06



(……えっと)


朝教室にいると、いつもとは違う視線をたくさん感じます。
正しくは昨日も視線を感じたのですが、昨日は落ち込んでそれどころではありませんでした。


「お、紗弥。おはよう」
「ジャ、ジャッカル君。おはよ」


朝練後だと思われるジャッカル君が挨拶をしてくれました。
…こんな軽い挨拶いつぶりでしょう。


『…っジャッカル!!ちょっと!!』
「ん?なんだ?」


ジャッカル君は鞄を下ろすとクラスのみなさんの方に行かれました。


(…仲、良さそうだなあ)


なんだか昨日から、私は随分図々しくなってしまったようです。
羨ましい、なんて。



―――――――――


「なんだよ?」
『おまっ、あれどういうことだよ!?』
「あれ?」
『白神様の名前呼び捨てとか、気軽に話すとか!!』


小声で叫ぶという器用なことをするクラスメイトの言葉を理解し、思わず笑った。


「友達になったんだよ」
『『『友達ぃぃ!?』』』
『ちょ、そんなこと許されるの!?』
『あの白神様よ!?』


思った通りの反応に苦笑しながら、俺は言葉を続けた。


「俺なんかの小さい存在の奴が隣にいたところで害もないだろ?そんなことで崩れるような人じゃねえし。それに、少し話したら友達として支えてやりたいって思えたんだよ」


俺の言葉に全員がシンとして顔を見合わせた。


「お前らも話してみろよ。意外と可愛い人だぞ?」
『か、可愛いことくらい見たらわかるだろ!?』
『まあどっちかっていうと綺麗だけど…』
「あー、そういうことじゃなくてだな。…まあ、話してみたら俺の言ってることわかるって」
『『『む、無理!!!』』』


……まあそうなるわな。
恐れ多い存在なわけだし。


「まあ、そういうことで友達になったから」


呆然としている奴らを置いて、俺は一人で座って外を眺めている紗弥の元へと歩いた。

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