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--柳side--


「仁王君の髪、すごく綺麗だね」
「そ、そんなことなか。白神サンの髪のが綺麗じゃろ?」
「私は何もしてないもん。こんなに染色してるのにサラサラなんて、丁寧にケアされてる証拠でしょ?」


プリッ、といつも通りの擬音を立て照れをごまかしているつもりなのかは知らないが、首まで赤くなっているその姿では詐欺師の面目は丸つぶれだな。

2人の様子を観察しながらそんなことを考えていると仁王がゆるゆると口を開いた。


「白神サンは、ここで1人なんか?」
「ううん、いつもジャッカル君と一緒だよ」


再び発された仲間の名前に、仁王と視線を合わす。


(…感じたことは同じようだな)


「…もうすぐ来ると思うけど、お昼一緒にどう?」
「いや、我々は遠慮しておこう」
「真田に呼び出しくらっとるんじゃ」


そうなんだ、と納得した様子の白神に別れを告げて仁王と2人歩き出す。


「…どう見る?」
「どういう感情かは知らんが、あんな大事そうにジャッカルの名前を呼んどる空気がある中、邪魔なんかできんぜよ」


白神の元から離れて自然と話題にでてきたのはお互いが感じたこと。人の感情の動きには敏感な我々が感じとったものはやはり同じだったようだ。


「…彼女からあれほどの感情を向けられる人間がいるとはな」
「しかもジャッカルとか、意外すぎじゃ」


名前一言でも溢れるくらいに感じ取れた“特別”という気持ち。


「…参謀は、どうなんじゃ?」
「どう、とは?」
「わかっとるくせに。…ブン太と赤也は本気で狙うらしいぜよ」
「ほう。…お前こそ、どうなんだ?」
「んー…どうじゃろな」


笑ってごまかす仁王に溜め息をつく。


「…まあ、幸村からのプレッシャーを受ける覚悟があるなら本気になってみるのも面白いかもしれないな」
「白神サンを傷付けんでジャッカルの邪魔するんは難しいっちゅうのがようわかったけどの」


仁王の言葉に思わず笑みが零れる。


(本気になってみるのも面白いが…、)


恐らく同じことを考えている仁王と目が合う。


一番良い立場で見守ってみるのも、面白いかもしれないな。


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