Day-to-day of cat

『ねーむーい』
「鼻水出てんぞお前」
「みょうじ、ティッシュ」
『福永ありがと』
「風邪引かないでよ。こんな時期に」


今日も早起きして朝練だ。
昨日帰りに雨に降られてせいなのか鼻水がたらたらと垂れる。
福永がポケットティッシュを差し出してくれたからありがたく使わせてもらうことにした。


『ヒックシュン!…あー風邪ひいたかも』
「さっき引かないでよって言ったばかりなんだけど」
「だから昨日夜久さんに送ってもらえば良かっただろ」
「そうだよ」


だって昨日はどうしても観たいテレビドラマがあったんだ。
夜久さんの申し出はとっても嬉しかったけど歩いて帰ったら間に合いそうになかった。
ダッシュで帰って濡れたままテレビを観たのが問題だったかもしれない。


『ドラマ観たかったから』
「録画すればいいのに」
『昨日はお父さんも居なかったからヤリカタが分かんなかったんだよう!』
「相変わらず機械オンチだよねみょうじって」
「そんなの簡単だろ?何で出来ないんだよ」
『分かんないものは分かんないんだってば!』
「何回教えても失敗するしな」


三人して酷い。
だってどう頑張っても出来ないんだもん。
お父さんに目の前で実際にやりながら説明されても分からないんだから口で説明されたところで出来るわけがない。


「おー朝から仲良しだなお前ら」
「クロ、間に合ったのなら良かったね」
『おはようございます』
「みょうじ、鼻声じゃない?」
「夜久君、多分風邪引いてるよ」
「はぁ?だから送るって言っただろ」
「夜久さんに怒られっぞ」
「だね」
『あ!ドリンクの準備してきます!』
「おい!まだ話は終わってねえし!」
「夜久、みょうじ行っちゃったよ」
「お前らみょうじちゃんと見とけよ」
「同じクラスの虎の責任だね」
「俺かよ!?」
「唯一普通に話せる女子なんだから大事にしてよ山本」
「!?」


危ない。朝から夜久さんに怒られるところだった!
ギリギリ逃げれたから良かったー。
さて、今日も朝練から張り切って頑張りましょー!
鼻水は垂れるけどそれだけだもんね。
福永がポケットティッシュをくれたから大丈夫なはず!


「おい、メシ食いに行くぞ」
『あー山本ー?』
「授業がつまらないからって寝過ぎなお前」
『んー食欲無い。寝たい』
「は?」


4限はぐっすり寝てしまったらしく気付いた時には昼休みだ。
山本が起こしてくれたけれど身体が怠い気がする。


「お前風邪悪化してね?」
『んー眠いだけだから放っておいて』
「や、待て。寝るな。起きろ」
『やーだー』
「起きろってば」


山本に腕を掴まれて無理矢理立たされた。
瞬間カクンと膝の力が抜ける。


「おまっ!危ねっ!」
『おーナイス山本ー』
「ナイスじゃねぇって!起きろみょうじ!」
『無理です』


どうやら倒れる前に山本が支えてくれたらしい。やれば出来るじゃん山本。
何やら電話で話してる気がするけどもうその内容も耳に届いて来なかった。


「馬鹿なのかな」
『すまん』
「先生曰く朝から熱があったんじゃないかって言ってたよ」
「俺もすげー焦ったんだからな」
「山本の慌てっぷりは笑えた」
「虎もそれくらいで電話してこないでよ」
「や、どうしていいか分かんなかったんだよ!」
「普通にみょうじを保健室に運ぶだけだよ」
『山本が運んでくれたの?』
「違うよ。結局みょうじを支えたまま身動き取れなかったから福永が運んだ」
『あーやっぱり山本には荷が重かったか』
「みたい」
『ありがとね福永』
「全然ヘーキ」
「お前ら俺のこと馬鹿にしすぎだろ!」


「保健室で騒がない!」って保健の先生に怒られて山本は黙りこんだ。
あれ?今何時だろ?


『お昼ご飯は?』
「もう放課後だよみょうじ」
「部活前に顔出したんだよ」
「顔色はだいぶ良くなったんじゃね?」
『お腹空いた』
「今日は部活はいいから先に帰りなってクロから伝言ね」
「後明日夜久さんに怒られるよ多分」
『げ』
「ちゃんと気をつけて帰れよ」
『……やだ』
「「「は?」」」
『今日はお父さんもお母さんも遅いし観たいテレビドラマも無いから一人で帰りたくない』


帰った所で一人ぼっちなら学校に出来るだけ長く居たい。
いつもなら平気だけど今日はなんか嫌だった。


「みょうじってたまに凄いワガママだよね」
「主に弱ってる時に」
「あーじゃあ帰りに送ってやるから俺達が」
『ほんと?』
「虎が言い出したら俺達も付き合うしかないでしょ」
『ご飯は?』
「みょうじの心配って少しずれてるよね」
「福永が何か作ってくれんだろ」
「えー別にいいけど」
『カレーなら材料うちにあるよ』
「風邪引いてるんだからみょうじは駄目」
「雑炊とかだろね」
「ちゃんと終わったら迎えに来るから大人しく薬飲んで寝とけよ」
『分かった。三人ともありがとね』


代わる代わる私の頭にポンと触れて三人は部活へと向かった。
相変わらず私が弱ってる時は優しいなぁ。
普段は夜久さんまではいかないけど結構スパルタなのに。
先生に言われて薬を飲んでもう一眠りしてしまおう。
そしたらあっという間に三人が迎えに来てくれるはずだ。


「ってことだから」
「へーへー俺は寂しく一人で帰りますよ」
「クロ気持ち悪いこと言わないでよ」
「そうだぞ黒尾」
「ちょ!海まで酷い!」
「なぁなぁお前らに取ってみょうじって何なの?」
「「「?」」」
「夜久、質問の意味分かってないよコイツら」
「別にちゃんと俺は分かってるよ」
「確かに気になるよなー」
「単に手間のかかる妹みたいな感じかと」
「福永の言うことが一番あってるかもね」
「だから山本も平気なんだなー」
「あかねちゃんみたいなものだからね」
「夜久さんの言ってる意味俺全然分かんないんスけど」
「山本はそれでいいよ」


部活が終わって三人が迎えに来る頃には私の熱もだいぶ下がっていた。
先生にもこれなら歩いて帰れるって御墨付をもらったはずなのに。


『山本すまん』
「ベッドから降りる時に足を捻挫するとか」
「どんくさいことしたねみょうじ」
「先生も苦笑いだったよ」
「お前ちゃんと足元は確認しろよ!」
『うん、ほんとにごめん』
「虎とみょうじの荷物は俺達が持ってるんだからね」
『二人もごめんね』
「ごめんじゃなくて他に言うことあるだろ」
『三人ともありがと』
「おーそれなら良し」
「お兄ちゃんしてるね山本」
「他の女子にもみょうじみたいに接すればいいのに」
「は?いや無理だろ」
『妹増やしたら駄目だよ!』
「おい、背中で暴れるなって」
「やっぱりみょうじってずれてるよね」
「天然なんだよきっと」


結局山本におんぶしてもらって帰宅することになった。
ほんとに自分が情けない。
妹ポジションが増えたら困ると抗議の声をあげたら三人とも反応が微妙だった。


「あかねより手間かかるだろお前」
『あかねちゃんしっかりしてるもんねー』
「そこ感心するとこじゃないよ」
「反省するとこだからね」
『えぇ』


家に着いた時には熱もすっかり下がってたから福永とカレーを作って私も一緒に食べることにした。
明日悪化してたら怒るよって研磨が言ったけどまぁきっと大丈夫だろう。
やっぱり同じもの食べたいもんね。


「明日はとりあえず朝練参加しなくていいって」
『え!?』
「とりあえずその足治せよ」
「じゃないと逆に迷惑かけるよみょうじ」
『マジか』
「昼は迎えに行くから」
「部室で食べような」
『分かった』
「ちゃんと寝ろよ」
「薬も飲んでよ」
「鍵もかけてね」
『お母さんか!』
「じゃあみょうじまた明日ね」
「ちゃんと学校来いよ!」
「風邪悪化させないように」


三人を見送って言われた通り玄関に鍵をかける。
夜久さんに続いて保護者が増えてるような気がしなくもない。
でもいつだって三人は優しいからつい甘えちゃうんだよね。
薬を飲んだらさっさと寝てしまおう。
そしたらまた明日三人に会える。
明日風邪がちゃんと治ってますように。


ひかり様リクエスト。
音駒の二年組の日常のお話とのリクエストでした。書いてて気付いたこれ日常話じゃない(´・ω・`)
こんな感じで毎日を送ってますよーってのが伝わればいいんだけれど。
恋愛感情の無い親愛みたいな感じをイメージして書きました。
女子に免疫のなさそうな山本も夢主ちゃんは妹分だから平気みたいな。
ねこねこでもあんまりスポットの当たる三人じゃないので書いてて楽しかったです!
リクエストありがとうございました!
2018/06/18


Modoru Main Susumu
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