02


普段の私からは想像もつかないくらいの早さで準備をし、家を出る。
いつもこれだけ早くできれば何事もスムーズに行うことができるのに…本当に自分は現金な性格をしているな。
いつもベイブレードの特訓をしているタカオの家の庭に行くと、そこには既に私以外のメンバー全員が揃っていて。
輪の中心ではタカオとカイがベイバトルをやっていて、他のみんなはその様子を見ている。
みんな早起きだなぁ、なんて関心していると、いち早く私が来たことに気付いたヒロミがこちらに駆け寄って来た。


「アヤ、来るのが遅いわよ。せっかくさっきまでレイがマックスとバトルしてたのに」


会って早々、小言を言われてしまった。
けれど悪い気はしない、むしろヒロミの優しさが感じられて嬉しい気持ちになった。
ヒロミは私がレイに想いを寄せていることを知っている。
というか、何故かレイ以外の全員が知っているらしい。
カイやキョウジュなら分かるけれど、まさか鈍感なタカオまで知っていることには本当に驚いた。
その情報を教えてくれたのは、勿論ヒロミだ。
悩みも親身になって聞いてくれているし、応援し協力もしてくれている。
私とレイを絶対にくっつけるぞと躍起になっているからだろう、最近のヒロミはレイ関連にはかなり敏感になった。


「ごめんね。実はさっきまで寝てて…」

「やっぱり。そんなことだろうと思ったわよ」


仕方ないわねとヒロミは苦笑し、私の手を取るとみんなのいるところへ歩き始める。
そこへ着くとすでにベイバトルは終わって、タカオが膨れっ面で地面に胡座をかいて座っていた。
さてはカイに負けたな。
そんな風なことを考えていると、肩をポンッと叩かれ、誰だろうと振り替えるとそこにはレイの姿があり、私の体温は一気に上昇した。


「おはよう、アヤ」

「おっおはよう、レイ」

「作ったんだが、食べるか?」


そう言うとレイは、持っていたお皿を私の方に向けた。
見るとお皿には肉まんがあり、ほくほくで美味しそうな匂いを放っている。
朝何も食べていなくて、そしてさらにレイの手作り。
私は悩むこともなく受け取った。


「ありがとう、もらうね」


一口ぱくりとかじると、来立てなのか外側はふわふわしていて、中はとても熱々だった。


「美味しい…」

「そう言ってもらえると、嬉しいよ」


照れ臭そうに笑顔を浮かべるレイの口元から、チャームポイントである八重歯が顔を覗かせる。
ああ、幸せだなあ…なんてこの状況に浸っていると、タカオが大きな声を上げた。


「あーっ!アヤ、ずりぃぞ!」

「空気読みなさい!」


ヒロミの鉄拳がもののみごとにタカオにヒットし、爽快な音が庭中に響き渡った。



ヒロミさん、少しやり過ぎな気が…。
(というかまず、そんなこと言ったらレイにバレちゃうよ!)


20101225




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