立海流☆彼女の機嫌の直し方(丸井)

「なぁ幸村」
「どうしたんだい丸井」
「女って何考えてんだろな?」
「それは難しい質問だね」


だよなー。俺もさっぱり分かんねぇ。
何でアイツあんなことで怒ってんだよ。


「とりあえず椎名さんに何をしちゃったのか教えてくれないかい?」
「俺が何かした前提なのかよ」
「丸井達の喧嘩は昔からお前が原因のことが多かったからね」


せっかく仕事が休みだってのに凛がキレて会わないだなんて言うから幸村を誘ってテニスをしにきた。ラリーを続けながら何があったかを話すことにする。まぁ幸村の言うことは間違ってねぇ。


「つまり丸井はその日の有休が取れなかったってことかな?」
「申請はしといたんだけどなー出張が入っちまったんだよ」
「…ねぇ、その次の日が何の日かお前は覚えてないの?」
「凛が有休取れたからとは言ってたけど他に何かあったか?ちゃんと埋め合わせするって謝ったぞ俺」
「付き合いが長いとこうなるのかな?一番大事なこと忘れてるよ丸井」
「はぁ?」
「お前は何でこういう大事なことを忘れるかな。赤也だって彼女の誕生日を忘れたりしないよ」
「ゲ」
「椎名さんが怒るのも当たり前だよね」
「あぁ、そりゃそうだな」


やべぇ、今月頭まではちゃんと覚えてたのに仕事が忙しくてすっかり忘れてた。
そりゃ凛が怒っても仕方無いよな。あーあ、やっちまったな俺。
それが幸村の逆鱗にも触れたらしくテニスで散々しごかれた。俺はもう趣味でしかテニスやってねぇんだから五感を奪うのは止めろ!


「ちゃんと土下座して謝りなよ丸井」
「おー」
「本当に悪いと思ってるの?」
「おお!ちゃんと土下座して謝るわ俺」
「お前の浮気癖にも目を瞑ってくれてるんだからちゃんと大事にしなよ」
「なんだよ、いきなり昔のこと言うなって」
「お前が知らないと思ってるだけで椎名さん全部気付いてたからね」
「マジか」
「それでも別れずに丸井と一緒にいるんだから大事にしなよ。失ってからじゃ遅いよ」
「分かった。幸村ありがとな」
「それも椎名さんに言ってあげて」


まさか高校大学時代の浮気を凛が全部知ってたなんて俺全然知らなかったんだけど。
頭をぶん殴られたみたいな衝撃だった。幸村はきっとそのたびに話を聞いてたんだろう。そりゃ五感を奪われても仕方無いか。


と言っても出張は今更代わりを探すわけにもいかない。俺の顧客だし他の奴等に任せるわけにもいかねぇ。どうやって凛に許してもらえばいいんだ?


「それで俺に相談か」
「幸村にはもう聞けねぇだろい」
「俺も椎名の話は散々聞いたのだがな」
「ゲ、柳もかよ」
「まぁ最近は真面目にやってるようだから多くは言わないでおこう」
「あー悪かったな」
「俺や精市に謝る必要は無い。椎名に誠意を見せることだな」
「分かってるよ。けど誕生日は出張なんだよ。どう頑張っても機嫌直りそうにもなくてよ」
「誕生日当日には帰って来るのだろう?」
「22時近くになるけどな」
「ふむ、それなら俺達が何とかしよう」
「いいのか?」
「最近皆で集まって無かったから丁度良いだろう。赤也もみんなで集まりたいと言ってたしな」
「んじゃ頼むぞ柳」
「22時にお前のうちまで連れて行けば問題無いな?」
「おお、それでいいぜ」


後は自分で何とかしろってことだよな?それくらい何とかしてみせろって感じなんだろうけど。後は凛が喜ぶプレゼントを見付けるだけだよな。それくらいは知ってる。


「二泊ですか?」
「大阪のついでに愛知にも寄ってきてほしいんだよ。頼めるか?」
「あー…分かりました」
「君には期待してるから頼んだよ丸井君」


凛のためにあれこれ考えてるっつーのに現実はそう簡単にはいかないらしい。学生時代に遊んだ罰がいっぺんにやってきてんのかもなー。どうすりゃいいんだよこれ!


