連覇なんて出来ないしな。
さぁて向こうは青学と氷帝どっちが勝ち上がってくんのかな。


『ブン太!氷帝が勝ったよ!』
「お前一人でどこ行ったかと思ったら向こうの試合観に行ってたのかよ」
『トイレのついでだったし』
「変なヤツにナンパされたりしなかったよな?」
『でも山吹の人に助けてもらったし』
「は?千石にナンパされたんじゃねぇのかよ」
『さすがに千石君は私がブン太の彼女なの知ってたよ』


姿が見えないと思ったらわざわざ向こうのコートまで観に行ってたらしい。
危なっかしいことすんなよ凛ー。
埼玉かどっかの選手にナンパされてたとこを南に助けてもらったらしい。
と言うか南じゃ結局駄目で千石が亜久津を呼んでどうにかなったらしい。
ちょっとそれ聞いて同情した。


「一人で行動すんなよ凛」
『うん、気を付ける』
「ま、後は残すとこ決勝だけだしな」
「凛先輩丸井先輩聞いてくださいよー!」
『どうしたの赤也君』
「決勝俺が控えなんすよー!幸村部長横暴っす!」
「あー」
「俺も決勝出たかったのに!」
『うーん。幸村君が決めたことだしなぁ。あ、その代わり全国の決勝は絶対に出たいってお願いしてきたら?』
「それいいっすね!お願いしてきます!」


凛も赤也の扱いだいぶ上手くなったよなぁ。
全国の決勝なら幸村は赤也のことそんな約束しなくても出すんだろうけどな。
アイツが次の立海を背負ってくんだし。


「さぁ、決勝だよ。行こうか」
「絶対に勝ってくださいよ!先輩達!」
「バーカ、誰に言ってんだよ」
「言われなくてもそのつもりだぞ」
「赤也そこでしっかりと目に焼き付けておくがいい」
「これがおまんの先輩達じゃ」
「後輩に恥じない試合をしてきますからね」
「椎名、赤也を頼む」
『分かりました』


ダブルスは俺とジャッカル。仁王と柳生のペア。シングルスは三強。
ちゃーんと柳が言ったように目に焼き付けておけよ。これが観られるのも最後だからな赤也。


試合はなかなか白熱した展開になった。
ま、そう簡単に勝たせてくれるとは思って無かったけどさ。
氷帝もやっぱりみんな成長してんだろな。
準決勝で青学倒しただけのことはあるぜほんっとに。
今は最後のシングルスの試合を跡部と幸村が対戦している。相変わらず氷帝コールすげぇな。


「何か前にもこんなことあったよな」
『GWの時だね』
「あの時はフレンチだったけど今日はそっちの意見を尊重したよ?」
「今日はお前達のために貸切にした!存分に堪能しろ!」


関東大会は俺達立海が優勝して幕を閉じた。
まぁ想像してた通りだ。
そしたらまさかの跡部からの誘いがあった。
何なら仲の良い学校勢揃いじゃねぇか。
俺と凛は跡部と藤堂と一緒のテーブルだ。
後はみんな学校バラバラで適当に座っている。
焼肉屋貸切とかマジかよ。しかもここ結構高いとこな。庶民があんまり行かねぇようなとこ。
旨い肉が食えるのは嬉しいけどなー。


『あ、結華ちゃんと跡部君にお土産』
「本当に買ってきてくれたの?」
『約束したから。あ、でも大したものじゃないよ?』
「凄い嬉しい。凛ちゃんからのお土産なら何でも嬉しいよ」
「大袈裟すぎんだろ」
「同年代からの女子からお土産貰ったなんて初めてなんじゃねぇか?」
『えっ』
「景吾、余計なこと凛ちゃん達に言わないでよ。あ、景吾のも私が預かっておくね」
「藤堂が預かってどーすんだよ」
「家に置いといても使う機会少なそうだからプライベートジェットに乗せておくの」
「それはいい考えだな結華」
「『あー』」


相変わらずスケールがバカでけぇ。
住む世界が違う人間だろうに跡部にしろ藤堂にしろこうやって楽しそうに俺達の文化に触れてくるからなぁ。面白いよなぁ。


「お前最初はタンから焼けって」
「そうなの?」
「網が汚れんだろい」
「汚れたら交換すればいいだろ?何言ってんだ」
『それはそうなんだけど焼肉は大体タン塩から焼くんだよ?』
「そうか」
「じゃあタン塩から焼くー」
「藤堂、火傷すんなよ」
『結華ちゃんもうちょっとトングの先を持って!』


跡部と藤堂と同じテーブルはちょっと大変かもしんねぇ。
アイツら生粋のお嬢様とお坊っちゃんだもんなぁ。なんでこんな時に樺地いねぇのか。
結局俺と凛が庶民の焼肉ってのを手取り足取り教えることになりそうだ。


焼肉編次回に続きます( ・∀・)ノ
2018/09/21

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