03

「コイツ邪魔くさいよな」
「いきなり現れて俺らの寝床を占領するなんてな」
「ニンゲンはニンゲンらしくこんなとこで寝るなよ」
「おい、そんなことしたら何されるかわかんねえぞ」
「見たこと無いしご主人とはコイツは関係無いだろ。おい、起きろよニンゲン」


何やら頭上で声が響く。
あぁもう気持ちよく寝てたのに煩いなぁ。
と同時に自分が寝ている場所がいつものふかふかベッドではなくチクチクとした感触が全身に刺さっていることに気付いた。
その瞬間に意識が一気に覚醒する。


『痛っ』
「お、ついに起きたぞニンゲンが」
「お前が蹴ったせいだろ」
「まだ蹴ってなかったぞ」


急に上半身を起こしたからだろうかこめかみがチリッと痛む。
えぇと…私はどうしてこんなとこにいるんだろうか?
確か夢でアイルーに会ったよね?


「なぁ、起きたのなら早く出てってくれよ」
「俺達眠たいんだよ」
『もう!さっきからごちゃごちゃ煩いなぁ!』


考えたいことが山程あるけどその前にこの声を黙らせないといけない。
声に向かって顔を上げて叫ぶとそこには人の姿は無かった。
これは………


『アプトノス?』
「ニンゲンが喋った!」
「お前俺達の声が分かるのか?」
『何で喋ってるの?』
「俺達が聞きたい」
「そうだそうだ!」


あぁもう。またもやギャーギャーと喚いている。
頭に響くから止めて欲しいんだけど。


『煩い』
「ニンゲンが怒ったぞ」
「お前のせいだろ」
「いや、お前が悪い」
『もういい。私が出てくから』


アプトノスは喋るとこんな感じなのか。
煩くてしょうがないのでここから避難することにした。
ふと目の前のアプトノスの足が傷付いてるのが視界に入る。
なかなか痛そうだ。
彼らの寝床を占領したことは謝らないといけないな。
そう思ってなんとなくその傷にそっと触れてみた。
ただ本当になんとなくの行動だった。
触れた瞬間にぼんやりとその傷が光ったのだ。


「何してるんだニンゲン」
「なんだその光は」
『なんだろ?』
「あ、傷が痛くないぞ」
「ほんとにか?」
『傷口なくなったみたい』
「どうやったんだニンゲン」
「良かったな!」
『触っただけだよ?』
「お前は変なニンゲンだな」
『そうなの?』
「俺達の言葉は普通ニンゲンは分からない」
『え?』
「傷も治せないぞ」
『え?』
「モンスターの言葉が分かったら狩りなんて出来ないだろニンゲン」
『確かに』


本当にたまたま傷口を触っただけなんだけどまぁアプトノスが喜んでくれたのなら良かった。
しかし何でまたモンスターの言葉が分かるんだろう?
傷も治せないのか。
確かにモンハンでもモンスターの言葉は分からないし傷を治す能力なんてないな。
と言うかこれは夢?凄いリアルなんだけど。


『まぁいいや。じゃ私は行くね』
「ありがとなニンゲン」
「変なニンゲン気を付けてな」


二匹?二人?のアプトノスに挨拶してそこから出ることにした。
そっと外の様子を伺う。
うん、暗いよね。
夜の独り歩きは絶対に危険な気がする。
そもそも武器の類いは全く持ってないし。
あのアイルー大剣くらい寄越せってんだ。
とりあえず外は危険だし朝になるまではアプトノスに世話になろうと勝手に決めた。
傷も治してやったから問題無いだろう。


「どうしたニンゲン」
『外暗いから泊めて』
「面白いことを言うなニンゲン」
『他に知り合い居ないし』
「好きにすればいい」
「朝にご主人が来るからその前に出ていけよ」
『分かった。ありがとう』


二人が既に横たわっていたからその間へと滑り込ませてもらった。
うん、体温が温かいな。
起きたら目が覚めてるといいんだけどなぁ。


最初の出逢いは家畜化されてるアプトノス。
大人しい草食竜です。
まだまだキャラとは出逢えないなぁ。
2018/04/19

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