「ブンちゃんどんまいナリ」
「うぜー」
「彼女の誕生日忘れるとか有り得ないッスよ丸井先輩!」
「別れの危機じゃね?」
「さすがに当日に会えんのはのう」
「俺の彼女だったらブチ切れッスね」
「そうじゃ、俺に良い考えがあるぜよ」
「仁王先輩ッスかー?」
「嫌な予感もするけどもうお前の案に乗ることにしたわ俺」
「なぁに宝探しをしてもらおうと思ってな」
「「宝探し?」」
「ま、まーくんに任せんしゃい」


赤也と二人で仁王の提案に耳を傾ける。あーもうそれくらいのことしか俺には出来ないかもしんねぇなぁ。仁王が幸村達にも許可を貰ったらしいから俺はその案に乗ることにした。他にどうすりゃいいか分かんなかったし。すげぇ気恥ずかしいけど仕方無いよな。


***


「椎名さん、この日日って空いてるかな?」
『空いてるよ』
「そろそろ皆で集まろうかって話が出てるんだよね」
『ブン太は?』
「丸井は呼ばないから椎名さん参加しなよ」
『何で喧嘩してるの知ってるの』
「俺だからだよ」


幸村だからって本当に有り得るから怖い。まぁきっとブン太が話したんだろうけど。ちなみに有休が取れなかったって報告をされてからブン太には連絡を返してない。アイツ私の誕生日まで忘れてたし。一言「誕生日なのにごめんな」って言ってくれたら許してあげようと思ったのにさ。


誕生日前日、久しぶりにブン太を除いた八人で集まった。柳生もどうにか都合をつけて参加してくれたから良かった。医者が一番不規則だもんね。みんなで美味しい料理を食べてお酒を楽しんで22時前になった所で珍しく仁王がもう一軒行こうと言い出した。いつもなら一番最初に帰りたそうにするのに珍しい。それにみんなが賛成したので私も一緒に行くことにする。仁王のオススメのお店とか小洒落たバーとかかな?そう思ってたのにだ。


『はぁ?』
「ほら行くぜよ椎名」
『嫌だよ。ここブン太の住んでるマンションだし』
「椎名先輩ほらさっさと行くッスよ!」
『絶対にいーやーだー!』
「近所迷惑だよ椎名さん」
「本当に丸井君と喧嘩していたんですか」
「珍しく長引いてんだと」
「精市、騒がれては面倒だからとりあえず五感を奪ってはどうか」
「そうだね」
『は?ちょ!幸村!止めて!止め』


しゃがみこんで拒否をすれば柳が酷いことを言った。本当に五感を全て奪われてしまったらしくもう既に何も感じない。女子相手なのに躊躇なく五感を奪うとか!幸村怖すぎる!
手を動かす感触すら分からないので大人しくすることにした。あぁもうどうにでもなれ!


「椎名、もう目を開けてもいいよ」
『あ、聞こえる』


ゆっくりと目を開けるとそこは紛れも無くブン太の家で目の前にはブン太以外勢揃いだ。ブン太はどこかに隠れているんだろうか?と言うかそれ以上に部屋の装飾に驚いてしまった。部屋全体がカラフルに彩られている。


『なにこれ』
「丸井が全部準備したんだよ」
「驚いたじゃろ」
『嘘』
「時計を確認してみろ。さっきお前がごねてから15分も経過していないぞ」
『あ、ほんとだ』


柳に言われて時計を確認したらまだ22時30分だ。ブン太のマンションの前に着いたのが22時15分だから本当に15分しかたってない。念のためスマホの時刻も確認したけど合っていた。


