乙女のポリシー(真田)

「椎名!お前はまだ校則を破っているのか!」
『真田先輩おはよーございまっす。校則をわざと破ってるわけじゃないんですけどこればっかりはポリシーなんでごめんなさい』


また校門で風紀委員の真田先輩に捕まってしまった。
いい加減に諦めてくれないものだろうか?
同じテニス部の柳生先輩はとっくに諦めてくれたよ。
勿論他の風紀委員の皆様もだ。


「校則は守るためにあるのだ」
『分かってますよ』
「ならば何故その髪を地毛に戻さぬ。スカートの丈を長くせぬか」
『何度も言ってますけどこれがあたしのポリシーなんですよ。金髪も短いスカートも絶対に譲れません』
「俺もお前が校則を守らねばならぬと言うことにおいて譲れぬのだがな」


あたし達が押し問答をしている間にそそくさと他の校則違反の生徒達が校門を通り抜けてますよ真田パイセン。
あーあ、今日もギリギリになっちゃうなぁ。


「何故にお前はその格好に拘るのだ」
『可愛いから』
「ならばその格好が出来る高校へと行けば良かったのであろう」
『お祖父ちゃんが立海に行くなら好きな格好していいって言ったんだもん』
「校則に金髪にしていいとは書いてないがな」
『金髪にしたら駄目とも書いてないですよ』
「高校生らしい節度ある髪型と格好をしろと書いてある。その格好は高校生らしいとは言えぬ」


そもそも高校生らしいって何?
それって人それぞれ違うんじゃないのかな?
私に量産型の格好をしろって言ってるの?
そんなの絶対に無理だ。
この話は何回もしてるのになぁ。
真田先輩は諦めが悪い。
諦めとかそういうのじゃないな多分。
先輩は自分の中での線引きがしっかりしてるんだ。
そういう所は少しだけ羨ましいと思う。
ずるずると押し問答を続けてるうちに予鈴が鳴った。
あー走らないと間に合わないじゃないか。


「む、もうそんな時間か」
『遅刻すると不味いんで失礼します!』
「椎名!話はまだ終わっとらんぞ!」
『また今度聞きまーす!』


真田先輩の怒鳴り声が後方で聞こえるけどもうこの際それは無視することにした。
他にも校則違反してる生徒沢山いるのになぁ。
何故にあたしばかり真田先輩に注意されるのだろうか。


「お前が頑固なのだろう」
『まぁそこは否定しませんよ』
「他の生徒は弦一郎が校門に立つ日だけ髪を黒くしてたりスカートの丈を長くしたり工夫しているぞ」
『それでいいんすかねぇ』
「その場しのぎにしかならないからな」
『そんなことに何の意味があるですかね?』
「さぁな。弦一郎に注意されることは無いだろうがな」
『それだけのために自分を曲げたく無いですもん』
「椎名、話もいいがそろそろ俺に茶を点ててくれないだろうか」
『すみません。今からやります』


うちの部活は昼休みに茶室を解放している。
部員が日替わりで生徒や先生達に抹茶を振る舞うのだ。
今日はあたしがその当番だった。
と言ってもあたしが当番の時に誰かが来るのは珍しい。
まぁこんな身なりだからね。
皆私がまともに抹茶を点てるとは思って無いらしい。
だからここに来るのは顧問か茶道部の部員か柳パイセンみたいな物好きくらいだ。


先輩を待たせるわけにもいかない。
抹茶を点てることに集中することにした。
自分の中のスイッチをオンにする。
そうするとあたしは立海の高校生から茶道家の椎名凛に変わるのだ。


出来上がった抹茶を柳先輩へと差し出す。
何度、茶を点てようとこの一瞬が一番緊張する。
ゆっくりと柳先輩が茶碗を持ち上げて抹茶を飲んだ。


『お加減いかがですか?』
「やはり椎名の茶は美味しいな」
『ありがとうございます』
「弦一郎にお前の家のことを話してやるといい」
『嫌ですよ。話した所であの真田先輩が許してくれると思いませんもん』
「それはそうだろうがお前の見方が変わるかもしれんぞ」
『気が向いたら話してみますね』
「前向きに考えてみるといい。ご馳走になった」
『あたしも柳先輩が来てくれて退屈せずに済みました』
「もっと皆お前の中身を知るといいのにな」
『慣れっこですよ』


