氷帝ディヴェルティメント(Chapter X)

「凛ー」
『ジロー先輩何ですかー?』
「日向ぼっこ気持ちいいよねー」
『そうですねーぽかぽかですねー』


部活の休憩中、凛とベンチで日向ぼっこだ。
ポカポカしてほんとに気持ちいいよねぇ。
あーここでお昼寝出来たら幸せだろなぁ。
んー眠いCーちょっとくらいなら跡部も怒らないかなー?


「おいジロー!凛!起きろ!」


んーこの声は宍戸かなー?
あぁでもまだ眠いCー。
もう少し寝ててもいいかなぁ?


「ジロー!早く起きないと跡部に怒られんぞ!」
「んー跡部はそれくらいじゃ怒らないよ宍戸ー」
「お前云々じゃねえんだよ!」
「えー何がー?」


いつもなら見逃してくれるのに今日の宍戸はしつこい。
仕方無いから起きることにした。
意識を覚醒して気付いた。
凛が俺の膝枕でスヤスヤと寝てたんだ。


「あぁ怒られるってこれのことー?」
「それしかねえな」
「でも俺がこうしたんじゃないよ?」
「かと言ってそれが跡部に通用するかよ」
「うーん、どうだろ?」
「お前危機感なさすぎ」
「宍戸が心配しすぎなんだよ」


跡部はきっとこのくらいじゃ怒らないと思うんだけどな?
宍戸があまりに心配してるから凛を起こすことにした。
と言っても凛ってどうしたら起きるかな?


「凛ー起きないと休憩終わりだよー」


返事は無い。
スヤスヤと俺の膝枕で爆睡してるみたいだ。
ふにふにとその頬をつついてみる。
凛は寝顔も可愛いなぁ。


「宍戸、起きないよー」
「ジローそれお前起こす気あるのかよ」
「ええ、あるよ」
「おい!椎名起きろ!」


宍戸の起こし方は強引だなぁ。
凛の耳元で怒鳴って頬をペチペチ叩いている。
あ、凛の眉間に皺が寄った。
これなら起きるかな?


「椎名!起きないとお前のおやつ食べるぞ!」
『それは駄目!』


宍戸の駄目押しの一言に凛は一気に意識が覚醒したみたいだ。
そっか、俺も次からこうやって起こせばいいんだなぁ。


「起きたな。ほらちゃんと仕事しろよ」
『おやつは?』
「起きたから食べねえよ」
『なら良かった。あ、ジロー先輩おはようございますー』
「おはよー。お昼寝気持ち良かったねえ」
『かなりー』


宍戸は凛の頭をぽんと撫でて練習に戻ってった。
俺も練習に戻るかな。
今日は跡部が試合してくれるって言ってたし。


『ジロー先輩今日もお疲れ様でした!』
「お疲れお疲れー!」
『今日は先輩まだ元気ですねえ』
「跡部が沢山試合してくれたんだよね!」
『おお!それは良かったですね!』
「今日は部活早く終わったし丸井君とこ遊びに行こうかなー?」
『立海の丸井先輩?』
「そうそう!凛も一緒に行くー?」
『甘いもの食べに行きますか?』
「丸井君に連絡してみるねー」
『はーい!』


丸井君に連絡してみたら今日は夕方まで練習でその後なら大丈夫って返事が来たから凛と立海に遊びに行くことにした。
丸井君と会うの久々だからワクワクするよね!


「凛!見た!?今の丸井君のボレー見た見た!?」
『ふわぁ!丸井先輩凄いですね!』
「でしょでしょ?丸井君は本当に凄いんだよー!」
『ジロー先輩は?』
「俺もねえ頑張ってるんだけどなかなか丸井君みたいには難しいんだよねえ」


凛と立海に到着すると丁度丸井君が試合をしてる所だった。
やっぱり丸井君はほんっとにすげー!
立海の女の子達に混じって練習を見学する。
凛にも丸井君の良さ伝わったみたいで嬉Cよね。


「ジロ君お待たせ!」
「全然待ってないよ!丸井君今日もかっこよかったね!」
「あんがとな。んで今日はマネージャーもいるんだな」
『丸井先輩かっこよかったです!今晩は!』
「おお、そこお疲れ様とかじゃねえんだな。ジロ君コイツなんか面白いな」
「凛はねー天然なんだよ」
「氷帝の芥川と椎名か」
『柳先輩今晩は!』
「あ?柳は知ってんのかよ?」
『こないだの練習試合の時に迷ってその時に助けて貰いました!』
「あー樺地がいくら探しても見つからなかったもんねー」
「へえ」