「で、これが一通目じゃな」
『一通目って何?』
「いいから読んでみろって椎名」
「では私は丸井君に頼まれた任務を遂行しますね」
「柳生、俺も手伝おう」
「柳君なら大丈夫でしょう」
「俺も手伝うぞ」
「桑原君もありがとうございます」
「精市俺は」
「弦一郎と赤也は動かれると面倒だから座ってお酒でも飲んでたらいいよ」
「やりい!んじゃ遠慮無く!」
「待て赤也!」
「真田先輩ビールでいいッスかー?」
「真田、幸村がこう言っとるんじゃ赤也の面倒を見てくれんか?」
「あぁ、それならば」
「頼んだよ弦一郎」


一通目?任務?え?何の話?ブン太が出てくる気配が全く無いのだけど。仁王に半ば無理矢理手紙のようなものを押し付けられる。


「キョロキョロしとっても仕方無いぜよ」
「それを読むと意味が分かるよ椎名さん」


幸村と仁王は私の隣に控えたままだ。仕方無いので一通目の手紙を読むことにした。そうしないとまたもや五感を奪われそうだし。


凛へ

ちょっと早いけど誕生日おめでとう!どうしても仕事で有休が取れなかったんだよ。そこはごめんな。後誕生日もすっかり忘れてて嫌な思いさせてごめん。
今月の頭まではちゃんと覚えてたんだよ。言い訳になっちまうけどな。んでどうしたら許してもらえるかってすげぇ考えた。


二通目へ続く


『は?』
「椎名、ちゃんと二枚目があるぜよ」
『二通目って何?』
「それは俺も知らん」
「ほらちゃんと読みなよ」


二枚目の封筒には二通目の手紙がどこにあるかのヒントが書かれていた。え、なにこれ何通目まであるんだろ?私まだ一応怒ってるんだけど。二人が両側から急かすから仕方無くヒントに従って二通目を探すことにした。ブン太の家はよく来てるから直ぐに分かったし。


『DVD?』
「早速きたのう」
「ほら早く見てあげなよ」
『分かった』


二通目の封筒は正方形で何だろうと思って開けてみたらDVDだった。二通目にしてもはや手紙じゃなくなっている。またもや急かされたのでテレビを観ながら酒盛りをしてる赤也と真田に謝ってDVDをプレーヤーにセットする。
バカにしてるのだろうか?とりあえず赤也の隣に座ってその手から缶ビールを奪って飲みほした。こんなの飲んでないとやってらんない。


『何やってんのブン太』


缶ビールの空き缶を赤也に返してテレビに注目するとDVDが始まった。開始早々ブン太が画面で正座をしている。


「丸井先輩が正座とか珍しいッスね」
「俺が何度怒ろうと絶対にしなかったな」
「ブンちゃんプライド高いからなー」
「それはお前もだよ、仁王」
「正座は足が痺れるから嫌じゃ」


好き勝手言われ放題だなブン太。けれど私もブン太が正座してるのは初めて見たような気がする。学生の時も真田にどれだけ怒られようとも頑なに正座はしなかったんだ。


「凛、本当にごめん!誕生日忘れてたことも誕生日に有休取れなかったのもほんっとごめん!」
『え?えぇ!?本気!?』
「画面のブン太に言っても聞こえんじゃろ」
「丸井先輩の土下座初めて見たッス!ウケる!」
「うむ、見事な土下座だな」
「真田が教えてあげたのかい?」
「確かに先日そのようなことを聞かれたがまさか椎名に謝るためとは」


正座だって珍しいのにまさかそこから土下座して謝るなんて本当にびっくりした。何ならここには私以外にみんな勢揃いしてるし。
普段だったらこんなカッコ悪いとこ絶対にみんなに見られたくないはずなのに。
と言うかブン太はどこにいるんだろう?もう出てきてくれたらいいのに。
ここまでしてくれるならもう許してあげるよブン太。
自分のプライドを捨ててまで謝る相手を許さないだなんて私にはもう出来なかった。


「もう一つ謝ることあるんだよ。簡単に許すんじゃねぇぞ凛。あのな、今俺そっちに居ないんだよ。二泊で大阪名古屋の出張入っちまったんだ。自分の仕事だし今更他の奴等にも頼みたく無かった。お前の誕生日より仕事を取ったからほんと悪い、ごめん。けど祝いたい気持ちが無いわけじゃねぇ。だから最後まで俺に付き合ってくれよ。頼むな。勿論後日ちゃんと埋め合わせもするから。あーこれ赤也達も見てんだよな?すげぇ気恥ずかしい。とりあえず三通目のヒントな?次のヒントは━━」