柳先輩を茶室から見送る。
今日はもう誰も来ないだろうから片付けでもしようかな?
まだ昼休みの時間は残ってるけど。


「おーちょっと邪魔するぞ」
『またですか丸井先輩』
「ちょっと追われてるんだよ匿えって」
『ここはテニス部の逃げ場所じゃないんすけど』
「少しくらいいいだろい。誰もいねえじゃん」
『さっきまで柳先輩が居ました』
「あーアイツ好きそうだもんな」
『で、先輩はどうするんですか?』
「んじゃ俺にも一服くれ」
『かしこまりました』


先にお茶菓子を出してから抹茶を点てる。
丸井先輩はあまり茶道に詳しく無い。
それでも丁寧に心を込める。
出来上がった抹茶を先輩へと差し出した。
あぁやっぱり相手が誰であれこの瞬間は緊張する。


『口に合いましたか?』
「おー今日も旨かったわ。お茶菓子が良いヤツなんだろ?」
『流石ですね先輩』
「甘さが絶妙だよな。だからその後の抹茶が引き立つんだろなー。ご馳走さん!んじゃ俺行くわ」
『ありがとうございました』


丸井先輩がひらひらと手を振って出て行った。
やっぱり誰に対しても抹茶を振る舞うってのは楽しいな。
もっと他の人達にも飲んで欲しいんだけどなぁ。


「椎名はその見た目で損してるよ」


部長に言われたことを思い出した。
あぁそっか。そういうことなのか。
他の部員が当番の時はそこそこ賑わってるって言ってたもんなぁ。
でも見た目を量産型に変える気はさらさらなかった。
うちでも学校でもそんなことしたら私は息詰まってしまう。
今度こそ本当に片付けを始めることにする。


「のう凛」
『何ですかお祖父様』
「今度の茶会、お主がメインでやってみんか?」
『お父様は?』
「大きな茶会が京都であるからそっちに行くのよ」
『お母様も?』
「そうねぇ」
「何、儂の古い友人を何人か呼ぶだけじゃから。そんなに気負わんでもいい」


気負わずにってあたしは抹茶を点てる時はいつも緊張するのに。
何言ってるのお祖父ちゃん!
お父さんの様子をそろっと伺う。
いくらお祖父ちゃんが言ってもお父さんが駄目だと言ったら駄目だ。
うちの家元は今はお父さんだから。


「やってみなさい。小さな茶会といって手を抜かない様に」
『分かりました』
「凛がやってくれるのならば良かった良かった」
「凛、失礼が無い様にね。髪の毛も黒くする様に」
『お母様、学校外での茶席は必ず髪を黒くします。それがお祖父様との約束ですから』
「分かってるのならいいんですよ」


あっという間に茶会の日がやってきた。
少人数の茶会なのでうちの茶室でやることになったみたいだ。
朝からさくさくと準備を進めていく。
髪をガッチリ結ってから黒染めスプレーで黒くする。
それから今日のためにとお母さんが用意した着物を着る。
これ見たことないから新しく仕立てたのかな?


『お祖父様、これで大丈夫ですか?』
「おーおー今日も別嬪さんじゃのう」
『今日使う茶碗はどれにします?』
「昨日茶室に移動させておいたわ」
『何人いらっしゃるのですか?』
「二人じゃよ」
『かしこまりました』
「茶菓子も先程届いたから確認してくるといい」
『分かりました』


着物を姿を360度お祖父ちゃんに確認してもらう。
不備があったら大変だ。
いくら個人的なお茶会だとしても私が失敗すればお祖父ちゃんお父さん、そしてうちの家の名に傷が付くことになる。
お弟子さん達にも協力してもらい準備をキッチリと進めた。


