男子校生三人一部屋

「なぁもう椎名さんとやったの?」
「は?」
「俺もそこ気になってる」
「丸井って手早そうだし」


凛を部屋まで送って自分の部屋に戻って早々に二人に質問された。
手が早そうって悪口じゃねえ?
既に二人はベッドに横になって寛いでいる。
俺もとりあえずベッドに入ることにした。


「で、どーなの?」
「お前らそれ聞いて楽しいのかよ」
「「かなり」」
「青木もかよ」
「俺はもうすっぱり諦めたからな」
「椎名さん結構胸でかいもんなー」
「鈴木のが大きいだろい?」


まぁ健全な男子校生が集まったらこっちの話になんのもしょうがねえよなぁ。
隠す必要もねえしな。話した所でコイツらが凛を直接からかうようなことはしねえだろうし。


「俺はおっぱいより足派ー」
「青木ムッツリかよ」
「程よく筋肉付いた足とか良くね?」
「片岡とかバレー部だしお前好みだろ」
「足だけ見たら凛より片岡だろなー」
「そうなんだよなぁ。俺、最近気付いたんだけどさ」
「まぁ身体のパーツだけで人を好きになったりしねえもんな」


青木も満更じゃなさそうだ。
これほんとに修学旅行中に何とかなるんじゃね?
上田の顔もどこか楽しそうだ。


「って俺の話はいいんだよ!」
「丸井の話だな」
「手が早そうって悪口だろい」
「てことはまだってこと?」
「んな暇ねえし」
「合宿中一週間一緒だったんだろ!?」
「テニスの合宿だぞ」
「一回二回チャンスあんだろ」
「何処にだよ」
「あ、お互いに個室じゃねえと無理か」
「凛は個室だったぞ」
「「はぁ!?」」


何でコイツら俺の話にそんな食い付きがいいんだよ。
俺が手を出さなかったのが間違いみたいに言うなよな。


「お前それで手出さなかったの?」
「わ、意外」
「うっせーな。色々あったんだよ」
「色々ってなんだよ」
「幸村に言われたんだよ。手を出すなって」
「あー幸村に言われたらな」
「確かにアイツは怖いわ」
「だろい?」
「部屋にも遊びに行かなかったのかよ」
「や、二回くらい行ったぞ」
「「はぁ?」」


コイツら良くもまぁこんなに息が合うよな。さっきといい綺麗にハモってるし。
呆れた声が俺の両側から聞こえる。


「部屋で二人きりになって手出さなかったとか」
「へたれ」
「おい上田!へたれって言うんじゃねえよ!」
「良く我慢したなお前」
「ゴム無かったしな」
「「あー」」
「幸村の一言よりそっちのが重要だろ」
「確かに」
「今は持ってんの?」
「や、まだ買ってねえよ」
「俺のやるよ」
「いらねえよ」
「つか何で上田は修学旅行なのに持ってんだよ」
「財布にいつも入ってんだよ」
「女子か!」


上田がベッドから起き上がって自分の荷物のとこでごそごそしている。
今貰う必要って全く無くね?


「お前の財布に入れといていいー?」
「好きにしろ」
「んじゃ入れとくな」
「おー」
「そういやお前って斎藤とはやったの?」
「あ?」
「そっちも気になるな確かに」
「やってねえよ」
「マジか」
「そっちはそっちで意外だわ俺」
「アイツが周りに内緒にしときたいとか言うからそんな暇無かったんだよ」
「へぇ」
「手が早いってイメージ崩れたわ」
「1年の時はそんな感じで間違ってねえよ」
「やっぱり?」
「まぁ入れ食い状態だったしな」


隠しても無駄だろうしな。
つーかコイツらなら知ってるか。
上田は俺の財布にゴムを入れてからベッドに戻ったみたいだ。
財布確認してねえから本当に入れたかわかんねえけど。


「青木は?」
「俺?中3の時の彼女が最後だな」
「あーお前って1年から凛のこと好きだったもんな」
「まぁな」
「上田はずっと付き合ってる彼女がいるもんなー」
「おー。昨日ちゃんとやってきたわ」
「その報告いらねえ」
「生々しいだろそれ」
「彼女が言い出したし」
「その報告もいらねえって」
「付き合い長いとマンネリ化とかしねえの?」
「無いな」


昨日やったとかそういう生々しい報告って聞いてる側が気恥ずかしくなるんだよな。
赤也の初体験の時の話とかもそうだったけど。
あーでもあれは結局仁王とゲラゲラ笑い話にした気がする。
あっこから赤也はそっち系の話を俺達にしてこなくなったんだっけ。


「マンネリ化しねえとかすげえな」
「彼女のが色々積極的だからなー」
「羨ましいこと言ったぜコイツ」
「椎名さんて処女?」
「お前そこまで聞くのかよ」
「中2から丸井に片想いしてんだからそりゃそうだろ」
「俺が最初の彼氏って言ってたぞ」
「良かったな丸井」
「なんだよ」
「処女って大変じゃね?」
「青木はそっち派なんだな」
「丸井は逆だろ?つーか椎名さんだからってのもあるだろうけど」
「上田、俺のこと色々分かり過ぎて気持ち悪い」
「俺もどっちかと言うと最初の男になりたいタイプだからな」
「へえ」
「青木は嫌なんだな」
「それで昔苦労したからなー」
「俺も前は気にならなかったぜ」
「椎名さんが特別なんだろ」
「おー多分な」
「確かに今までと全然違うもんなお前」
「違わねーし」
「別にむきにならなくてもいいだろ」
「大事にしてんだなほんとに」
「そろそろ寝るぞ。明日も早いんだからな」
「あ、逃げた」
「もう話すこと無いだろ」
「明日の夜もあるしな」
「明日はお前らの話聞くからな」


結局殆ど話した気がする。
あ、違うか。
跡部の話とか一緒に寝た話とかキスマークの話はしてねえや。
まぁいいか。一緒に寝ただけって話をした所でまたへたれって言われるだけだもんな。
多分あの時にゴム持ってたら止まらなかった気がする。
んで幸村はそういうのに敏感だったりすっからきっと怒られてたな。
てことはあん時にゴム持ってなくて正解だったってことだ。


俺が口を閉じたからか二人がそれ以上話しかけてくることは無かった。
やっと寝れるぜ。
明日は登別まで移動か。
また午前中移動に取られるなきっと。
登別もかなり楽しみだ。
これで凛と温泉入れたら文句無しなんだけどな。
まぁそれは追々ってことにしておこう。
目を閉じると睡魔は直ぐにやってきた。

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