05



「あ、あの!!テニス部に何かご用、ですか!!」
「えっと、ジャッカル君に渡すものがあって…」
「ジャ、ジャッカル!?あ、そっか、同じクラスだから。いやでもわざわざ白神様がなんで」


ジャッカル君の名前を出すと目の前の彼は一人で慌てたように何かを呟き始めてしまった。


(…そういえばこの人は)


「…丸井君?」
「〜〜っ、ぅえ!?な、なんでお、俺の名前!?」
「やっぱり、丸井君なんですね。ジャッカル君から話聞いてて、もしかしてって思ったけど」
「ジャッカルから!?え、何をなんで…っ」


名前を呼ぶと丸井君はビクッと肩を揺らして驚いていた。
…昼間ジャッカル君から話聞いていてよかったです。


「〜〜っ、白神さ「紗弥!?」…ジャッ、カル?」
「ジャッカル君!」


丸井君が何かを言いかけた時、ジャッカル君が驚いた表情でこちらにやってきました。


「…っと、ブン太もいたのか。…コートまで来るなんて何かあったのか?」
「あ、あのね!!先生にノート渡すように頼まれたの」
「ノート?…ああ、悪い。わざわざありがとな」
「ううん、大丈夫だよ」


(…というか、ジャッカル君テニス部のジャージだ…)


初めて間近で見る芥子色のジャージは、色黒のジャッカル君にとても映えていた。


「…紗弥?」
「あ、ごめん!!考え事してた」
「考え事?」
「うん、ジャージ姿初めて見るなあって」
「…あ、そうなのか?」


まあコートに近寄らなかったら見ないよな、と笑うジャッカル君に向かって、もう一度口を開いた。


「すっごく似合ってるねっ、見れてよかった」
「…っ!?え!?」
「先生に感謝しなきゃだね。…えっと、それじゃあ私もう行くね」


ばいばい、と手を振ってテニスコートを後にした。

テニスしている所ではないけど、いつもと違うジャッカル君を見れて嬉しかった。
ほんと、ノート忘れてくれた先生に感謝ですね。


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