「儂が出迎えるからお前は先に茶室に入っておれ」
『え、でも私も』
「お前は茶室におればいいんじゃよ」
『分かりました』


普通は亭主が出迎えなきゃいけないんじゃないんだろうか?
でもお祖父ちゃんの言うことには逆らえない。
大人しく茶室で準備をすることにする。
と言っても時間に合わせてお弟子さん達があれこれやってくれたから私がやることは殆ど無い。


「久しぶりじゃのう」
「本当に久しいですな」
「お孫さんも立派になられて。確か曾孫もおるんじゃったかな?」
「そうそう。曾孫も可愛いものだぞ」
「儂はもう少し先だのう」
「今日上手く行けば直ぐに見られるだろう」
「それもそうじゃ」


お祖父ちゃんの朗らかな笑い声が聞こえる。
本当にお友達なんだなぁ。
お祖父ちゃんがあんな風に人前で笑うことはあまり無い。


「さぁここからどうぞ」


茶室の扉が開いてお祖父ちゃんが二人を中へと促している。
入ってきた人物を見て私は叫び声を上げそうになった。


真田パイセン何でこんな所に!?


動揺を悟られない様にお二人と挨拶を交わし抹茶を点てていく。
どうやら先輩は私に気付いて居ない様だった。
まぁ今日はいつもと違って黒髪ですからね。
気付かなくてもしょうがないよね。


何で私がっかりしてるんだろう?
真田先輩に気付いて貰えなくてがっかりしたの?


無事に茶席の会が終わる。
お祖父ちゃんと御友人の方は積もる話があるとかで私と先輩は茶室から追い出されてしまった。
庭を案内しろとのお達しまで出たのだ。
先輩と二人ならスイッチをオフにしてもいいか。


『先輩、こんな所で何してるんすか』
「今日初対面だと思うのだが」
『椎名っす。真田パイセン』
「お前!?」
『先輩、静かにしてください。うち静かだから声が響きます』


先輩が声を荒らげそうになったので慌ててその口を私の片手で塞いだ。
お客さまに大声を上げさせたなんて雷が落ちるくらいじゃ済まされないだろう。


『先輩、絶対に大声を出さないでくださいよ』
「うむ」


くぐもった声で了承の返事が来たので手を離す。


『まさかお祖父ちゃんの友達が先輩のお祖父ちゃんだったとは。世間は狭いっすねぇ』
「お前が茶道の家元の娘とは知らなかった」
『まぁ先輩には話して無いですからね』
「他に知ってる人間がいるのか?」
『茶道の家元の娘って知ってるのは柳先輩と柳生先輩くらいっすかね?あ、でも茶道部なのは真田パイセン以外のテニス部レギュラーの方達は知ってると思いますよ』
「何故俺以外知ってるんだ」
『茶道部が昼休みに茶室を解放してるとは知ってますか?』
「無論。行ったことはないが」
『そこで他の皆さんとはたまに遭遇しますよ』
「そうか」
『そうっすね』


先輩とうちの庭をゆっくりと散策する。
こうやって校則以外のことを話すのは初めてかもしれない。


「お前の、茶席での点前見事だった」
『ありがとうございます』
「しかし今日は髪黒いのだな」
『茶席ですからね。金髪で茶は点てらんないっすよ』
「学校へも今みたいに黒くして来ればいいだろう。似合ってると思うぞ」
『先輩、人のこと褒めたりするんですね』
「なっ!俺は」
『先輩しー!大声は駄目っすよ』
「すまない。しかし俺も人間だ。良いと思ったことは素直に褒める」
『黒髪で学校には行かないっすよ』
「何故お前は金髪に拘るのだ」


