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--幸村side--

「ご、ごめんなさい…」


何が起きているのか、頭がついてこない。

ジャッカルを問いただすだけのつもりが、赤也が白神様を連れてきた。

そして今、ジャッカルは白神様のお母様に連れられて、白神様が俺の病室に残されてる…?


「あ、の…。母が適当なこと言ってごめんなさい」
「い、いえ!!全然大丈夫です!!」


白神様に謝らせるなんて何をやってるんだ…!


「でも…。やっぱり、私戻りますね?」


苦笑しながらドアに向かおうとする白神様に慌てる。


(次会えたらちゃんと話すって決めたじゃないか、こんなチャンスないのに…!)


でも、なんて言って引き止めればいいんだ…?


「えー?紗弥先輩帰っちゃうんスかー?」
「え?」


俺の勇気をなかったものにするかのように、赤也の声が響いた。


「紗弥先輩のお母さんとジャッカル先輩が喋ってるんでしょ?じゃあ俺らもお喋りしましょーよっ!」
「え、でも…」
「いいッスよねー?先輩!」


赤也の声に全員が一斉に頷くと、白神様はようやく安心したような笑顔を見せてくれた。


(かわいい…っ)


赤也ナイス、と思ったけど、いざ引き止めてしまうと何を話していいのかわからない。それは他の奴らも同じようだった。


「紗弥先輩って、ジャッカル先輩と友達だったんですねー」
「うん、そうだよ」
「なんかすっげー意外ッス!」
「そう、かな…?」
「なんで友達になったんですか?」


この病室にこれだけ人がいるのに、赤也と白神様の声しか聞こえないなんて。
俺も含めて情けないな、なんて思っていると、赤也が一番聞きたかったことを聞いてくれた。


「えっと、ね。最初は多分、同情で友達になってくれたんだ」


照れたような笑いを零しながら白神様が発した言葉に、思わず耳を疑った。


「同情…?」


あ、柳達も同じだったんだ。みんな目を見開いて、今まで一言も喋らなかった口から無意識だろう言葉が出ていた。

だって、あのジャッカルが、こんなに完璧な白神様に同情なんてありえないだろう?



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