07



昨日までは気付かなかったけど、今日気付いたことがある。

紗弥は意外と…
なんというか、抜けているし、完璧じゃない。


(あ、また…)


先程から頭がふらふらしている。欠伸をする姿も見かけたし、何度も眠そうに目を擦っている。


(もしかして今までもこんなことあったのか…?)


前程緊張しないで接しているからか、今まで見えなかった部分まで見える。
というより、なんで気付かなかったんだろう。先入観マジック?


「…おい、紗弥?」


小声で話しかけると、紗弥はピクッと動いて目を覚ました。


「ん…、…うわ、うとうとしてた…」
「眠そうだな?なんかあったのか?」
「…多分、昨日両親と遅くまで喋ってたから、かな?」
「でももう4限だぜ?3限までは平気そうだったけど…」


そう尋ねると、紗弥は苦笑いしながら口を開いた。


「歴史ってどうしても…。普段だったらノートとって目覚ますんだけど、今日ビデオでしょ?手を動かさないとついうとうとしちゃって…。しかも習った範囲のビデオだし…」


驚いた。そんな風に授業受けてたのか。
俺らと何も変わらないじゃないか。


「じゃあ、寝とくか?」
「え?」


紗弥は心底驚いた表情を見せた。


「机に伏せて寝とけ。先生が見てたら起こすから」
「え、でも」
「大丈夫だって、授業終わったらちゃんと声かけるし」
「そ、うじゃなくて」
「…っていうか、フラフラしてると危なっかしくて見てらんねえからちゃんと寝てくれ」


な?と紗弥の頭をポンと撫でた。

紗弥は一瞬固まった後に、顔を赤くして「ありがとう」と小さく呟いて顔を伏せた。


(……顔を赤く?なんで…)


ふと考えて、自分のした行動を思い出した。


(…うわ、俺やりすぎた!?)


仲良くないと頭撫でたりしないよな…
赤也とかにもやっちゃうし、癖になってた。紗弥は赤也とは違うだろ!
不快な思いさせたり、は多分してないと思うけど、うわあ、何やってんだ俺…。

自然と顔が赤くなるのを感じ、寝させてよかったと心の底から思った。


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