錦鯉が泳いでいる池に差し掛かった時だった。
ちょうどいいから餌やりをしながらでも話そう。
池の側にある縁側からお弟子さんを呼んで鯉の餌を取ってきてもらう。


『アイデンティティみたいなものなんす』
「ふむ、自己同一性だったか?」
『そうっすね』
「金髪がお前の個性だと言いたいのか?」
『それだけじゃないとは思ってるっすよ。けどうちこんな感じだし何て言うんすかね?怖くなったんす』
「何が恐いと言うのだ?」
『親の言う通り生きてましたよ。言葉遣いから何から何まで。その途中であたし自分を見失ったんです。中3の時ですかね?どれが本当の自分か分かんなくなっちゃったんですよ』
「そうか」
『立て直すのに一年かかりました。自分を納得させるのにも。それからあたしは金髪です。この黒髪もあたしの一部ではあるけれど金髪のあたしが本当のあたしなんすよ先輩』
「しかし、俺はそれを聞いても」
『真田先輩に許して欲しいとか思ってるわけじゃないんで気にしないでください。と言っても先輩に何を言われようとも私は金髪のまま通い続けますけどね』
「お前は手強そうだからな」
『先輩も絶対に諦め無いっすよね』
「無論だ。しかしこのままでは平行線を辿る一方だな」
『こればかりは仕方無いっすよパイセン』
「要するにお前が黒髪でも自己を確立出来たらいいのであろう?」
『まぁ簡単に言うならばそうなりますね』
「ならば俺がそうなるようにしてやろう」
『どうするんすか?』
「む、それはまだ考え中だ」
『あはは!』
「笑うでない。お前のために考えるんだ」
『すみません、じゃ期待しておきますね』


鯉に餌をやりながら自分のことを真田先輩に話す時間は意外にも穏やかだった。
真田先輩があたしの自己を確立してくれるねぇ。
その方法は考えてみてもあたしには思い付きそうになかった。


お祖父ちゃんの呼ぶ声がして二人で茶室へと戻る。
お祖父ちゃん達はニコニコと微笑んでいる。
何か楽しい話でも出来たのだろうか?


真田先輩とそのお祖父ちゃんを見送った後、お祖父ちゃんに茶室へと呼ばれた。
どうやら今度はお祖父ちゃんが茶を点ててくれるらしい。


「弦一郎君とは楽しく話せたか?」
『はい』
「あぁ、今はいい。いつも通り話すんじゃ」
『でも』
「そのために茶室のに来たんじゃよ」
『お父様とお母様には?』
「勿論黙っておく。爺と凛だけの秘密じゃよ」
『約束してよお祖父ちゃん』
「儂はこっちの凛のが好きなんじゃけどな」
『跡取りだから仕方無いよ。お父さんとお母さんの言うことも分かるし』
「爺だけはこっちの凛の味方じゃからの」
『うん、ありがとう』
「で、弦一郎君とはどうなんじゃ?」
『どうって何が?あ、高校の先輩なんだよね』
「それは儂も知っておる」
『顔見知りだったよ』
「茶席でそんな風には見えんかったのう」
『先輩は黒髪の私に気付かなかったみたいだよ』
「そういうことか」
『まぁ話してて楽しい先輩だよ』
「ならば問題無いな」
『何が?』
「お前も鈍いのう」
『だから何が?鈍いのはお父さん譲りってお母さんが言ってたし!』
「今日は見合いじゃ」
『はぁ?』


足も崩していいとお祖父ちゃんが言うから二人で正座を崩して話していたらお祖父ちゃんがとんでもないことを言い出した。
見合い?それだけ言われたらいくら鈍いあたしにだって理解出来る。
どうやら今日は先輩とあたしの見合いだったみたいだ。


「次男じゃからお前のとこにだったら婿にやってもいいと言ってくれてのう」
『はぁ』
「お前も仲良さそうに話しておったじゃないか」
『お祖父ちゃんまさか聞いてたの!?』
「話までは聞こえなかったのが残念でなぁ」
『あぁ見てただけね』
「話を進めておくからの」
『拒否権無いやつでしょそれ』
「凛が本気で嫌がったら止める気じゃった。しかしそこまででは無いのだろう?」
『まぁ確かに』


私と先輩が結婚とかイマイチピンと来ない。
けれど嫌かって聞かれたら別に嫌なわけでもなかった。
先輩はお見合いって知ってたのかな?


