幼なじみの延長線上には恋が転がっている(6)

少しは警戒してください、いくら子供の頃からの付き合いといってもそんなに無防備な姿を晒されたら困ります


「寝相悪すぎなんじゃないの凛ー」


夏休みが終わって部活も引退した。後は受験を残すのみだ。それだって俺は推薦を貰ったからあんまり心配はしてない。持ち上がりみたいなものだから落ちることはほぼ100%無いしね。だから休みの日に遊びに来たって言うのに凛はのまだ寝ているみたいだった。もう10時なんだけどな、おばさんもそんなこと言って無かったのにな?俺と入れ違いで買い物に行っちゃったし。
まだ暑いからか薄着だしタオルケットも蹴飛ばして意味がなくなっている。クーラーもガンガンだしこのままじゃ風邪ひくよ凛ー。


「凛ー起きてよー。俺かなり暇なんだけどー」


ベッド脇に座ってスヤスヤと寝る凛に語りかけるも起きる気配は全く無い。昔から寝付きはいいけど寝起きは悪かったもんね。それにしたってキャミソールとショートパンツ一枚とか無防備過ぎるんじゃないの。ここに遊びに来れる男子って俺くらいしか居ないだろうけどさ。


「凛、起きてよ。暇だし遊びに行こうよ。ねぇ凛ー」


ふにふにとしたほっぺをつついてみるも反応は無い。寝過ぎじゃないの?それとも最近あんまり寝れて無いのかな?確かに朝眠そうにしてることが多いもんなぁ。それってやっぱりこないだのことが原因なのかもしんない。凛から青学の大学には行かないかもって聞いたあの日、俺は少なからずびっくりしたと思う。でも行かないでだなんて言えるわけもなくて凛の背中を押すことしか出来なかった。それが凛の夢だって知ってたしその方がきっと凛のためになるから。
でも後から考えてみたらもっと上手いこと言ってあげたら良かったなと思った。あれじゃ俺が凛のこと何とも思ってないみたいに聞こえたような気がするし。もっと気の利いたこと言ってあげれたよね。だからこそ今日早速遊びに来てみたのにまさか寝てるだなんて。


「凛ーおーきーてー」
『ん、………』
「はぁこれでも駄目か。っと確かここに」


凛の机のペン指しに羽ペンがあったはずだ。流石にこれでくすぐれば凛も起きるはず。羽ペンを持ってきて凛の頬をくすぐることにした。寝ててもこの感触はくすぐったいのかだんだん表情が崩れてくのが分かる。


『んーもお、何ー?お母さん?』
「ざんねーん。おばさんは買い物に行っちゃったよ?」
『は?え、英二!?』
「おはよー凛ー。寝過ぎだよ。もう10時30分なんだかんね!」


寝ボケてたのが俺の声を聞いたとこで一気に意識が覚醒したらしい。やっぱ羽ペンの威力は絶大だよね!上半身を起こしてくれたから羽ペンを机に戻すことにする。


『英二?何してるの?』
「何って暇だったから凛と遊ぼうと思って来たんだけど」
『部活は?』
「もー寝ボケてんのかにゃ?全国大会終わったから引退したって言ったでしょ」
『あ、確かに』
「目覚めた?」
『うん、おはよう英二』
「おはよう凛」


と言うか凛が起きたことですんごい大事なことに気付いちゃった気がする。俺が今まで意識して来なかったのもいけないんだけど……ちょっと目のやり場に困る。過去もそうだったのかな?思いだそうとしてもどうだったかわかんなかった。でも今日は間違いなく凛はノーブラな気がする。ここでそれを指摘して良いものか悪いものかどーしよ俺!?


『急に黙ってどうしたの英二?』
「え?や、何でも無いよ!だ、大丈夫!うん!」
『外まだ暑い?』
「まだ暑いよ。凛は涼しい部屋に居たから分かんないだろうけど」
『んー寝過ぎちゃったよなぁ』
「凛!?」


欠伸をしながら伸びをしたせいでお腹がチラチラ見えるんだけど!?無防備過ぎるよほんと!


『何?』
「や、何でも無い」
『変なの。お腹空いた英二ー』
「んーじゃあ菊丸印の特製のホットケーキでも焼いてあげようかにゃ?」
『うん、英二のホットケーキ食べたい』
「んじゃ俺先に作ってくるからね!」
『分かったー』


よし、これで凛も着替えてくれるでしょ!凛の家のキッチンには何度も立ったことあるから慣れてるし先に作っとけばいいよね?あ、ついでにおばさんのホットケーキも焼けるように多めにタネを準備しとこう。ホットプレートも準備しなくちゃなー。


「凛」
『何?』
「ホットケーキ美味しい?」
『うん、かなり』
「そっか」
『どしたの英二』
「んー何でも無い。俺も食べことにする!」
『英二のホットケーキかなり美味しいよー』
「ふわっふわだからね!」


俺の願いも虚しくどうやら凛は顔を洗っただけでそのままリビングへと降りてきた。あぁもうそっちが気になって大事なこと全然話せないじゃん!


(何この状況、もしかして俺は何かを試されてるのかにゃ?)

気のしれた仲だとね女の子ってこういうとこ気にしなかったりするんだよね(笑)
2018/10/31

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