幼なじみの延長線上には恋が転がっている(4)

好きだと言えたらどれほど楽か


英語の課題のことをすっかり忘れてて兄ちゃん姉ちゃんを頼ったけどみんなして「今忙しい」って言うんだからほんと酷いよね!
ってことで時間も時間だけど凛のうちにやってきた。
俺がこうやって遅い時間に凛に泣き付くのもいつものことでおじさんもおばさんも笑って迎えいれてくれた。


「凛ー!英語の課題やった!?」
『英二!?部屋に入る時はノックくらいしてよ!』
「あ、ごめんごめん!つい昔の癖で。んで何してたの凛」
『昔のアルバム見てた』
「わ!懐かしいね!」


慣れたものだから凛の部屋にいつものように入っていくと慌てた様子だ。
別に俺が入ったって問題無いでしょ?
何でそんなに慌てるのさー。ムッとしながらも寝そべる凛の隣に同じように寝てアルバムを覗きこんだ。
俺に見られちゃまずいものでもあるのかと思ったのにそこら中俺と凛の写真だらけだ。
なんだ、全然心配することないじゃん!


最近なーんか様子が変なことが多い。
心配して聞いてみても何でもないって言うしどうしちゃったんだよ凛。
今も俺が隣に行っただけで一瞬硬直しちゃうしさ。
嫌われてるわけじゃなさそうだけどほんとどうしちゃったんだろ?


「凛?やっぱし何かあった?」
『あ、ごめん。ぼーっとしてた』
「最近変だぞ凛ー」
『いいの。大丈夫だし』
「何かあったのなら一番に俺に話してよ?」
『えぇ』
「約束だからな!俺は凛の、…幼馴染みなんだから!」
『うん』


気になったら隠しておけないのが俺の性分だからズバッと聞いてみたけど納得出来る返事は貰えない。俺そんなに頼りないかな?
あまりに心配すぎてつい変なことを口走りそうになっちゃったし。
慌てて「幼馴染み」って部分を強調してみるも凛からはたった一言返事がきただけだった。
俺ほんとに心配してるんだけど大丈夫かな?


そんなこと考えてたらすっかり英語の課題のことを忘れていた。
凛に指摘されて思い出したんだ。
凛はいつも23時には寝ちゃうのに何やってんだろ俺。
それでもそんな俺にうとうとしながらも付き合ってくれちゃう凛のこういうとこも大好きだ。
『眠い』って言いながらも俺が分かんないとこ丁寧に教えてくれるもんね。
きっと俺だから凛はこうやってあれこれしてくれるんだと思う。
兄ちゃん姉ちゃん達には最近「早くしないと誰かに盗られるぞ」って言われるけど、それにはちょっと俺も焦ってるけど。
「急げ」って言われるたびに焦るし早く何とかしなきゃとは思う。
それと同時にこの関係が壊れちゃうんじゃないかって心配が募るんだ。


課題が終わった時には凛は今にも寝ちゃいそうだった。
いつもより30分オーバーだもんね。
返事も短くなって凛はベッドへと潜り込んでしまった。
立ち上がって凛の枕元へと近付く。
寝付きの良い凛のことだからもう夢の中に言っちゃったんだろうな。


「凛?寝ちゃったの?」


声をかけてみても寝息しか返ってこない。
凛はのび太君なみに寝るのが早いよね。
そっとその頬を指で撫でる。
ふにふにしてて気持ちいいなぁ。


「凛、大好きだよ」


凛には届かないだろうけど今なら言える。
届かないからこそ言えるってのが事実なんだろうけどさ。
いつかちゃんと俺のこの気持ち凛に届くといいなぁ。
これ以上ここにいると邪な気持ちがウズウズしちゃうからそろそろ帰ることにしよう。
いつかちゃんと凛に好きだって言えますように。


(だけど今更この関係を壊したくないんだ)

夢主は菊丸の気持ちに気付いてても菊丸は気付いてないんだよね。
2018/08/20

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -