LOVE-TRAIN

今日も朝の通勤通学ラッシュは激しい。
電車の本数が少ないのが原因なんだからもっとJRも対策を考えた方がいいと思う。
今日もギュウギュウと押し込まれてあっという間に開かずの乗車口へと追いやられてしまった。
こっち側は終点まで開かないから嫌だったのに。
今日は朝練が無いから孝支も同じ電車のはずなのにこの人の多さだ。会えそうにもない。


ふとお尻に違和感を感じた。
え?何これ。気のせいだよね?
鞄が当たってるだけだよね?
そう思いたかったのにどうやらそれは手の甲みたいだ。
え、これって痴漢?ほんとに?
混んでるから当たっちゃってるだけだよね?
きっとこの手の持ち主も困ってるはず。


そう割り切ろうとしてたのにいつの間にか手の甲じゃなくて手の平でお尻を撫でるように触っている。


やだ。これ本当に痴漢だ。
ぞわぞわした嫌悪感が込み上げてくる。
スカートの上からお尻を撫でる手付きが少しずつ大胆になっている。
指が私のお尻の割れ目をそっと撫でた瞬間鳥肌が全身に走った。


どうしよう。何とかしなくちゃ。
このままじゃ痴漢になされるがままになっちゃう。そんなの絶対に嫌だ。
抵抗するように身を捩るのにその手はせせら笑うように私のお尻を鷲掴みにした。
『ひっ』と小さく悲鳴が漏れる。
怖い。孝支、怖いよ。


ぐっと唇を噛み締めて込み上げる嫌悪感に耐えていた時だった。くぐもった悲鳴が小さく聞こえてお尻を触る手の感触がなくなったのだ。
ちょうど駅に着いたらしく私の周りの人間も慌ただしく入れ替わっている。


「なまえ?大丈夫か?」
『孝支?』
「遅くなってごめんな」
『怖かった』


耳元で孝支の声が聞こえてやっと安心することが出来た。
身を捩って孝支の方を振り向くと私のことを守るように立ってくれている。
あぁ、良かった。孝支が来てくれた。
ホッとして身体の力が抜けたのを孝支が咄嗟に支えてくれた。


「なかなか身動きが取れなくて遅くなったべ」
『私、怖くて何も言えなくて』
「大丈夫だから。ごめんな」
『孝支が来てくれて良かった』


相変わらず車両はギュウギュウ詰めだけれど今は孝支が居てくれる。
孝支に会えた安堵のためかぽろりと涙が溢れた。


「泣くほど怖かったんだな」
『ごめん』
「なまえが謝ることないだろ?」
『でも』
「俺の方こそごめんな」


優しく孝支の手が私の頭に乗せられる。
孝支に会えたのに泣くなんて私どうしちゃったんだろう。


「なまえ、俺がいるからもう大丈夫だよ」
『うん』


頭に乗せられた手が頬に移動して親指で涙を拭ってくれた。
その手に頬を刷り寄せる。
そうだよね、孝支が居るんだからもう泣かなくても大丈夫だよね。


『孝支ありがとう』
「お、やっと笑ったな」
『孝支が来てくれたから安心出来たよ』
「あと少しで駅着くからそれまで我慢な」
『うん、大丈夫だよ』


駅に着くまで孝支は周りから私を守るように立っててくれた。
体勢がキツかっただろうにごめんね孝支。


『痴漢なんていると思わなかった』
「満員電車だからなぁ。女子高生は狙われやすいって言うし」
『何で孝支分かったの?』
「なまえが同じ車両にいるのは気付いてたからずっと見てたんだよ。そしたら様子がおかしかったから」
『そっか。でもどうやって?』
「安全ピンでちょっとだけね」


だから小さく悲鳴が聞こえたのか。
安全ピン今度から私も持ち歩いた方がいいかな。今日は孝支が居てくれたけどたまたま朝練が無かっただけだし。
学校までの道を孝支と二人ゆっくりと歩く。


「なぁ、やっぱりマネージャーやったりしない?」
『何で?』
「や、朝練の時間ならまだそこまで電車混んでないだろ。そしたら痴漢の心配も無いし俺もいるし」
『あー』
「なまえが居てくれたら清水も助かるだろうし俺も、嬉しいかなって」


先に潔子ちゃんのことを先に言うのが孝支らしいなぁって思う。
私も痴漢にはもう絶対に会いたくないしマネージャーしてもいいかもしれない。


『うん、いいよ。やってみる』
「ありがとな。なまえが居たら俺今以上に頑張れるべ」
『孝支はいつだって頑張ってるでしょ』
「なまえがいるといないじゃ全然違うだろー」
『そうかなぁ?』


でもそしたらバレーしてる孝支が見られるし帰りも一緒に帰れるからいいかもしれない。
うん、私孝支のためにマネージャー頑張ってみるよ。


「なぁなまえ」
『どうしたの?』
「一応これ持っておいて」
『安全ピン?』
「念のためにな」
『分かった』
「もう他の男に絶対に触らせたくないからな」
『孝支』
「後から消毒でもするべ」
『えぇ!?』
「冗談だよ」


私の手に安全ピンを握らせてカッコいいことを言ったのに最後の最後で台無しだよ孝支!
私の反応を見てクスクスと楽しそうだ。


『びっくりした』
「学校じゃ無かったらしてたけどな」
『もう!』
「元気になったなら良かった」
『うん、もう大丈夫』
「早速今日から部活参加な」
『入部届け出しとくね』
「俺も大地には伝えとくな」


いち様リクエスト。
相手はHQのスガさんか及川さんで、
「彼女が痴漢されてしまい、犯人を撃退。彼女をやさしく慰める甘」もしくは、「倦怠期の切甘」とのリクエストでした。
及川さんで書きたかったのですがどうしても妄想がR18の方向にしか傾かなかったのでスガさんで書いてみました。
スガさん好きなのに難しい。まだまだ勉強不足なのだろうか( TДT)
及川さんverはそのうちR18で書いてみようかななんて考えております。
いち様リクエストありがとうございました!


Modoru Main Susumu
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