「魔女は魔法で何でもできる!愛を与えることも、奪うことも! 空も飛べるし、黄金もパンも生み出せる!うー!うーうー!!」
そんな真里亞を前に、戦人は少し焦る。
「何だよぅ、ムキになりすぎだぜ、真里亞…」
「真里亞は本気で魔女がいるって信じてるんだよ。戦人だって昔は、サンタクロースとか信じてただろ?」
そっと、朱志香は耳打ちした。
「うー!!魔女はいるー!!ベアトリーチェはいる!!」
真里亞は力強く魔女の存在を肯定する。 そして亜弥に抱きついた。
亜弥は真里亞を優しく抱きしめた。
「真里亞は将来魔女になりたいんだよね。私は魔女を信じるよ?」
「うー、亜弥大好き!」
「…悪かったよ、魔女は真里亞の憧れで夢なんだよな…。俺も信じるぜ、魔女はいるよ」
「うー…」
キッと戦人を睨みつける。 そんな真里亞に、戦人は困ったように頭を掻いた。
「参ったな…すっかりご機嫌損ねちまったぜ」
どうしたものかと思い悩む戦人を見て、紗音は口を開いた。
「…真里亞様。私たち使用人の間では、ベアトリーチェ様の怪談が語り継がれているんですよ」
閉めたはずの窓が開いていたり、点けたはずの灯りが消えていたり、あるはずの物がなくなったり。 そのような不思議な出来事は、ベアトリーチェの悪戯だと言われている。 最近では、肖像画のベアトリーチェが、夜な夜な絵から抜け出して徘徊している噂もある。
そう、紗音は語った。
「…そりゃ…不気味だな…」
「実際に鬼火や、輝く蝶々が舞っているのを見たという使用人もいます。…嘉音くんもそうですし…」
「私もその話、嘉音から聞いたよ。おかげで夜怖くてトイレ行けなくなったよ…」
「ぷぷっ可愛いなぁ〜亜弥は」
「まぁ、嘉音に付いて来てもらってるけどね」
「へ〜…って、何て破廉恥な!」
戦人は顔を真っ赤に染めた。 亜弥はそんな戦人を不思議そうな顔で見た。
「とにかく、ベアトリーチェを悪く言わなければ大丈夫なんでしょ?」
「はい。でも以前階段から落ちて怪我をして辞めた使用人は、ベアトリーチェ様を悪く言っていたとか…」
「うー、戦人と朱志香…ベアトリーチェを馬鹿にしたからお怒りにふれるー!」
その言葉に、戦人と朱志香は慌てだす。
「ええ!?悪かったぜっベアトリーチェ様、ごめんなさい!!」
「わっ私も謝るぜ」
「うー」
そんな2人を見て、譲治は優しく真里亞に話しかけた。
「真里亞ちゃんは魔術に詳しいよね?二人を魔女のお怒りから守れないかな。 おまじないとか魔除けとかでさ」
「うー」
真里亞は鞄をあさる。 そして、サソリのアクセサリーを2つ取り出し、戦人と朱志香に差し出した。
「うー!このお守りなら、ベアトリーチェも大丈夫! サソリは、魔除けの力があるから!」
朱志香がそれを受け取ると、真里亞は自信満々で言葉を続ける。
「心に平穏が欲しい時は腕に!ドアノブにかけておくと、悪いモノが入ってこられなくなる!うー!」
戦人は真里亞の手から、残りのアクセサリーを受け取った。
見るからに安物だ。 けれど、お守りは質ではない。 気持ちの強さだ。
「ありがとうな!万が一祟りがあるときでも、真里亞のお守りのおかげで安心だぜ」
ウインクと共に、真里亞にお礼を告げる。 真里亞は照れながらも、得意げに
「うー!」
と笑顔で言った。
to be continue..
嘉音が出てない´` そしてただ漫画を追いかけただけって感じです← でも何気に大変でした(笑) 次は嘉音が登場する…はず!
20090703
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