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--クラスメートside--
やばい、やばい、緊張する!!
雰囲気柔らかいとか誰が言ったの。何この神々しさは。
女子20人くらいいるのに全員緊張で顔引き攣ってるし、無言だし。
流れで白神様が昼休みに使ってる、中庭近くのベンチに行くことになったけど、それってあり!?昼休みは立入禁止が暗黙の了解だった場所よ!?
あ、もうすぐついちゃう。ついたら、話さなきゃダメよね?しかもいきなり恋愛の話持っていくってどうなの?ありなの?
「……あ、あのっ」
着いた、と思った瞬間にあがった声。
全員が固まった。
こんな綺麗な声を出すのは、一人しかいないじゃない。
こちらから誘っておいて、白神様から話しかけてもらうですって?もしかして、無言に気を使わせてしまったの?
(それ、最悪じゃない……!!)
他のみんなも同じように考えたのか、顔が青ざめていた。
「あ、の…。迷惑、ですよね。でも、ジャッカル君は私に気を使ってくれただけで、誰にでも優しい人だと思うし、皆さんが迷惑って思われるんなら、離れますし、だから、その…っ」
焦ったように話す白神様に驚きつつ、パニックになりかけた頭を整理した。
『…えと、なんの話、ですか?』
多分整理しきれなかったのだろう。一人の子が恐る恐る声を出した。
「?…人気者のジャッカル君に近付かないで、ってお話をされるんですよね…?」
首を傾げる白神様可愛すぎる!!
ってそうじゃなくて、
『な、何それ!?違いますよ!!』
「え、そうなんですか?」
『わ、私たちは、白神様とお話がしたくて…!!』
まあ内容はジャッカルについてですけども!!
え、私たちもしかして教室からずっと不安にさせてたの!?ありえない、やらかしすぎでしょ!!
っていうか、ジャッカルが人気者で近付かないで?白神様自分の存在わかってらっしゃる!?
「そ、そうだったんですか」
『『『はい!!!』』』
全員が全力で頷いた。
その迫力に圧倒されたのか、白神様は大きな目を瞬かせた後、ふんわりと微笑んだ。
「…よかったです。私でよければ、皆さんとお話させてください」
……その笑顔にその優しい言葉は反則です、白神様。
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