一枚上手な彼のセリフ5題(1.試すような真似しても無駄)

『ねぇ赤也ー』
「何すか先輩」
『男の子だったらパンツとスカートどっちが好きかなぁ?』
「人それぞれじゃないんすか?」
『スカートが好きとかじゃないの?』


つーかアンタ何でまだ部室に出入りしてるんすか。先輩達とっくに引退したって言うのにこの元マネージャーの先輩は頻繁に部室へとやってくる。
さっきから俺全然日誌が進まないんすけど。


「俺は動きやすい格好のが好きっすね」
『そうなの?』
「だっていちいちヒールとか履いてこられたら気遣うじゃないっすか」
『そっかぁ』
「どっかデートでも行くんすか?」
『えぇと、…や、そんなんじゃなくてね!ちょっと男の子の意見を聞きたくて』
「俺じゃなくても丸井先輩とかに聞けばいいんじゃないんすか?クラス一緒でしたよね?」
『そうなんだけど』


俺の反応を見てこいとでも仁王先輩に言われたんだろう。
先輩相変わらずバレバレっすよ。
そしてそう簡単には仁王先輩達の策略に嵌まりたくない自分がいる。


「で、急に何でそんなことになったんすか?」
『あ!そう!クラスの仲良いグループで遊びに行こうってなったの!』
「へぇ」
『だからね、男の子はどんな格好が好きかなぁって思って』
「そこに好きな男でもいるんですか?」
『そうじゃない、けど』
「どこに遊びに行くかにもよるんじゃないっすか?遊園地なんかでヒール履かれたら鬱陶しいだけですし」
『そうなの?』
「歩き疲れないなら別にいいっすけどね」
『あぁ、そっか。そうだよね』
「遊びに行くのは決まったんすか?」
『まだだよ。みんなで行こうかーってなってるだけだし』
「それならまた決まってから報告に来てください」
『えっ』
「試すような真似しても無駄っすよ先輩」
『そんなつもりじゃ!』
「俺も今度クラスで遊びに行ってくるんで」
『えっ!嘘!?』
「俺だってたまにはみんなで遊びに行くこともありますよ」


俺の言葉にショックを受けた顔をしてるけどさ、一言も女子と行くだなんて言ってないっすよ先輩。
この五年間仁王先輩や丸井先輩にがっつりからかわれただけのことはあるよなぁ。
ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなったし慌てなくなった気がする。
目の前の先輩は俺より恋愛スキル低そうな鈍感だし余計にだ。


『そっかぁ、赤也も遊びに行くんだね』
「次の日曜日は空いてるっすけどね」
『そうなの?』
「午前は練習だけど午後からなら空いてる」
『じゃあ』
「じゃあ?」
『観たい映画があるんだけど赤也一緒に行かない?』
「アクションすか?」
『うん!赤也の好きそうなやつ!』
「ならいいっすよ。たまたま予定空いてましたし」
『わ!ありがとう赤也!』


最初からそうやって誘えばいいのに先輩はいつだって遠回しだ。
俺が助け船を出してやらないと毎回話が進んでいかないし。
俺もだいぶ成長したよなほんと。
ジャッカル先輩辺り泣いて喜ぶんじゃないか?


「ちなみに映画ならヒールでも問題無いっすよ」
『え』
「ぶっちゃけ似合ってれば何でもいいんすよ男ってのは」


ただし好きな女に限るけど。
この部分はそう簡単には言ってやんねぇ。
いつも仁王先輩達の斜め上なアドバイスを実行するアンタが悪いんすからね。


『じゃあ赤也日曜日ね!』
「駅前に13時集合でいい?」
『それで大丈夫!』
「じゃそれで決まりっすね」
『土日部活頑張ってね!』
「へーい。先輩も気を付けて帰ってって最後まで聞いてけよ!鈍感女!」


俺の返事を最後まで聞かずに凛先輩は部室から出ていった。
どうせどっかに丸井先輩か仁王先輩を待たしてるんだろう。
そういうのも気に入らないんすけど分かってんのかな?
あの二人の先輩は分かっててやってんだろなー。


生誕祭始まりました!
ブン太に続いてらしくないシリーズ。
格好良い赤也が書きたくて!
25日までに書き上げるから待っててね赤也!
2018/09/21

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