「メリークリスマぁスっ!」
「・・・・・・は?」
部屋に呼び付けた嘉音が入って来たところで、パーンッとクラッカーを鳴らして出迎える。突然の事で驚いたような表情をした嘉音は、私の言葉に怪訝そうな表情を浮かべた。 クリスマスにはまだ早いけれど、丁度その時期に嘉音がシフトから外されていると知った私はどうしても嘉音とクリスマスっぽい事をしたい、とお姉ちゃんと紗音に相談した。ら、あれよあれよと話は広がり、他の使用人達の協力を得て、今日祝ってしまえ!となった訳なのだ。 それにしても、使用人達のノリが良くて助かる。けど、どうせだったら誰かがクリスマスの日のシフトを嘉音と代えて欲しかったなぁ。私の我が儘なんだけど。
「と、まあ、こんな訳なの」
「・・・ふーん」
突然のクラッカー攻撃の説明をしたものの、嘉音は気の無い返事。ぶうっ、とほっぺを膨らませた私を尻目に、ソファに座っていた私の隣にドカッと腰を下ろした。
「嘉音、」
「・・・・・・何?」
「その、・・・機嫌悪い?」
「・・・・・・・・・」
何だか何時もと違う嘉音の雰囲気に、様子を伺うようその顔を覗けば、ふいっと顔を反らされた。 どうしよう、嘉音を怒らせちゃったかもしれない。私はただ、嘉音とこういうイベントをしたかっただけなのに。そう思ったら、私の顔も自然と下を向いていた。
暫しの沈黙。それを破ったのは、突然吹き出した嘉音だった。
「・・・・・・?」
「・・・っ、ご、ごめん。ただ、その、亜弥が可愛いかったから、つい」
嘉音のその台詞に、私の顔がボンッと熱くなった気がした。
「へ?・・・え?」
「何、その反応?」
「や、だって・・・」
「僕だって、言うときは言うよ」
私の反応に不貞腐れたような表情を浮かべたものの、直ぐに小さな微笑みを浮かべ「ありがとう」と呟いた。
「正直、凄く嬉しかった。本当に僕は亜弥に愛されてるんだなぁって」
「嘉音・・・」
普段あまり聞けない彼の甘い言葉にホッとしつつも、とても嬉しくて。私は横から嘉音にギュッと抱き付いた。
「嘉音、大好きっ」
「はいはい」
くすくすと笑いながら私の頭を撫でる嘉音。本当に今日が聖夜だったら良かったのに。そう思ったけれど、そっと近付いてきた嘉音の影に、二人で居れば何時だって甘い甘い一時を過ごせるんだって思ったの。
淡い甘い口づけを
「・・・・・・ん」
「・・・亜弥、」
「うん?」
「ケーキつまみ食いしたでしょ?」
「!何で分かったの?」
「・・・・・・甘い味がしたから」
純愛アラベスク 奏嘉香夜さまより頂きました。 相互本当にありがとうございます!
20101204
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