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朝、校門に近付いて気が付いた。
(あ、今日風紀検査だった…)
毎回風紀委員の人からびくびくしながら形ばかりの検査をされてきた。それが申し訳なくて今まで風紀検査がある日は風紀委員が校門に立つより早い時間に登校していた。
(バタバタしててすっかり忘れてた…)
風紀委員の方ごめんなさい、と心の中で謝りながら校門に目を向けると、見覚えのある姿がありました。
「真田君と、柳生君…?」
「白神さん?おはようございます」
「む、早いな白神。」
「おはようございます。…二人とも風紀委員だったんだね」
「はい。そういえば、白神さんを風紀検査でお見かけするの初めてですね」
「あはは、そうかも」
風紀委員の方に申し訳なくて、なんて気を遣わせるようなこと言えません。
「えっと、検査してもらってもいい?のかな…?」
2人に気を遣わせないためにと考えながら恐る恐る尋ねてみると、2人ともピクッと反応した。
あ、やっぱりだめなんでしょうか…?
「いいのか?」
「え?うん、私だけ検査されなくていい理由なんてないよね?」
「…わかった。柳生は服装を調べてくれ。白神、鞄を開けてもらおう」
「はい、どうぞ」
真田君に鞄を渡し、柳生君の方に向き直ると同時に周囲のざわめきが聞こえた。
『え、白神様が風紀検査受けてる!?』
『白神様の荷物見るとか失礼すぎるだろ』
『っていうか真田達と普通に話してなかった!?』
『え、どうなってんの!?』
思わず苦笑を漏らしていると、気まずそうな柳生君の姿が目に入った。
「…気になる?」
「白神さんは、気にならないのですか?これほどの視線があるのに」
「うーん…、慣れちゃったかな?嫌悪の視線じゃないって分かってるからかも」
笑って答えると、柳生君からも曖昧な笑みが返ってきた。
「服装は問題ありませんよ」
「持ち物も問題なしだ」
「うわー、流石紗弥先輩!」
「え!?…赤也君?」
「おはよーございます!」
ニッと笑いかけてくる赤也君に驚いていると、後ろからジャッカル君達が歩いてくる姿が見えた。
(…?ジャッカル君、なんか元気ない?)
「紗弥!はよーっ!」
「白神サン、おはよ」
「あ、おはよう」
丸井君達に挨拶を返してからジャッカル君の方に振り返る。
「ジャッカル君、おはよう」
「ん?ああ、はよ」
ジャッカル君から返ってきたのは苦笑混じりの挨拶だった。
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