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空は雲一つない快晴。
今日も私たちBBAチームは、タカオの家の庭でベイの特訓をしている。
といっても、私はヒロミと縁側でお茶を飲みつつタカオたちの練習を見ている。
いや、実際見ているのはレイのことだ。
それに気付いたのだろう、ヒロミがにやりと笑い、肘で私の腕を小突いてきた。


「アヤ〜、そんなに見てるとレイに気付かれちゃうわよ」

「えっ、それは困る!」

「むしろバレた方が、アタックしやすいじゃない。…そうよ!」


湯飲みを持ったまま力強く立ち上がったため、お茶が勢いよく地面に飛び散る。
けれどヒロミはそんなことには見向きもせず、タカオたちのところへ行ってしまって。
何をする気だろうと、縁側に座ったままヒロミへ視線を向ける。
ヒロミはタカオとレイのベイバトルを囲むようにして見ているキョウジュとマックスの腕を掴むと、有無を言わさず二人をこちらまで連れてきた。


「ヒロミ、一体何事ネ!?」

「そうですよ…データをとっている最中だったのに」

「えーいっウルサイ!」


仁王立ちして腰に手をあてるヒロミに、二人は口をつぐんだ。


「私たち三人で、"アヤとレイをくっつけ隊"を結成するわよ!勿論拒否権は無いから。いいわね?」


レイに聞こえないよう、声を小さくしてヒロミはそう告げる。
そんな隊になんて入らないんじゃないかな…と思ったのだが、それは考え違いで。
意外にもキョウジュとマックスは首を縦に振った。


「そういうことなら任せてヨ!」

「勿論協力させていただきます!」


ここに、"アヤとレイをくっつけ隊"が結成した。
名前が恥ずかしいと感じるのは、私だけなのだろうか。
そんなヒロミが聞けば「どうでもいいわよ」なんて言いそうなことを考えていると、カイがこちらへやって来た。


「あら、もしかしてカイも"アヤとレイをくっつけ隊"に入りたいの?」

「…馬鹿か。あいつらのベイバトルが終わった。多分こっちに来るぞ」

「わざわざ教えに来てくれるなんて…カイも優しくなったわね」


ヒロミの冗談を無視して、カイは私の目の前へ歩み寄ってきた。


「隣、座るぞ」

「え、あっどうぞ…!」


この間のようにまたスペースが空くかなと思ったが、前よりもカイとの距離が近くて。
何だか嬉しくなって、足と両腕を組んで目を瞑っているカイのことをじっと見つめた。


「ちょっとアヤっ、見つめる相手が違うでしょ!ほら、レイが来たわよ」

「えっ、本当!?」


ヒロミの声にハッとなって、顔をカイから先ほどまでベイバトルをしていた方へと向ける。
するとヒロミの言った通り、タカオとレイが喋りながらこちらへ歩いてきた。
楽しそうに笑うレイについつい見惚れてしまっていると、私の視線に気付いたのかレイがこちらへ顔を向けた。


「アヤ、どうかしたのか?」

「あ、ううん。なんでもな…」

「なくわないわよね、アヤ?レイのこと、かっこいいなって見てたのよねー」


ヒロミがにっこり笑顔で、そう私の言葉を遮った。
否定したいけれど、怖くてできない。
ちらりとレイを見てみれば、ポカンとした表情をしていた。
何だか恥ずかしくなってきて、顔を下に向ける。
するとポンっと、頭に手を置かれ優しく撫でられて。
ゆっくりと顔を上げると、口元を少し緩ませたレイが目の前にいた。


「ありがとな、アヤ」

「え…?」

「さっきのベイバトルで俺がタカオに勝ったとこ、見ててくれてたんだろ?」


嬉しそうに笑うレイに、ヒロミが大きく溜め息をつくのが見えた。



鋭いようで鈍いあなた
(ていうか最近、タカオ不調だよね)


20110104




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