「何ですって!?」


いつの間に戻って来たのだろう。
夏妃の怒鳴り声が、客間に響き渡った。

亜弥たちは、視線をそちらに向ける。
すると、夏妃と源次の姿が目に入った。

話を聞いていると、どうやら無線機が使えなくなったよう。
源次が、明日の朝に来る船の通信機を借りることができる──そう口にすると、秀吉は船や他の連絡方法などを尋ねるが、望む返事はなくて。
ついには荒々しく叫んだ。


「そ…そんなアホな話があるか…!6人も死んだんやで!
台風が過ぎるまで、船が来るまで…わしらは外部と連絡もとれず、この島におれっちゅうことなんか!?」


亜弥たちは、固まった。

つまり、それって…。


「じゃあ俺たちはこの島から逃げることも、助けを呼ぶこともできないってのかよ…!?」


戦人の言葉に、亜弥は嘉音の腕をギュッと掴んだ。


「ま…待てよ、それじゃあ…」

「台風のせいでこの島は、昨夜から一切の交通手段が断たれてる…。
だから…明日の朝までこの島から出られないのは…僕たちだけじゃない…!」


朱志香に続いて、譲治が不安げな表情でそう口にした。


「つまり…」


戦人は顔を強ばらせ、


「6人を殺した犯人も、まだこの島にいるってことかよ…!!」


言ってみて、戦人自身驚きを隠せないでした。


秀吉は、これからのことを思い悩んでいた。
そしていい案が思いついたのか、声を上げた。


「そうや、お父さんや。お父さんに指示をあおごう!夏妃さんたち、お父さんの所へ行ってきたんやろ!」

「お父様はいなかった。部屋はからっぽだったのよ」


絵羽の返答に、嘉音は驚愕する。


「…お館様が書斎を出られたと言うのですか…?」

「そうです、私も驚いています。いつの間にか出たのやら…」

「お祖父様が書斎からでるなんて…よほどのことがない限りありえませんわ」


ようやく落ち着いてきたらしく、亜弥はいい子モードになっていた。
嘉音はそんな亜弥に無理はするなと言うように、優しく頭を撫でた。


「つまり、じゃあ…そのよっぽどのことがあったって考えるのが、自然だっちゅうんか…!」


嫌によくその言葉が、その場にいる全員の心に染み渡った。


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