幼なじみの延長線上には恋が転がっている(1)

友達以上恋人未満、今の私たちの関係を表すのにこれ以上適切な言葉はないと思う。


「凛!お待たせ!」
『今日も部活お疲れ様英二』
「全然疲れてないよん!今日は凛が見に来てくれたしね!」
『そんなこと言って煽てても何も出ないよー』
「本心本心!」


物心ついた時から毎日一緒にいるのが英二でもう二人で一緒にいるのが当たり前みたいになっている。
周りからは付き合ってると誤解されてることも多い。
と言うか多分大多数の人間はそう思ってる。
けれど私達の関係はそんな甘いものじゃない。
家族みたいにお互いのことを大事にしてるとは思う。
けどそれだけだ。後一歩がなかなか踏み出せずにいた。


『もう3年生だねー』
「今年が高校最後の年だからなー今年こそ3年前みたいに立海倒さないと」
『おチビも無事入学してきたもんね』
「あー!もうおチビなんて呼んだら怒られるよ凛」
『そんなに成長してた?』
「うんうん!背も結構伸びてたから」
『英二より?』
「凛よりは高くなってたんじゃないかな?でも俺よりはまだ低いかなぁ」
『じゃあ英二はまだおチビって呼べるんだね』
「そうそう!でも凛は駄目だぞー」
『えぇ、今更越前君って呼ぶのー?』
「んじゃリョーマって呼べばいいじゃん」
『それは嫌だ』
「なんだよそれー」


英二の名前しか呼びたくないの。
私がこんな細かいとこ気を付けてるなんて英二はきっと知らないよね。
女の子の名前平気で下の名前で呼べちゃうし。
なんかそれが面白くなかった。


「あれ?何だかご機嫌ナナメな感じ?」
『別に』
「機嫌悪くなってるじゃん凛ー」


隣でふにふにと私の頬をつつくのは止めてほしい。
私が機嫌が悪いのは英二のせいなんだよ!
そうやって言えたらいいのに。


「あ、凛睫毛に埃付いてる」
『えっ!?と、取って!』
「ちょーっとそのままにしててね」
『うん』


英二の言葉に立ち止まる。
睫毛に埃なんて恥ずかしすぎる。
至近距離で英二と視線が重なる。
あ、これ何だかいい感じな気がする。
このままキスとか出来ちゃう距離だよね。
英二の動きも止まったままだし。
目とか瞑ればいいのかな何て思ってたら英二の指がそっと頬に触れた。


「よし!これで大丈夫!」
『え』
「これでいつもとおんなじ可愛い凛だよー。んじゃ帰ろっか!」
『うん』
「まだ機嫌悪いの凛ー」


このまま目を瞑ろうかなって思ったタイミングで現実に引き戻された。
英二だって一瞬そんな感じだったよね!?
何か私一人でバカみたいじゃんか!


(さっさとキスの一つや二つしてきなさいよ、臆病者)

菊丸中編始まりました!
短くさくさく書いてく予定です!
2018/06/20

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -