13・子犬みたいに懐いてくる君がどうしようもなく可愛くて。
『丸井先輩!丸井先輩!』
「おお、どうしたんだよみょうじ」
『今日はじゃーん!KitKatの新作もみじ饅頭味ですよー!』
「へぇ、旨いのかよそれ」
『まだ食べてないので半分こしましょ先輩!』
「サンキュ」


部活前にマネージャーのみょうじが俺のとこにやってきた。
もう毎日の日課みたいなモンになってる気がする。
KitKatを半分に割って俺に渡してくるから有り難く頂戴することにした。
甘いモンはいくら食っても飽きないんだよな。


『おお!想定外に美味しい!』
「ちゃんとアンコの味すんのなー」
『丸井先輩と食べれたから美味しさも二倍ですね!』
「なんだよそれ」
『そのまんまですよ?』
「煽てても何も出ねぇぞ」
『本心だもん。あ!部活の準備してきます!』
「転けんなよー!」
『転けませんよ!』


お前それ無意識に煽ってるよな?
なんだよその言い方。
何で言われたこっちが照れ臭いんだよ。
みょうじは単に可愛い後輩だ。
赤也と同じ可愛い後輩の一人だと思ってた。
でも最近なーんか調子狂うことが多い。
俺らしくねぇっつーか。なんだかなー。


「それでその話を俺にしてきたのかい?」
「ついでだしな。誰かに話してみたかったんだよ」


月イチの個人ミーティングがあったからついでに幸村に話を聞いてもらった。
ジャッカルに話すのは照れ臭いし仁王はからかってこられたら厄介だし真田は論外だし柳生と柳でも良かったけどタイミング的に幸村と話す機会があったから幸村に話した。
赤也?アイツは最初から頭数に入れてない。


「なんだよ、笑うなよ」
「だって丸井が今更そんなことで悩んでるとは思わなかったから」
「何でだろなー?俺にも分かんねぇよ」
「最近彼女が居ないのはみょうじの影響なんじゃないのかい?」
「は?」
「だってそうだろ?みょうじが入部してからお前彼女居ないし」
「そりゃたまたま」
「そうかな?それまでは途切れずにずっと彼女が居たよね」


幸村はクスクスとそんな俺を見て笑った。
確かに四月の頭に別れたっきり彼女は居ねぇけどそれが夏までたまたま続いてるだけだと思ってたし。


「そんなに自分の気持ちに鈍感なの珍しいね」
「や、だってアイツ後輩だぞ?妹みたいなモンだろい?」
「そうか、丸井は今まで年下の彼女居なかったっけ」
「年上か同い年しかねぇ」
「みょうじ可愛いしいいんじゃないの?向こうも丸井に懐いてるんだし」
「や、いいんじゃないの?ってアイツの気持ちだって」
「そうやって言うってことはそういうことだよ丸井」


「後は自分で考えなよ」と幸村に部室から追い出されてしまった。
まぁ個人ミーティング中だからな。後も詰まってるもんな。
幸村との話をまとめると俺がみょうじを好きってことになるのか?や、でも二つも年下だぞ?


「丸井君、珍しく難しい顔をしてますね」
「あぁ、柳生か」
「個人ミーティングで何かありましたか?と言ってもテニスの調子は良さそうですが」
「あぁ、テニスのことじゃねぇ」
「ではどうしたんですか?」


ジャッカルに次はお前だと告げたとこで休憩中の柳生と二人になる機会が出来た。
俺はこのモヤモヤを柳生に話すことにした。
誰かに聞いて貰わないと納得出来そうになかったんだ。


「二つも年下だからなー」
「年下だからと悩む必要は無いと思いますが」
「そうか?」
「えぇ。そうですよ。たった二歳の年の差で何を悩むことがあるんですか」
「なんつーか今更どうしていいか分かんないんだよ」
「今まで通りでいいんじゃないですか。みょうじさんも丸井君と話してる時が一番楽しそうですよ。勿論丸井君もですがね」


「それでは」と柳生は練習に戻っていった。
いけね、俺もそろそろ練習しねぇと真田に雷落とされる。


『丸井せんぱーい!お疲れ様です!』
「おお、お疲れ」
『はい、タオルとスポドリです!』
「ありがとな」


みょうじは今日も無邪気にあちこち走り回っている。
危ね、今転けそうになっただろ。
躓いただけでなんとか転けずに堪えたけど。
ったく危なっかしくて見てらんねぇな。


「お前さっき転けそうになってただろい」
『わ!見てたんですか!?』
「ちゃんと気を付けろって言っただろ」
『転けなかったですもん!』
「危なっかしくて見てらんねぇの」
『す、すみません。気を付けます』


俺の口調がキツかったせいかみょうじは肩を落としてるみたいだった。
叱られた小犬みたいになってんじゃねぇか。
あぁ、そうだ。いつだってみょうじは小犬みたいに俺に懐いてきてたんだな。


「なぁ」
『はい』
「今度の休み俺と遊びに行くぞ」
『えっ!?』
「なんだよ、駄目なのかよ」
『先輩それ本気ですか?』
「冗談で誘うほど酷い人間じゃねぇぞ」
『行きます!絶対行きます!台風来たって行きますよ先輩!』
「台風来たら家で大人しくしてろよ」
『先輩がせっかく誘ってくれたんだから絶対に行きます!』
「まぁ台風の予報じゃねぇし大丈夫だろ」


俺が一回誘っただけだぞ?
何でこんなにも喜んでるんだよコイツ。
尻尾があったらきっと物凄い勢いで振ってんだろな。
「今まで通りでいいんじゃないですか」と柳生が言った言葉が頭を過る。
まぁ焦っても考えてもなるようにしかならねぇもんな。
んできっとコイツが俺に一番懐いてるのも事実だ。
それなら俺らしく距離を詰めさせてもらおう。
いつかちゃーんと俺の彼女になってもらうからな。待ってろよみょうじ。


「どこに行きたいんだよ」
『丸井先輩と一緒ならどこでも!』
「お前何でそんな可愛いこと言うかな」
『え?本心ですよ先輩!』
「他のヤツに言うなよ」
『丸井先輩にしか言わないですって!』


それってお前俺のこと大好きじゃねぇ?
いっそ告白してこいよ。
あぁもういいや。今度の休みに俺から言うことにした。
そしたらコイツすげぇびっくりするんだろな。


七海様リクエスト。
丸井ブン太。
このお題が一番好きで誰で書くことになるかワクワクしてたらまさかのブン太リクエストで歓喜したって言う(笑)
後輩夢主最近好きです(≧∇≦)
七海様リクエストありがとうございました( ・∀・)ノ残りも楽しみにしてくださいませ!
2018/08/01
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