05.碑文の謎



懐かしき、故郷を貫く鮎の川。
黄金郷を目指す者よ、これを下りて鍵を探せ。

川を下れば、やがて里あり。
その里にて二人が口にし岸を探れ。
そこに黄金郷への鍵が眠る。

鍵を手にせし者は、以下に従いて黄金郷へ旅立つべし。

第一の晩に、鍵の選びし六人を生贄に捧げよ。
第二の晩に、残されし者は寄り添う二人を引き裂け。
第三の晩に、残されし者は誉れ高き我が名を讃えよ。
第四の晩に、頭をえぐりて殺せ。
第五の晩に、胸をえぐりて殺せ。
第六の晩に、腹をえぐりて殺せ。
第七の晩に、膝をえぐりて殺せ。
第八の晩に、足をえぐりて殺せ。
第九の晩に、魔女は蘇り、誰も生き残れはしない。
第十の晩に、旅は終わり、黄金の郷に至るだろう。

魔女は賢者を讃え、四つの宝を授けるだろう。
一つは、黄金郷全ての黄金。
一つは、全ての死者の魂を蘇らせ。
一つは、失った愛すらも蘇らせる。
一つは、魔女を永遠に眠りにつかせよう。

安らかに眠れ、我が最愛の魔女ベアトリーチェ



【第5話:碑文の謎】





戦人たちは浜辺にシートを敷いて、みんなでくつろいでいた。
そんな中、真里亞はメモ帳に書いておいた碑文を読み上げる。
丁度そのとき、亜弥がやって来た。


「やっぱりここにいた〜」

「おっ亜弥〜お帰り」

「たっだいまー!」


亜弥は黒のストライプ模様のワンピース型の服を着て、元気よく片手を上げた。


「さっきの服もよかったが、今のも似合ってんなぁ〜!」

「わーいっありがとう!これ、嘉音が選んでくれたんだよっ」

「うわぁぁあ!なんか腹立つ!!」

「??」


頭を掻きむしる戦人に、亜弥は首を傾げた。


「あ、亜弥様、どうぞこちらに…」

「ありがとう、紗音」

「いえ、お礼を言わなければならないのは私の方です。先ほどは本当にありがとうございました」


食堂でのことを言っているのだろう。
さすがの紗音も、あれは自分のためにやってくれたことだと気づいたようだ。


「いっひっひ〜、亜弥もやるじゃねぇか!」

「私は何にもしてないよ?」

「まぁ〜たっしらばっくれてよぉ!」


このこのっと戦人は悪戯顔で亜弥を小突く。
するとみんなはどっと笑った。


「それで、みんな何してたの?」

「ああ、碑文について話してたんだよ。一体何なんだよこれ」


亜弥の質問に、戦人は真里亞のメモ帳を指して答えた。


「うー!真里亞知ってる!黄金の隠し場所ー!」

「黄金…」


得意げに真里亞はそう言った。


「ってーとアレか?祖父様が資本金にしたっていう、伝説の10tの黄金!」

「そうだよっでも、2年前に絵と碑文を書かせたお祖父様本人は名言していないんだけどね〜」

「碑文は黄金のありかを示したもので…謎を解いた者に黄金と家督を譲るという意味じゃないかと、親類の間では言われてるんだ。
ちなみに黄金10tを現金に換算すると…200億円くらいにはなるね」


譲治の説明に、周りは目を丸くさせる。


「そ…そんなにとんでもない額だったのかよ…」

「さすがに想像がつかねぇぜ…。マジなら何とも景気のいい話じゃねぇかよぅ!」


戦人は右手の指を使って数を数え出す。
そしてやる気が出たらしく、戦人は真里亞の手帳を軽く指で弾いた。


「宝のありかを示した碑文とくらぁ、挑んでみるっきゃねぇよなあ!な、亜弥っ」

「そうだねっ!」

「それで新婚旅行だ!世界一周しようぜ!」

「戦人、海に沈めてやろうか…?」

「じぇ、朱志香…目がマジ」


恐ろしいオーラを放つ朱志香に、戦人は顔をひきつらせる。


「まあまあ、それより早く解こうよ!」

「そうだなっ亜弥!」


朱志香はころっと笑顔に変えた。


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