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--クラスメートside--
おかしい。
紗弥がおかしい。
昨日の事情はジャッカルからクラス全員にメールで知らされた。
誤解だったこともわかって、普通に戻ったと聞いた。
なのに、
(なんなのこの状況は)
「紗弥、はよ」
「お、はよ…」
最近はみんなと話すことも慣れて、ジャッカル相手にならなおさら気軽に話していたのに
(なんでまた吃ってるの!?)
紗弥にちゃんと聞かなきゃ!!
『紗弥、ジャッカルとなんかあった?』
移動教室の間、朝からの疑問を伝えた。
…みんな頷くところを見ると、やっぱり私が気にしすぎなわけじゃないのね?
「…?何か、って?」
本気でわからないというように首を傾げる紗弥に、勘違いだったかもと思いつつ言葉を続けた。
『ジャッカル相手に、話すの緊張してない?』
「〜〜〜っ、」
ぴく、と肩を震わせて次第に顔を真っ赤に染める紗弥を見て、全員が顔を見合わせた。
「そ、んなに、わかる…?」
『…え、ちょっと、もしかしてジャッカルのこと…』
「ち、違うよ!?…そんなんじゃ、ない、とは思う、んだけど…」
みるみる真っ赤になって声が小さくなっていく様子を見て、私たちはゆっくり話を聞いた。
…要するに、昨日紗弥のお母様からジャッカルのことを無意識に好きになってると言われ、どう接していいのかわからなくなったらしい。
「ジャッカル君のこと、そんな風に見てないの。思ってないからこそ、わかんなくなっちゃって、そう見えるって言われて、人から見たらそうなのかなって思ったら、接し方わかんなくなっちゃった…」
今にも泣き出しそうなくらい震える声で話す紗弥を思わず抱きしめたい衝動に駆られた。
……とりあえず、お母様ナイスすぎます!!
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