一枚上手な彼のセリフ5題(4.素直じゃないところもかわいい)

『ねぇ赤也』
「なんすか先輩」


つーか今日祝日なんですけど。
何で学校にいるんですか?
俺部活中なんですけど。
暇だったからとか言う理由で凛先輩はいきなり現れて部活を手伝ってくれている。
や、まだ後任のマネージャー決まってないから良かったけど。


『明日さ』
「はい」
『部活あるよね?』
「そりゃ平日ですしあるっすよ」
『そうだよね』


あぁもう面倒臭え。
今日はずっと休憩の合間にこの調子だ。
明日が俺の誕生日でそれに関して聞きたいんだろうけどさっきから全然話が進んでかないっすよ。
さっさと明日の帰り暇か聞きゃいいのに何をうじうじ言い淀んでるんすか。
丸井先輩も仁王先輩もこの辺の指導してくれりゃ良かったのに。
面倒臭いしイライラするけど先輩から言ってこない限り俺からは触れませんよその話。
他の部員達もいるしさっさと先輩との会話を打ち切って部活に集中することにする。
「いいか赤也、部長たるもの態度で示さねば他の部員はついてこないからな」真田先輩が言ってた言葉だ。
前は面倒だなと思ってたけど最近やっと意味が分かってきた気がする。
眠いけど朝練遅刻することもなくなったしなー。


『あのね赤也』
「なんすか」


今日このやりとり何回繰り返したんだろ?
部活が終わって他の部員を帰して日誌を書いてる時に凛先輩が隣へと座った。
日誌を覗いて顔がひきつったからこれは俺の字の汚さに引いたんだろ。
字の汚さだけは何回柳先輩に言われても直らなかったし。


『明日さ』
「朝練も放課後も部活ありますけど」
『それはもう知ってるし』
「じゃあ何ですか」
『放課後の部活終わってから、時間あるかな?』
「何で?」
『えっ』


別に用事なんてない。
ただ聞いてみたかっただけ。それと凛先輩の反応が見たかっただけ。
まどろっこしいことしたお仕置きみたいなもんだ。


「何かあったんすか?」
『えぇとそういうわけじゃないけど』
「じゃいいっすね」
『あ!駄目だよ赤也!』
「じゃあ早く理由を教えてくださいよ。じゃないと俺ゲーセン行きますよ」
『それは困る!』
「何で俺がゲーセン行くと凛先輩が困るんすか」
『それは…あ!そう!仁王がね久しぶりにみんなで焼き肉でも行かないかって』
「幸村先輩からは何にも連絡きてないっすよ」


俺の言葉に凛先輩は黙りこんだ。
そりゃそれ今思い付いた言葉ですもんね。
俺にこう言われたら返す言葉なくなりますよね。


「先輩、俺の誕生日お祝いしたいのならちゃんとそうやって言えばいいんすよ」
『そんなんじゃ』
「去年まで先輩達全員でお祝いしてくれたじゃないっすか。今年は凛先輩俺と二人が良かったんすよね?」
『違っ!そんなんじゃなくてみんな都合が悪いから私だけになっただけだし』
「アンタってたまにツンツンしますよね」
『えっ』
「まぁ素直じゃないとこも可愛いっすけど」
『!?』


凛先輩のペースに任せていたらまたもや話が進んでいかないので助け舟を出すことにする。
さっき出任せで『仁王が久しぶりにみんなで焼き肉でも行かないかって』って言った言葉はどっかに消えてしまったみたいだ。
恥ずかしくて誤魔化したい気持ちは分かるけどそうなると直ぐにボロが出るんだよなぁ。
たまにこうツンツンするとこもすげぇ好きだけど。


「じゃ俺の勘違いっすね。明日は大人しく家に帰るとします」
『……駄目』
「声が小さくて聞こえないっすよ凛先輩」
『帰ったら駄目だよ赤也』
「んじゃ先輩が俺の誕生日お祝いしてくれるんですか?」
『うん、する』
「じゃまた明日も部活手伝いに来てくださいね」
『分かった』


ツンツンの後のデレが一番可愛いんだよなこの人。
俺がさっき可愛いって行ったことに対してずっとデレてるんだろうけどそこもうちょっと考えて突っ込んでくればいいのになー。
きっといっぱいいっぱいなんだろうけど。
『また明日ね』と顔を赤くしたまま凛先輩は帰っていった。
スマホ握りしめてたしこの後丸井先輩達と作戦会議でもするんだろうなー。
けど明後日からはそうはさせねぇ。
凛先輩どうやって俺の誕生日祝ってくれるか楽しみだ。


格好良い赤也もいいよねぇ。
2018/09/25

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -