07.魔女からの手紙



夕食後のこと。
真里亞が譲治に話し掛けた。


「譲治お兄ちゃん、これでご飯は終わり?」

「うん、おしまいだよ」

「じゃあ、お手紙読む!真里亞、お手紙読む!」


そう言って、自分の鞄をあさる。


「手紙?」


戦人が聞き返したとき、真里亞はテーブルに手紙を置いた。

片翼の模様が印された手紙を──



【第7話:魔女からの手紙】





大人たちは、その手紙を見て表情を一変させた。
朱志香はその変わりように、ほんの少したじろぐ。


「な…何で急にみんなマジになってんだ?この封筒が、どうかしたのかよ?」

「…その封筒は…金蔵さんの…!
この家紋が箔押しされた封筒も…当主の指輪で刻印された封蝋も…間違いない…金蔵さんの手紙です」


南條は驚きながらも、手紙を見てそう言った。
その言葉に、親たちは次々に否定をしていく。


「憶測でものを言うのはやめて頂こう、南條先生。
親父殿から手紙を貰ったことがある者なら、それを元に偽の封筒と封蝋を作り、親父殿を語ることができる」

「兄貴に同感だぜ」

「そうよ。どれだけお父様のものに酷似していても、本物であるとは証明できないわ」


彼らの表情を見て、亜弥は悟る。
恐れているのだろう、この手紙が本物で、自分の不利になることが書かれているのでは…と。
だからこそ、口々に違うと否定しているのだ。


「…真里亞、あなたそれをどこで拾ったの?」

「うー!傘を貸してくれた時に、ベアトリーチェにもらった!」


嬉しそうに、そして得意げに真里亞は続ける。


「ご飯が終わったら、真里亞がみんなに読んで聞かせろって言われた!真里亞は魔女の…め…め、"めっせんじゃ"なの!」


ぎゅうっと手紙を両手で握りしめる。


「得体の知れない何者かが手渡した怪文書です。読むにも値しません…!」

「いいじゃないの、誰が書いたのかはともかく。中身を聞いてからの判断でも」

「そ…そうやな。中身が気になるんは事実や…読んでくれ、真里亞ちゃん」


秀吉の言葉に真里亞は頷き、スゥ…と息を吸い込んだ。
そして、手紙を読み出す。


「六軒島へようこそ、右代宮家の皆様方。私は、金蔵様にお仕えしております、当家顧問錬金術師のベアトリーチェと申します」


亜弥は首を傾げる。
そして、隣の戦人にそっと話しかける。


「錬金術師って何?」

「えーっと…錬金術に携わる研究者…か?」

「質問を質問で返さないでよ」

「わ、悪ぃ…」


頬掻きながら苦笑する。

そのとき蔵臼が、


「誰だか知らんが、くだらん戯言を…!」


と吐き捨てるように言った。


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