15



「……え?」
『や、やばい!!え、白神様ってそんな感じ!?』
『ジャッカルが言ってたのってこれか!!うわっ、なにそのギャップ!!』


驚きと嬉しさから一生懸命喋った直後、皆さんの様子が一変しました。
え、何この状況。


「あ、あの…?」
『白神様っ!!改めて、お友達になってくれますか!?』


聞かれた!!…友達って、夢じゃないんだよね。女の子の友達なんて、断るわけないじゃないですか。


「…っ、はいっ」


ああ、口元が緩む。
ジャッカル君が話しかけてくれてから、良いことしかないんですけど。

14年間友達がいなかった私に、2日でこんな幸せがくるなんて。


『…なにこれ、白神様って小動物?』
『めちゃくちゃ癒し系じゃん!!キュンキュンくる!!』


嬉しすぎて皆さんが何を言っているのかは聞こえなかったですけど。
ジャッカル君と友達になれた時は、生まれ変わってから一番幸せだと思った。

だけど、やっぱり私はただの女子中学生で。
同性の友達が欲しくないわけがなかったんです。


『…あの、何て呼べばいいですか?』


恐る恐ると言った感じで聞かれたことに、思わず戸惑った。


(…様付けじゃなくなる?呼び方まで変わるんだ…)


図々しいかもしれないけど、名前で読んでほしい。
前世でそうだったように、女の子と笑いあいたい。


(…っでも、それを私から言うのってどうなのかな。ていうか私は喋っちゃうと本当にこの容姿のキャラ崩しちゃってるよね…)


『あのっ』


一人悶々と考えていると、声があがった。


『ジャ、ジャッカルみたいに、名前で呼んじゃだめですかっ』


早く答えないから気を使わせたのか、とかいろんなことが頭を巡りましたが、そんなことはどうでもいいです。


「い、いいんですかっ!?」
『へ?』
「名前、嬉しいです」


どんどん自分の顔が綻んでいくのがわかる。でも、とまらない。


「もし、嫌じゃなければ、敬語もなくしていただけますか…?」


勇気を出して聞いてみた。
私、すごい進歩じゃないでしょうか。


『〜〜〜っ、紗弥っ!!よろしくっ!!』
『あーもうっ、可愛いっ!!』
「へ?うわっ」


なぜか皆さんから抱き着かれました。
でも全然嫌じゃないですけど。


「…よろしくねっ」


昨日から、笑顔が多い気がします。

prev next