あぁ、そういうこと?と言うか簡単に許すんじゃねぇぞって自分で言っちゃうの?笑っちゃったじゃん。ブン太は土下座したまま顔を上げずに次のヒントを早口で言った。
仕方無いなぁ。ちゃんと最後まで付き合ってあげよう。


そうやって幸村と仁王に付き添われながら次々に手紙を見付けていく。合間にまたもやDVDだったり単なるなぞなぞだけの手紙だったりあったけどプレゼントも一緒だったりしたから楽しくなってきてしまった。
私が欲しいって言ってたもの全部ちゃんと覚えてたとか嬉しくなってしまう。


「機嫌直ってきたのう」
『そうだね』
「丸井も奮発したなぁ」
『全部欲しかったものなの。自分で買おうかなって悩んでただけなんだけど』


それは好きなブランドのお財布だったりパンプスだったり化粧品だったり様々でブン太が私のために用意してくれたんだってことが伝わって本当に嬉しかった。


『最後だって』
「DVDッスねぇ」
「ほら早くみてみようよ」
「楽しみじゃのう」
「最後のプレゼントなんじゃろな?」
『もう欲しいものって無いんだけどなぁ』
「再生するぞ椎名」
『あ、うん』


そうやって手紙探しをしながらプレゼントを見付けてってやってたら最後の一通になった。またもや正方形だからDVDなのは容易に分かったけれどもうプレゼントも沢山もらったし充分なんだけどな。


「凛、最後まで付き合ってくれてありがとな。俺からの一番のプレゼント今からだからな?楽しみにしとけよ?んじゃ行くぜ!さん、にーいち!」


パチンと画面のブン太が指を鳴らした瞬間、部屋が真っ暗になった。え、何で?停電?不安に思うより先にハッピーバースデーの音楽が流れてくる。


「椎名さん誕生日おめでとうございます」
『え?』
「ブン太からのケーキな」
「立海スペシャルッスね!」
「今日の朝に早起きをして作ったらしい」
「丸井も本当に頑張ったみたいだね」
「寝不足って言ってたからのう」
「おかげで椎名にも気持ちが伝わったのだから良いことだ」


柳生がキッチンからケーキを持ってきてくれた。ロウソクの炎だけが部屋に揺らめいている。その隣でジャッカルがポンとシャンパンの栓を抜いている。


「みんな揃ったね」
「あぁ、大丈夫だ」
「シャンパンもあるなんてすげぇッスね」
「椎名のために頑張ったんだろアイツも」
「料理も丸井君のレシピに従って作りましたからね」
「柳生のおかげで助かったよ」
「いいえ、私は丸井君のレシピ通りに作っただけですから」
「だが再現出来るのが凄いと思うぞ柳生」
「真田君もありがとうございます」
「これならおまんも寂しくなかろ」
『うん、みんなありがとう』


ロウソクの炎が揺らめく間に柳達がさくさくと準備してくれている。気付いた時には私は真ん中に座ってシャンパングラスを握らされていた。真ん前にはケーキとテレビの画面がある。


「そろそろいいか?幸村達もほんとありがとな。凛時計見ろよ。もう日が変わってんだろ」
『と言っても暗くて分かんないよ』
「私の腕時計では既に0時28分ですね」
『いつの間に!』


「凛、誕生日おめでとう!一緒に居れなくてごめんな。これからもずっと俺の隣に居ろよ。んじゃカンパーイ!」
「「「「「「「乾杯!」」」」」」」


ブン太の掛け声とともにみんなが私のグラスにカチンとグラスを当てていく。何これ凄い。


「ほらボケッとしてないでロウソクの火を消しなよ」
「そろそろロウソクが垂れるからな」
『わ、分かった』


促されるままにふうとロウソクの火を吹き消すと真っ暗になった。いつの間にかテレビも暗転している。


「椎名、シャンパンも飲み干しんしゃい」
『うん』


シャンパンを飲み干したところでやっと柳生が部屋の灯りを点けてくれた。何か本当に凄かったな。サプライズみたいだったし。


「椎名先輩」
『どうしたの赤也』
「先輩のグラス何かキラキラしてません?」
『え?』
「そうじゃのう。俺らのと違ってキラキラしとるぜよ」
『デザインが違うとか?』
「何が違うのかちゃんと確認しろよ椎名」


そんなに違う?見た感じみんなと一緒のシャンパングラスだと思うんだけ……え?


