そんな彼女の口に人差し指を押さえつけて、黙らせる。 そして、戦人は右手を顔に添えて。 大声で笑い出した。
「ぷ…っはっはははははは! 駄目だぜ、全然駄目だぜ真里亞ぁ?」
いきなりの変わりように、真里亞は呆気にとらわれる。 それは亜弥も同じで、ビックリした表情で戦人を見つめていた。
戦人は指を真里亞の口から離すと、ポケットに両手を突っ込み──
「お前が傷つくだろうと思ったから黙ってたけどよ」
バッとポケットの中を引っ張った。 そこからはお守りどころか、何も出てこなくて。
それを見た亜弥の瞳には、光が戻っていた。
「お前にもらったお守りよ、ポケットに入れたつもりが、どっかに落っことしちまったんだぜ?だから俺が今も無事なのは、お守りのおかげなんかじゃねぇ!」
真里亞は目を丸くさせたまま固まっている。 そんな彼女に戦人はデコピンを食らわせた。
「俺は自分の目で見たものしか信じねぇ!第六感?波長?魔法のセンス? 悪いが俺は、そういう眉唾なモンは一切信じねぇ」
真里亞から視線を外すと、今度は嘉音たちの方を向いて指を指す。
「源次さんたちもさ!あんたらがいくら祖父様に給料もらってるか知らねぇが、俺を妙な宗教に勧誘しようったって無駄だぜ!」
「戦人様…」
「嘉音くんが信じるのは自由だがな…それはつらそうにしている亜弥よりも優先させることなのか?」
嘉音はその言葉を聞きはっとしたように、亜弥へと視線を向ける。 少ししんどそうな表情をしていることに気が付くと、嘉音は慌てて亜弥の元へと駆け寄った。
「いいか、俺が信じるかどうかは、常に!俺が!自分で決める…!! 悪いがこの目で見るまで、ベアトリーチェなんてうさん臭いものの存在を、信じるわけにはいかないぜ…!」
親指で自分をさすと、戦人はそう言い切った。 すると、黙っていた真里亞が口を開いた。
「…きひひひひひ。ならそれでいいんじゃない? いずれお前のような波長が全然合わない人間の目にも、ベアトリーチェは見えるようになる」
戦人は無視をし、亜弥の傍へ寄る。
「戻れるか?」
「僕が客間までお送りします」
「…ありがとう」
嘉音に肩を抱かれ、支えられている亜弥は、薄く笑みを向けた。
そして、戦人に続いて厨房から出て行く。 真里亞はそんな亜弥たちの背中を見つめたまま、しゃべり続ける。
「否定してもムダ、逃げてもムダ。 疑う必要も、無理に信じる必要も全くない。 だって──
もうじきベアトリーチェは蘇るんだからね」
嬉しそうな真里亞の声が、後ろから聞こえてきて。 しばらくの間、耳から離れなかった。
to be continue..
お久しぶりの更新となりました! いや〜、漫画沿いだから書くの大変です´` 何とか亜弥と嘉音を絡ませることに成功しました! それにしても…今回の戦人、何だかいつもよりかっこよかったですv
20090813
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