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この視線はどうしようもねえな。どうせさっき話す予定だったんだ。


「あー…っと、幸村」
「……え?」
「紗弥とな、友達になったんだ。俺だけじゃなくて、I組全員」


ピシリと固まった空気に、I組の連中に友達になったことを報告した時にはなかった緊張感が漂う。

全員が無言になってどうしようもなくなった時、動いたのは紗弥だった。


「えっと、幸村君…?皆さんで楽しんでるところに、いきなりごめんなさい…」
「〜〜っ、ぜ、全然、大丈夫です!!」
「しかも何もお見舞い持ってきてないし、気がきかなくて、いや、お邪魔するなんて思わなくて…っ」


紗弥がパニックになってる。
放って固まってる場合じゃなかったな。


「紗弥、大丈夫だから。赤也が無理矢理引っ張ってきたのは見りゃわかるし」
「ちょ、俺が悪いんスかー!?」
「で、でも…。…えっと、幸村君、体調はどうですか?…って昨日会ったのに変だよね、お見舞いってよくわかんなくて」


ふわっと笑いながら尋ねた紗弥に、幸村が真っ赤になった。


「だ、大丈夫、です」
「ほんと?よかった!ジャッカル君に幸村君のテニスはすごいって聞いて、見てみたいなって思ってたんです。無理せずしっかり治してくださいね。完全復帰した時に、テニスしているところ見てみたいです」


(見舞いが良くわからないって嘘だろ…)


プレッシャーをかけるわけでもなく、幸村が喜ぶ言葉をかけられる。
…まあ、幸村は紗弥からなら何言われても嬉しいだろうけど。
実際どんどん真っ赤になっていく幸村が見える。


「え、と…。みなさんも、突然お邪魔してすみませんでした」
「「「い、いえっ」」」
「初めまして、の方がほとんどです…よね?ジャッカル君と同じクラスの白神紗弥と言います」


…それは言わなくても大丈夫だと思うけどな。


「「「し、知ってますっ」」」


……ほらな。


「えっと、ジャッカル君と仲良くさせてもらってて、ここに来たのは赤也君とさっき知り合ったからで…」


ん?なんか言い訳始めたみたいになってんぞ?


「…紗弥?誰もここに来たこと責めてないぞ?」
「で、でもやっぱり迷惑だし…っ」
「むしろ嬉しいって。なあ、幸村?」
「え!?あ、うん…じゃない、はい!!」


全力で頷いた幸村に、紗弥はようやく安心したように笑った。



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