『え?』
「飲み干した所で気付くと思ったんだがな」
「沈んだままだったのだろう」
『え?本気?』
「ケーキの中よりは良いと思うけど」
『そういう問題じゃ無いよ幸村!』
「まさか赤也が最初に気付くとはのう」
「丸井君からの一番のプレゼントですよ椎名さん」
「ちゃんと中身確認してみろよ椎名」
「つーか俺以外みんな知ってたんスか?ずりー」


マジマジとグラスを確認してみれば底に指輪らしきものが見えた。何このサプライズ。ジャッカルに言われたのでグラスを傾けて中の指輪を取り出した。え、これってもしかして。


「ほんとは直接言うべきなんだけどよ、無理そうだからここで言っとくな。怒らせてる時に言うのもずりぃんだろうけどやっぱ俺の隣にはこれからも凛が居て欲しいからさ。あーここまで言えば分かるだろい?続きは帰ってからな。愛してんぞ凛」


赤也がキラキラしてるって言った意味が分かった気がする。指輪にはダイヤモンドが煌めいている。私だってもう大人だしブン太の言ってる意味は分かる。もう、恥ずかしいから続きは帰ってからなって言ったのにその後に愛してんぞとかそっちのが恥ずかしいでしょ!


「俺ぜってぇ愛してるのが恥ずいと思うんスけど」
「丸井らしいねほんと」
「椎名、お前はどうするのだ?」
「弦一郎、お前がここで聞くとはな」
「まぁこの顔見りゃ分かるだろ」
「そうですね、丸井君のマンションに入る前とは真逆の表情をしていますから」
「良かったな椎名」
『うん、みんなも本当にありがとう』


照れ臭かったけどブン太らしくてそれがとても嬉しくて先程の怒りはすっかりどこかに飛んでしまった。ブン太もみんなもほんとありがとう。
それからみんなでお酒を飲みながら料理とケーキを食べた。どうやら柳生以外みんな明日お休みらしい。
私とブン太のために有休取っちゃうとかほんと笑ってしまった。


「あ、そうだ」
『どうしたの幸村』
「俺達からのプレゼントがまだだったね」
『えぇ、いいよ。ここまでしてもらったんだし』
「もう用意してありますので受け取ってください」
「あーだからあんな変なこと言ったんスね」
「やっぱり赤也には分からなかったか」
「早く開けてみんしゃい」


真田が潰れた所で誕生日パーティーはお開きになった。潰れたと言うか睡魔に負けたんだろう。早寝早起きがモットーだから悪いことをしてしまった。玄関でみんなを見送ろうとしたら幸村からまたもや封筒を渡された。え、みんなからの手紙とかかな?


『新幹線のチケット?』
「明日は名古屋で仕事らしいからな」
「そんなに時間は取れないかもしれないけど会いに行ってくるといいよ」
「ちゃんとブンちゃんと同じホテルの部屋を取っといたぜよ」
「お前からお礼にサプライズしてこいよ椎名」
「丸井先輩ぜってぇに驚きますよ!」
「私達からのプレゼントなので遠慮無く」
『もう、みんなズルいよズルい』


嬉しくて涙ぐむ私の肩にそれぞれがポンと触れて帰っていった。今日はサプライズの連続だったよね。
あんなに会いたく無かったのに今は一刻も早くブン太に会いたかった。
明日名古屋にいるって伝えたらブン太は驚いてくれるだろうか?ちゃんとプロポーズしてくれるかな?
後片付けをしてブン太の香りに包まれて眠ることにした。


書いたのは去年だったり。
2019/06/07

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