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掃除が終わって紗弥と一緒に学校を出た。

学校を出たところでブン太からケーキ買って来てとメールが入り、紗弥にそれを伝えた。


「じゃあ、美味しいお店があるよ」


俺の都合で振り回すのに、紗弥は笑って店まで提案してくれた。
その店は病院へ行く途中の道から少しだけ逸れた所に存在した。


「こんなところあったんだな」
「すっごく美味しいよ!みんなの口に合うかはわかんないけど…」
「いや、上手そうだぜ?ブン太も幸村たちも喜ぶな」
「ほんと?よかった!」


嬉しそうに笑う紗弥は、まるで親に褒められた子供みたいで、微笑ましくてつい笑いが零れた。


「…なんか、不思議だね。ジャッカル君と学校以外の場所で喋ってるの」
「確かにな」


紗弥の言葉に同意しながら、今の状況を思い出してみた。

2年までは、一生関わることのない人と思っていた。

3年になって、クラスが一緒になって、席まで隣になって。
“友達に”なんて図々しいと思ったけど、あの日勇気を出して本当によかったと思う。

あの日、こんな風に学校以外の場所に2人でいるなんて考えもしなかった。


「紗弥、何時まで病院にいるんだ?」
「えっと、多分面会時間ギリギリまでいるよ?」
「じゃあ帰り待っとけ。送るから」
「え!?そんなのいいよ!?」


予想通りの返答に俺は笑いながら言葉を返した。


「暗くなったら危ないだろ。俺もどうせギリギリまで幸村のとこいるし、な?」
「ジャッカル君、も、危ないでしょ?」
「あのなあ…。誰がこんな男襲うんだよ。黙って送らせてくれ」
「…じゃあ、駅まで、お願いできる?」
「おう」


申し訳なさそうに言葉を紡ぐ紗弥に、笑顔で答えた。


「じゃあ帰る時そっちに迎え行くな。幸村の部屋の隣だろ?」
「うん、えっと、ありがとう!」


綺麗な笑顔なのに、そこからはイメージできないいっぱいいっぱいの言葉に思わず笑った。

不思議がる紗弥と別れて、俺達はそれぞれの病室に入った。


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