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「毎日見舞いに行くのか?」
「うん。父はお店あるし、荷物運んだりしなきゃいけないから」


あれから目が覚めると放課後で、ジャッカル君に謝ると笑って頭を撫でられた。
…なんでこう、いちいちときめく行動がとれるんですか。


「大変だな。病院って、どこだ?」
「金井医院って、わかる?」
「え、」


病院名を出すと突然ジャッカル君が固まった。


「…幸村と同じ病院か…」
「幸村君って、部長さん?」
「ああ。…まあ会うことはないだろうけど」


それだけ言うと、気をつけてな、と笑ってジャッカル君は部活に行ってしまった。





「お母さん、大丈夫?」
「あら、紗弥。荷物わざわざありがとね。家のことも紗弥に任せちゃって、ほんとごめんね」
「全然大丈夫だよ」


軽く笑って答えると、スッと手が顔に伸びてきた。


「…お母さん?」
「嘘つきね。こんなに隈作っちゃって。綺麗な顔が台なしになっちゃうじゃない」


むう、っと頬を膨らませて話すお母さんに思わず笑った。

可愛い人ですね、ほんとに。


「本当に大丈夫だよ。さっき眠ったんだ」
「あら、家以外で眠るなんて珍しいんじゃない?」
「うん。ジャッカル君のおかげでね」


先程のことを話すと、お母さんは目を見開いたり笑ったり。
…忙しいなあ。


「紗弥って、ジャッカル君のこと好きだったりしないの?」
「…えっ!?」
「普通の女子中学生が、そんなことされたら普通は落ちるわよー?ときめくポイントが多過ぎっ!話を聞いてるだけで私もきゅんってくるもの」


何を勝手なことを。
…いや、確かに私もかなりときめきましたけども。


「わかん、ない」
「…紗弥は今まで人と触れ合うことが極端に少なかったからね。でもきっと、ジャッカル君を好きになるわね」
「…なんで?」
「中学生の恋愛なんてね、格好いいーって始まるのよ。だからそんな時期に外見以外で素敵なところがいっぱい出てくる人がいるなんて、本気で好きにならないわけがないじゃない」


そういうもの、ですかね。
お母さんが言った通り、人との接し方をまだ思い出せてないから全然わからない。


「無意識のうちに、もう紗弥は好きになってると思うけど」
「…えっ?」
「ジャッカル君のこと話す時、幸せそうよ?最近できた他の友達の話をする時と表情が全然違うもの。あとは、あなたが自覚するだけね」


微笑みながら告げられたことに、頭がついていかなかった。

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