練習が終わって丸井君が着替えるのを待ってたら柳も一緒に出てきた。
凛は色々変なとこあるからきっと柳も興味があるんだろなぁ。


「丸井、今日行くお店は決まっているのか?」
「おーまだちっと悩んでるんだよなー」
「ではたまには和菓子なんてどうだ?」
『和菓子!』
「凛は和菓子も好きなの?」
『甘いもの何でも好きです!』
「たまには和菓子もいいかもな」
「では俺のおすすめの店がある」
「んじゃそこにすっか」
「和菓子とか俺も興味あるー!」
『水饅頭食べたい!』
「今の時分なら扱ってるだろう」


丸井君と凛と柳と和菓子屋さんに向かうことになった。
柳と遊びに行くのは初めてだなぁ。
他の立海メンバーに挨拶して和菓子屋さんに向かう。


『ジロー先輩は何食べますー?』
「かき氷かなーこないだ菊丸と話してたら食べたくなったんだよねー」
「ここはかき氷もおすすめだぞ」
「俺はどーすっかなー。柳は何にするんだ?」
「俺は抹茶と水羊羹にしよう」
「俺はやっぱりかき氷にする!凛はー?」
『水饅頭!でもかき氷もいいなぁ』
「じゃあ俺のかき氷分けてあげるねー」


和菓子屋さんで甘いものを堪能して帰路につく。
凛は丸井君と二人で水饅頭の良さについて盛り上がってるみたいだ。
丸井君と仲良くなってくれて良かった良かった。
その少し後ろを柳と二人で着いていく。


「芥川はどう思ってるんだ?」
「どう思ってるって何がー?」
「椎名の話だ」
「凛は可愛いよねー」
「氷帝は椎名の争奪戦が始まったと聞いたのだが」
「そうなの?」
「違うのか?」
「うーん、あー滝がそんなようなことを言ってたような?」


なんだっけー?
あれ青学との練習試合の時だっけな?
俺あの時眠たかったからなぁ。
途中で寝てた気がするし。


「お前は参戦しないのか?」
「参戦?」
「丸井に会わせに連れてきているくらいだから気に入ってはいるんだろう?」
「凛のことは好きだけど氷帝の他の部員も好きだからなぁ」
「そうか」
「一番は丸井君だけどね」
「では丸井と椎名が付き合ってもいいのか?」
「丸井君と凛?それはそれで良いと思うけど多分そうはならないと思うよー」
「ほう、何故そう思う」
「凛は丸井君の好みじゃ無いし、多分付き合うなら氷帝の誰かだと思ってるかな」


柳は何でこんなに詳しいんだろ?
変な例え話をされたけど丸井君が凛と付き合うとこ全然想像出来なかった。
丸井君の歴代カノジョみーんな美人さんだもんね。
柳も知ってるんじゃないの?


「例え話だからな」
「凛は天然だし鈍感さんだからねー」
「跡部が手を焼いてる姿が目に浮かぶな」
「跡部はいつも大変そうだよ」
「それは椎名に限らずお前のこともだと思うぞ」
「俺?いやいや俺はそんなに跡部のこと困らしたりしないよ!」
「そうだといいがな」


柳がさりげなく失礼なこと言った気がする。
俺は別にそんなに跡部のこと困らしたりしてないと思うんだけどなー?
駅で丸井君と柳とさよならして凛と東京へと帰る電車に乗り込んだ。


『ジロー先輩和菓子も美味しかったですね!』
「いつもは丸井君おすすめのお店に行くけど柳も物知りだからねえ。美味しかったよなー!」
『今度は氷帝の皆で行きましょうね!』
「宍戸と日吉は嫌がりそうだよそれ」
『宍戸先輩も日吉も甘いもの嫌い?』
「んー多分ねー」
『じゃあ克服してもらいましょう!』
「凛ーそれ二人に怒られないかな?」
『甘いもの嫌いなんて人生損してますよ!』
「まぁ跡部にお願いすればいいかぁ」


凛って俺達のこと大好きだよねー。
だから柳に例え話をされてもイマイチピンと来なかった。
凛が誰かと付き合える日なんて来るのかなぁ?
最終的に選べないんじゃないかと思ってる。
俺はそれでもいいと思うんだよねー。
皆焦りすぎなんだよ。


次の日俺達は跡部にがっつり怒られた。
凛を神奈川まで連れてったのがいけなかったらしい。
心配しすぎなんだよね跡部って。
凛は他の学校の人達のことなんて俺達の半分も考えてないのになぁ。
凛が油に火を注ぐようなことを言うから跡部を宥める宍戸が大変そうだったなぁ。

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