『まぁ向こうから断られるかもしれないしね』
「向こうは最初から見合いだと知っておるぞ」
『はぁ?』
「弦一郎君から聞かなかったのか?」
『そんなこと何も聞いてない』
「まぁいいだろう。学校で会った時にでも聞いてみるといい」


先輩の今日の態度は別にいつも通りだった気がする。
でもそんな見合いだなんて言ってなかったと思う。
「お前のために考えるんだ」とは言ってたけど。
うーん、分かんないや。
あぁでも何故か私の心は前向きだった。
もしかしたら本当に黒髪でもアイデンティティの確立が出来ちゃうかもしれない。
あれだけ私のポリシーだと思ってたのにだ。


もしかしたらこの金髪は先輩に見付けてもらいたかっただけなのかもしれない。
だから頑なに黒髪にしたくなかったのかもな。
現に今日気付いて貰えなかったし。
それでがっかりしちゃったわけだしね。


明日、黒髪で登校してみようかな。
先輩はちゃんとあたしを見付けられるだろうか?
もし見付けてくれたらこの話を進めよう。
気付かなかったらお断りすることにする。
そして見付けてくれたのならこれからは黒髪で過ごすことにしよう。


真田先輩が私を見ててくれるのなら黒髪でもいいかななんて思ってしまったのだ。
私の中でのその確率は低かったけど。
お祖父ちゃんに返事を明日まで保留にしてもらった。
残念そうにしてたけど明日試してみないとこればかりは分からない。
これはある種賭けみたいなものだ。


次の日の朝、髪の毛を黒くして居間へと行ったから皆驚いていた。
まぁそうだよね。
『今日だけですから』と告げて学校へと登校する。
勝手な賭けだけど今日真田先輩が校門に居なかったらどうしよう。
風紀委員は毎日立ってるけど真田先輩が毎日いるわけでは無いのだ。
凄い確率の低い賭けをしちゃったなあたし。


そんな心配は杞憂に終わった。
二日連続で真田先輩が校門に立つのは極めて珍しい。
しかし遠くから先輩の声が聞こえたのだ。
後は気付くか気付かないかだ。
風紀委員へと朝の挨拶をして通り過ぎる群れに加わる。
緊張してきた。むしろお茶を点てる時以上に緊張してる気がする。


「椎名、何をしている」
『あ、おはようございます』
「黒髪にしてきたんだな」
『えへへ。褒めてくれます?』
「スカート丈がいつも通りだぞ」
『あ』
「髪の毛を黒くしたからと俺は見逃さんぞ」
『うーん。スカート丈長くしてもちゃんとあたしに気付いてくれます?』
「当たり前だろう。昨日約束したではないか」
『確かに。んじゃ戻します』
「待て、ここでするのか!?」
『直ぐなんでちょっと鞄持っててください』
「目立つであろう椎名!」
『真田パイセンの声が大きいからっすよ!』


ちゃんと約束を覚えててくれた。
私はこの勝てる確率の低い賭けに勝ったらしい。
スカートの丈を通常通りは長すぎるからそれより少し短めに直す。
うん、これが許せるギリギリだな。


「椎名、まだ短いぞ」
『あたしより短いこ沢山居ますよ!』
「お前は駄目だ!」


その「お前は駄目だ!」の一言が大きすぎて真田パイセンがあたしのことを好きだって噂がその日のうちに全校中に広がった。
駄目だと言われてもそれ以上は絶対に長くしなかったけどね。


お祖父ちゃんに話を進めていいよって連絡も入れておいた。
こういうのは早い方が良いもんね。
お母さんに美容院に髪の毛を染めに行くって電話をしたらお母さん泣いちゃったんだよ。
どうやら色々心配させてたみたいだ。


明日から量産型女子になる。
けれどもうそんなことは気にならなくなってた。
あたしを見付けてくれる真田先輩がいるからきっと大丈夫。

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