09

━━イソイデ。オネガイ、イソイデ。ハヤクシナイト、"セカイ"ガコワレル━━


貴女はいったい誰なの?
どうして私に助けを求めたの?何で私だったの?問いかけたのに言葉は声にならず意識は飛散した。
うっすらと意識が覚醒していく。あぁ、また夢だったのか。


「やっと起きたねニンゲン」
『あーイャンクック?おはよう』


目を開けたら私を覗き込むイャンクックの顔があった。うん、きっと私じゃ無かったら悲鳴をあげてると思う。上半身を起こしてグッと両手を上げて伸びをする。なんだかぐっすり寝れたような気がするなぁ。


「早速だが君に紹介したいモンスターがいるんだが大丈夫かい?」
『私に?えぇといきなり襲われたりしないかな?』
「彼はどうやら君のことを知っているから大丈夫だよ」
『どういうこと?』
「リオレウス、ドスランポス入ってくるといい」


イャンクックは私の言葉に答えず巣の入口へと声をかけた。その声に反応するかのように二人が顔を覗かせる。あれ?二匹?まぁ二人でいいか。
あれは確かにリオレウスとドスランポスだ。
…え、大丈夫?ドスランポスはハンターと戦ってるとこみたよ?


「本当にハンターじゃないんすか?そのニンゲン」
『イャンクック、思いっきり疑われてるよ』
「まぁ彼は親をハンターに殺されてるからね。君に用事があるのはリオレウスの方だよ」
『リオレウス?』


ドスランポスは私に近付いてフンフンと匂いを嗅いでいるようだ。あれ、犬みたいでちょっと可愛いかもしれない。
撫でようと手を伸ばしたら後ろに後退りしてしまった。驚かせるつもりは無かったんだけどなんかごめん。
イャンクックに言われてリオレウスと目があった。けれどこの世界に来てリオレウスと会うのは初めてだ。


「あの、おれ日向翔陽って言って…その変な夢を見たんだ」
『夢?』
「変な声が君を助けてって言ってて気付いたらこの世界にリオレウスの姿でいたんだ」
『私を?助けてって?』
「そう。えぇと君の名前は」
『椎名凛だよ』
「椎名さんの顔が浮かんでそのまま真っ暗になってその後はここの洞窟に居た」


名前があるってことは本当に彼は元人間だったんだと思う。ちょっと信じれないけど私がこの世界にいるのだって本来ならば変な話だもんね。


「面白い話だろう?」
『確かに同じ世界から来たんだと思います』
「椎名さんは最初から人間だったの?」
『うん』
「何でおれだけモンスターになっちゃったんだろ」
「旦那ほんとどうしちゃったんすか?」
「ドスランポス、君は少し黙っておいてくれないか?」
「クック先生はこのニンゲンの言うことを信じるんすか?そういや風の噂で聞きやしたけどガノトトスが記憶喪失になったらしいっすね」
「トトスがかい?それは心配だね」


ガノトトス?確か水辺に住むモンスターだよね?そして目の前にはリオレウスになってしまった元人間の日向がいる。


『イャンクック』
「どうしたんだい?」
『もしかしたら日向みたいな人間が何人かいるのかもしれない』
「どーゆーことっすか?」
「この世界が滅ばないためにと誰かが君を呼んだように彼らも呼んだと言うことかな?」
『そんな気がする』
「てことはおれの他にもいるってこと?」
『多分。だって私と日向だけじゃどうにも出来ないでしょ?』
「と言うことは記憶喪失のトトスもその可能性があるってことだね」


この世界で頻繁に記憶喪失になることがあるってわけじゃないのならその可能性は高い気がした。ドスランポスグッジョブだよ!


「何か難しい話っすね」
「ドスランポス君がちょっと羨ましいよおれ」
「そうなると急がないといけないね」
「え?」
『どうして?』
「君達の仲間がハンターに倒されないとは言い切れないだろう」
「『あ』」


そうか、これは世界を二分する戦いではあるけれどこっちの人間は基本的にノータッチなんだ。てことは急いで仲間を集めないといけない。ハンターに殺される前にみんなを見付けないと。


「なら急がないと」
『そうだね、何人いるか分からないけれどみんなを集めないと』
「君達は砂漠に行くといい。トトスはそこにいるだろうからね」
『イャンクックは?』
「私はもう一度ラオシャンロン樣に会いに行ってくるよ」
「じゃあ俺はこれで帰」
「ドスランポス、彼らを砂漠に案内してあげなさい」
「えぇ。砂漠暑いじゃないっすかー」
「頼むよドスランポス君」
『お願いドスランポス』


私達はこの世界に来たばかりだから場所が全く分かんないんだ。道案内が居ないと砂漠に辿り着けないと思う。
砂漠に行くとなると確かに暑い気がする。
クーラードリンクが必要だよね?と言うことは一回村に帰らないといけない。


「あぁ、そういえば夜行かないとトトスは出て来ないかもしれないね」
「そうっすよ!ガノトトスも暑いの苦手っす!」
「じゃあ夜出発するってことでいいのかな?」
『夜か。じゃあホットドリンクだよね』
「なんだい?」
『準備があるから一旦村に帰ってもいい?』
「おれはここにいる」
「俺はちょっと見回りに行ってくるっす」
「じゃあ私が村まで送っていこう」
『いいの?』
「リオレウスじゃ目立ってしまうからね」
『ありがとう』


しばらく帰れないかもって村長に話しておかなくちゃ。ついでに色々と買えるだけ買っておこう。誰がいつどこで怪我するか分からないもんね。
私以外にも同じ世界から来た人達がいると知って少しホッとした。
けれど何人来てるのか分からないからやっぱり急がないとだよね。
当面の目標は仲間集めになりそうだ。


久しぶりの更新。
やっぱり書いてて楽しいのがモンハン!
2018/10/09

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