鈍感な彼のセリフ5題(1.好きな奴って、誰?)

もうすぐ私の好きな人の誕生日。
何をあげようかものすごい悩むよね。


『はぁ』
「どうしたんだよ椎名ー元気ないぜ」
『ちょっと悩み事』
「お前が悩み事なんて珍しいな」
『そうだよねー』
「お前と俺の仲だろい?話してみろって」
『もうすぐ好きな人の誕生日なんだよねー』
「は?」


あまりにボーッとしてて口が滑った!
気付いたときにはその当人に私の悩み事を話してしまっていた。
あぁもうどんだけボーッとしてたの私!


「お前好きなヤツとかいたのかよ」
『そりゃ私だって女の子だよ!』
「まぁ確かに。生物学上は女だよな」
『またそうやって言う!』
「お前だって自分で生まれてきた性別間違えたって言ってただろい!」
『冗談でしょそんなの!』
「えぇ」
『あからさまにがっかりしないでもらえますか?』
「俺さお前とだったら男女の友情成立すると思ってたんだよ。お前が生まれてきた性別間違えてくれたおかげでさ」


何を言ってるのかな?
あぁもうそんなこと聞いたら余計に誕生日プレゼントなんて用意出来ないんじゃないの?


『何か色々すまんね』
「ま、とりあえず相談には乗ってやるよ!」
『丸井ありがとう』
「んで好きなヤツの誕生日だからって何を悩んでんの?告白でもすんの?」
『告白なんか絶対に出来ないよねえ』
「んじゃなんだよ」
『誕生日プレゼントくらい用意しようかなって』
「お前ソイツと仲良いの?」
『結構仲良しだと思うよ』
「俺以外にそんなヤツいたんだな」
『まぁね』


丸井の話だよってここで言えたらどんなに楽か。
でも言えない。
あんなこと言われたら絶対に言えない。


「つーかそれって誰なんだよ?」
『え?』
「や、お前と仲良いヤツなら俺も知ってるヤツだろい?誰か聞いた方が誕生日プレゼント考えやすいと思うし」
『それはさすがに』
「何でだよ!今更隠し事する仲でもないだろー」
『恥ずかしいから無理!』
「俺の好きな芸能人こないだ教えただろい!」
『それとこれとは違うでしょ!それなら私もクリスチアーノ・ロナウドと結婚したい!』
「お前そこはスポーツ選手じゃなくて芸能人で答える所だろ!」
『クリスチアーノ・ロナウドは譲れない!』


私が一番好きな有名人はクリスチアーノ・ロナウドだ。
そこは絶対に譲れない。
彼がどう考えたって一番イケメンだ。
ワールドカップ応援してるんだからね。
話もそれたみたいだし良かった。


「あーもうその話はいいや。面倒になってきた」
『奇遇だね私もだよ』
「何だっけな?あ、誕生日プレゼント?」
『そう何かいいアイディアないかな?』
「ケーキは?」
『そんなの作れるわけないでしょ!』
「だから俺が前に教えてやるって言ったろ」
『丸井に教わってたまるか!』
「んじゃクッキーだな」
『クッキー?』
「それくらいなら俺が直接教えなくてもレシピがあれば大丈夫だろ」
『そんなんでいいの?』
「ちゃんと心込めて作れよ。そしたらちゃんと伝わるからな」
『練習したクッキー味見してくれる?』
「おー俺で良ければいいぜ」
『ありがとう!』


それから丸井はクッキーのレシピを三種類程メモに書いてくれた。
何も見ずにさらさらとレシピを書けちゃうとか凄いよね。
まだ20日まで時間はあるから今日帰ったら早速作ってみよう。


帰ってメモを確認したらお菓子作り初心者の私のためにものすごい丁寧にレシピが書いてあって思わず苦笑してしまった。
勘違いしやすい単語の説明もちゃんと書いてある。
あぁやっぱり私はどちらかと言うと男の子扱いなんだろなぁ。
でも丸井が心込めて作ったら伝わるって言ったから頑張ってみよう。
好きとは言えないからクッキーに私の気持ちを込めよう。


近すぎて恋愛対象に見てもらえない女の子のお話。お菓子作りは苦手だけど決してガサツとか男の子っぽいとかじゃないんだけどね。
2018/04/15

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