中間テスト二日目

月曜日にブン太とちはるちゃん達と最終的な試験勉強をして一日目、二日目と無事にテストを終わらせた。
みんなの様子を見る限り赤点は大丈夫そうだ。


「あーマジ疲れた」
「ほんとに疲れた」
「ちはるも丸井もお疲れお疲れ!」
「お前らお疲れー」
『青木君もお疲れ様』
「ケースケ、テスト大丈夫だった?」
「なんとか大丈夫、だろ。多分」
「ちょ!青木!私が教えたんだから赤点は止めてよ!」
「1点足らずに赤点とかありそうだよなー」
『ブン太!そんなこと言ったら駄目だよ』
「おい!縁起の悪いこと言うなよ!」


青木君だけは少し心配かもしれない。
少しだけ自信なさげだ。
1点足らなくて赤点とか一番切ないと思う。


「お前らそらそろ帰るぞ」
「おージャッカルテストどうだったんだよ!」
「俺は赤点は無いだろな」
『それなら良かった』
「ジャッカルもお疲れ!」
「腹減ったもんな」
「約束のラーメンだよね!」


わいわいとみんなで話してたらジャッカル君が迎えにきた。
ちゃんとラーメン食べに行く約束覚えててくれたんだな。
テスト最終日まで部活動は禁止ってのは良いかもしれない。
期末テストの時はクラスのみんなと行っても楽しいだろなぁ。


『じゃあジャッカル君のうちのラーメン行こうか?』
「おー行こうぜ行こうぜー」
「ジャッカル!ラーメン奢って!」
「却下」
「ケチー!」
「お前な!うちも色々大変なんだぞ!」
「冗談だってば!」
「マジで1点足らなかったらどうしよ」
「その時は私もサッカー部の顧問に頭下げてあげるからさ。大丈 夫だって!」
「つーか青木がレギュラー外れっとサッカー部がヤバいだろい」
「確かに」
『ちはるちゃんと青木君はエースだもんねぇ』


6人でのんびりとジャッカル君のお父さんがやってるラーメン屋まで向かう。


「青木がレギュラーから落ちたら県大会決勝不味いだろなぁ」
「お前らそんな脅かすなよ!」
『青木君どの教科がそんなに心配なの?』
「あー国語」
「「あー」」
『そんなに難しかったかな?』
「だよなぁ?」
「ジャッカルとちはるの反応を見る限り国語苦手さんは難しかったんだろね」
「漢字がちょっとヤバい」
「漢字がヤバいって本気でヤバいやつだなそれ」
『確かに』
「だからお前らそんなに言うなって!」
「もし赤点取ったら俺も片岡と頭下げてやるよ」
「きっと上田も頭下げてくれるよ!」


みんなで青木君をからかって楽しんでるなぁ。
ギリギリでいいからちゃんと赤点回避出来てますように。


「おじさんこんにちは!」
「おー梨夏ちゃんかい!いらっしゃい!」
「ちはーっす」
「丸井君もいらっしゃい!」
「今日はね、クラスメイト連れてきたよ!」
「俺も鈴木と同じクラスな」
「梨夏ちゃんと丸井君が同じクラスなぁ」
「んで俺の彼女でテニス部のマネージャーの」
『椎名凛です』
「サッカー部エースの」
「青木ケースケです」
「その彼女でバレー部エースの」
「片岡ちはるです」
「そうかいそうかい。うちのジャッカルを宜しくな」
「親父!何言ってんだ!」
「まぁまぁ、ジャッカル照れなくてもいいじゃん!」
「鈴木、お前なぁ」
「ジャッカル!お前も店を手伝う前にみんなとメシ食っちまえよ」
「分かったよ」
「奥の座敷空いてるからな」


ジャッカル君のお父さんのラーメン屋に到着して梨夏を先頭に中へと入っていく。
何故にジャッカル君が一番最後なのか。
お父さんの言葉にたじたじなジャッカル君が面白い。
やっぱり家でも変わらないんだなぁ。
カウンターと四人掛けのテーブル席が3つ。
その奥に8人座れる座敷が1つあった。
奥から私ブン太ジャッカル君の順に座る。
反対側は青木君ちはるちゃん梨夏の順番だ。
ジャッカル君と梨夏の関係ってどうなんだろ?
ジャッカル君が日本に来て最初の友達が梨夏ってことは知ってるけれど。


「凛、何食う?」
『どれが一番美味しい?』
「どれも旨いけどなー。最近は塩ラーメンじゃね?」
『塩ラーメン?』
「塩ラーメンとか珍しいね」
「塩ラーメンだけは魚介系で作ったんだよ。完成までに三年かかったからな」
『わ!それは凄いねぇ。じゃあ塩ラーメンにするね』
「俺はとんこつラーメンとチャーハン。それと餃子な!」
「丸井、アンタほんとよく食べるね」
「腹減ってんだよ!いいだろい!」
「お前らもメニューさっさと決めちまえよ」


ジャッカル君に促されて梨夏達もメニューをさくさくと決めていく。
青木君も結局ブン太と似たようなメニューを注文してた。勿論ジャッカル君も。
体育会系男子の胃袋は底が知れない。
梨夏が代表してみんなのメニューを注文しに行ってくれた。
そこもジャッカル君じゃないのか。
梨夏はやっぱり働き者だなぁ。


「お前んちだろジャッカル」
「何がだよブン太」
「梨夏が当たり前のように動いてるからってことでしょー?」
「そうそれだよ!」
『確かに』
「いつものことだよ。アイツが俺より働くのは」
「え?ジャッカルと鈴木って付き合ってんの?」
「いや、そんなことないぞ」
「お前はどう思ってんだよジャッカル」
「はーい!私も気になりまーす!」
「や、お前ら急にどうしたんだよ」
『お節介になりたい年頃なんだよ』
「それな!」
「なんだよそれ」


梨夏がジャッカル君のお父さんとカウンターで雑談してるのを良いことに残った私達はジャッカル君を質問攻めにしている。
だってねぇ、ちはるちゃんと青木君がまとまって後は梨夏だけなんだもん。
ブン太だって親友のジャッカル君のことは気になるみたいだし。
お節介焼きたくもなるよね。
このテスト週間の勉強会でジャッカル君とちはるちゃん達も仲良くなってくれたしさ。
それにね、私とちはるちゃんを見てジャッカル君のお父さんは一瞬心配そうな顔をしたんだよ。
ブン太と青木君の彼女って聞いて笑ってくれたけどさ。
それってねぇ、ジャッカル君のお父さん的には梨夏がそうなってくれたらいいなと思ってるんだよねきっと。


「だって梨夏がいつもあんな感じで働いてるんでしょ?」
「毎日じゃないけどな。アイツが暇な時はたまに手伝ってもらってんな。あ、ちゃんとバイト代は払ってんぞ。親父がな」
『そうなの?』
「初耳!」
「だからお前はどう思ってんのかって話だって!」
「お、俺!?」
「「「『うん』」」」


見事に私達の返事が重なった。
ジャッカル君は少し困ったように頬を掻いている。


「お前らが期待してるような答えは言えねえぞ」
「期待も何もしてねえって!」
「そーそー!」
『青木君とちはるちゃん息ぴったりだねぇ』
「この短期間にこんなにジャッカルと仲良くなるとはなぁ」
「ジャッカルイイヤツだからな」
「ねー?」
「どう思ってるってアイツには感謝してるぜ。中学から日本でさ俺最初右も左も分からなかったからな」
『梨夏も似たようなこと言ってたなぁ』
「なんだ」
「おい、だから期待すんなって言っただろ!」
「後一息だよなー」
「なー」


ブン太まで青木君達と一緒にがっかりしてるみたいだった。
いつの間にか私達じゃなくてジャッカル君をターゲットに決めたらしい。
結局ジャッカル君はどこに行ってもこんな感じなんだろうなぁ。
それも彼の人柄なんだろう。


「凛ー!ラーメン出来たから運ぶの手伝ってー!」
『はーい』
「椎名、熱いからどんぶりには触るなよ。盆のまま運んでくれたらいいから」
『分かった』
「気をつけろよ」
『うん』


梨夏に呼ばれたので私もカウンターへと向かう。
ラーメンが次々に並んでいる。
梨夏に指示されるままラーメンを奥座敷へと運ぶ。
注文した品が次々にテーブルへと並ぶ。
あっという間に全部揃ってしまった。


「うまそー!」
「良い匂いする!」
『ほんとにねー』
「食べたらもっと美味しいよ!ね?ジャッカル!」
「まぁな」
「んじゃ食うか」
『いただきます』
「「「「「いただきます!」」」」」
「凛、ほれあーん」
『え?』
「餃子一個やるよ。ここの餃子も旨いんだぞ!」
『あ、ありがとう』
「丸井が食べ物分け与えるのって凛だけだよねきっと」
「俺も中1から見てるけど初めて見たな」
『わ、美味しい』
「だろい?」
「て言うかてっきり照れて断ると思ったのになー」
「俺もそう思った」
「凛が断るわけないだろ。な?」
『うん』


ブン太が青木君に勝ち誇ったように言ってるけど少しだけ違う。
恥ずかしかったけど断ったところで無駄だろうしこのメンバーならいいかなって思っちゃったんだ。
私に食べさせるブン太の表情も嬉しそうだったし。
言われた通り餃子も本当に美味しかった。


「食ったなー!」
『あれだけ食べたらねえ』
「旨かったな!また来ようぜちはる!」
「ねー!絶対だよ?」
「そう言えばお前ら水族館は?」
「まだ行ってねえよ」
「休みがテスト週間くらいしか無いんだって!」
「『あー』」


ラーメン屋からの帰り道。
梨夏はそのままお店をジャッカル君と手伝っていくらしくお店で別れた。
確かにテニス部もインターハイまでは休みが無いって言ってた気がする。
高校最後の大会だもんね。


『どこも一緒だねぇ』
「梨夏も6月から朝練始まるって言ってたしなぁ」
「8月まではどこも大変だな」
「だねぇ」
『期末テストもあるしね』
「「「げ」」」
「凛ー!中間終わったばっかりなんだからそんなこと言わないでよー!」
「そうだよ椎名さんー!」
『ご、ごめん』
「でもまぁテストも大事だよな。お前らはスポーツ推薦だろーけど」
「「勿論!」」


二人とも随分仲良しだなぁ。
喧嘩もなく順調そうだし。


「部活引退したら夏休みにどっか行こうぜ」
「お、いいなそれ!」
「せっかくだから上田とその彼女も誘ってさ!」
『わ!いいね!』
「ジャッカルと鈴木もな!」
「「お!」」


三人とも何か企んでる顔してるけど梨夏とジャッカル君大丈夫かなぁ?
ま、三人とも楽しそうだからいっか。
後は上田君の彼女さん次第だなぁ。
クラスでの思い出作りもちゃんと考えないとなぁ。9月の海原祭があるか。


あっという間に5月も終わりだ。
高校生活も後10ヶ月で終わっちゃうんだなぁ。
わ、まだまだ先は長いのにしみじみしちゃった。
ブン太とはその後も一緒だもんね。


「凛?おい、聞いてんのか?」
『ごめん、考えごとしてた』
「またかよ」
『どうしたの?』
「上田に連絡したら千葉に叔父さんがやってる民宿があるんだと」
『話が早いね』
「お盆過ぎなら空いてるから遊びに行ってもいいらしいぜ。しかも格安でな」
『お盆過ぎならみんな部活引退してるね』
「だろい?」
『楽しみだねぇ』
「泳げっかなー?」
『お盆過ぎるとクラゲが出るよ?』
「んなもん海水浴場なら大丈夫だろい。今年は暑くなるらしいぜ?」
『それなら泳ぐのも楽しそうだねぇ』
「おお!夏も沢山思い出作ろうな!」
『うん!』


家の前までブン太に送ってもらう。
雰囲気的にキスされるのかなと思ったけどブン太は一瞬迷ったように視線を彷徨わせて頬へとキスを落とした。
あれ?どうしてだろ?
不思議に思って首を傾げると「餃子食ったからな」って照れ臭そうに教えてくれた。
私そんなこと全然気にしてなかったから後からちゃんと考えて顔から火が出そうだったよ!
私も次からは気をつけよう。
あぁもう最後の最後にかなり恥ずかしいことをしてしまった!


『もしもしブン太?』
「おーどうした?」
『私さっき全然そんなこと気にしてなくて、女の子なのにごめんね』
「んなこと気にすんなよ。お前が気にするかと思ったんだからな」
『次からはちゃんと気にする』
「や、気にならねえならいいだろ。キスさせろよ」
『やだよ!もうほんとにほんとに恥ずかしかったんだよ!笑わないでって!』
「もう次から遠慮しないからな」
『えぇ!』
「もう家に着くからまた明日な」
『あ、ごめん』
「凛のおかげで帰り道退屈しなかったから。じゃあな」
『うん、また明日』


このままじゃどうにも気持ちが治まらなかったからブン太に電話したらまさかの次からは気にしないって言われてしまった。
そんなつもり全くなかったんだよ!
しはらくはニンニク料理は食べないどこう。
と言うか気になり過ぎて絶対食べれないよ!


長くなりすぎちゃったかも。このオリキャラほのぼの回好きだったりします。8月に上田の彼女も出ちゃうからなぁ。オリキ盛り沢山で苦手な方はごめんなさい。
梨夏とジャッカルも気になる所。
最後のは初々しいカップルのあるあるだよね。口臭が気になってキス出来ないの(笑)
2018/05/18

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