その後── 亜弥は朱志香たちのところへ戻った。 すると丁度秀吉が紙に何かを描いているところだった。
「うーん…多分こんな感じだったと思うで!」
完成したのは、丸い円の中に十字架の入った絵。
「それは何ですか、秀吉おじ様」
不思議に思い、亜弥は尋ねる。 すると戦人もやって来て、秀吉の描いた絵を凝視した。
「ああ、亜弥ちゃんは見とらんよな。この妙な魔法陣みたいな図形がな…赤い塗料か何かで倉庫のシャッターに描かれてあったんや」
一瞬、倉庫内の光景が頭の中をよぎる。 ズキッと頭痛がするのを感じた。
「こんな変なもん描きたがるのは祖父様だけだろ。まったく、どこ言っちまったんだ!?とっつかまえて、意味を聞き出してやりたいぜ!」
歯がゆそうに朱志香はそう声を上げた。 亜弥は、そういえば真里亞がこの手の類に詳しかったことを思い出した。
「ねぇ、真里亞はオカルト的なものに詳しかったよね。この魔法陣に見覚えとかない?」
返事は、ない。 ただ黙って秀吉の描いた絵を見ている。
が、しばらくした後。 両手で顔を押さえ、ひ…ひっと声を漏らしだした。 体はぶるぶると震えている。
そんな真里亞を見て、心配そうに亜弥はそっと手を伸ばす──
「真里亞…」
恐ろしいくらいに不気味な笑みをした真里亞がこちらを向いた。 亜弥は驚き、手を引っ込める。
顔から手を完全に退かすと、「きひひひひひひひ」と笑い出しす。 そして、散々笑い続けた後にぴたりと止めた。
みんながビクッとしつつも真里亞を見つめる中、今度はテーブルに置いてあったペンを持つと、自分のノートにガリガリと魔法陣を描き始めた。
「これは太陽の7の魔法陣だよ」
説明をしながらも、描く手は緩めなくて。 完成形を見た秀吉は、目を丸くさせた。
「ま…間違いない…確かにこんな文字も書かれとった…何でこんなん書けるんや…」
きひひひ、と真里亞は笑う。 そしてさらにまた描きだした。
「す…すごいね、真里亞ちゃん…。それで、この魔法陣にはどんな意味があるんだい?」
譲治の問いに、描く手を止めて顔を上げた。
「太陽の力を借りる魔法陣だよ。黄金で描き、護符にして身につけたる者はいかなる牢獄であろうとも束縛から逃れ、自由を得られる力を授けられる。 この束縛という意味は何も、肉体的なものだけを指さないと解釈されている。しがらみや逃れ得ぬ運命など、精神的な束縛からの解放も意味してるんだよ」
「束縛…しがらみや逃れ得ぬ運命からの解放? けど、それとあの6人の遺体とどんな関係があるんだ?解放どころか殺された上に、倉庫に閉じこめられてたんだぜ?」
戦人は疑問をぶつける。 すると真里亞はぎこちなく体を震わせ、不気味な笑みを浮かべて
「別に6人のめに魔法陣が描かれてるわけじゃないね。魔法陣のために6人はそこにいるんでしょ?お気の毒だよ」
またも、きひひひと笑う。 亜弥はよく意味が分からず、首を傾げる。 それに気づいた真里亞は、得を指差して説明し始めた。
「ほらここに書いてあるよ、詩編第116編16節と17節。読めないかなぁ?読んであげるよ。
『主は私の枷を解かれました。私はあなたに感謝の生贄を捧げ、主の御名を呼ぶでしょう』……ね?」
その説明を聞き、愕然となる。 つまり──
「6人は生贄だ…ってのか?」
にぃっと真里亞は口の端を吊り上げて。 きひひひひひ…と笑い出した。
その笑い声と魔法陣の意味に、亜弥は一瞬意識を手放しかけた。
to be continue..
長かったッ(汗) 約6時間かかりました← ほとんど漫画を追いかけただけなのに…ね´` 嘉音はお祖父様探しに行ってるし…さすがに出せなかった!汗
20090801
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