02




「あはは、恥ずかしいんですけどね」


きっかけは同情でした。なんて、どれだけ寂しい人なんだって話ですよね。


「同情って…、ジャッカルが白神様に…?なんで…」
「えっと…、私が授業で教科書を忘れちゃったことがあったんです」
「「「え!?」」」
「え?」


…その反応は、やっぱり教科書を忘れるイメージがないってことなんですかね?そういえばジャッカル君もそうだったもんなあ…。
イメージを壊さずに美人さんでいるのって、やっぱりどうしていいかわからない。


「…白神様でも、忘れ物とかするんじゃの…」
「どなたかにお借りしなかったのですか?あなた程の方なら、皆喜んでお貸しすると思うのですが」
「あはは、その時ジャッカル君にも、言われました。…でも、その時の私にはそういうことをお願いできる友達なんて一人もいなかったんです」


あの時はあれが当たり前だと思っていたけど、今思い出すとやっぱり寂しい人みたい。
それほどまでに、私はジャッカル君のおかげで人の温かさを知ったんですよね。


「そう言った時、ジャッカル君が友達になろうって言ってくれたんです。頼っていい、って。…それが、本当に嬉しかったから」


思い出していくうちに自然と笑みが零れる。
あの日は、私の一番の宝物。


「…白神様って、近寄っちゃいけない人かと思ってた…」
「え!?そ、そんなことないです!ジャッカル君のおかげで、I組の人達とも仲良くなれて…。だから、ジャッカル君には感謝してもしきれないんです」


なんだか気恥ずかくなってごまかすように笑うと、不意に袖を軽く引っ張られるのがわかった。


「…仁王君?」
「のう、白神様。つまり、白神様は友達がおるのは嫌じゃないんじゃな?」
「え?…うん、もちろん」
「じゃあ俺とも友達になってくれるんかのう?」


え…?


「仁王ずりぃ!!お、俺も友達になりたい、です!!」
「よろしければ私も、親しくしていただきたいのですが…」
「我々もそれを希望します。なあ、弦一郎?」
「うむ。お願いしたい」


どういう状況なんだろう…。え、友達?私が…?


「え、と…。いいの…?」


困惑しながら顔を上げると、幸村君と目があった。


「俺も、いいですか…?」


恐る恐るといった表情で尋ねてくれた幸村君に少し驚いていると、全員の視線を感じた。


「あ、えっと…っ。…私でよければ、お友達、お願いします」


ジャッカル君と関わってから、どんどん世界が広がっていく。

やっぱりジャッカル君はすごいです。



prev next