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ジャッカル君から素敵な笑顔で名前を呼ばれて数分間。


なんだか付き合いたてのカップルみたいなぎこちなさです。ジャッカル君少し顔赤いし、多分私も顔赤い。

間違いなく原因は私なんですけどね、はい。

だってわからないんですよ、どうすればいいのか。友達って、どうするんでしたっけ。

先程からジャッカル君が頑張って話を振ってくれるんですけど、私の吃り具合と言ったら…。

困らせてますよね、ほんと申し訳ない。
外見だけ綺麗でも、会話もろくにできないのかよ、とか思われてたらどうしよう。


「…紗弥って、頭良いんだよな」
「……え?」
「え?じゃなくて。今のプリントも、教科書で確認しなくてもさっさと埋まってただろ?」
「そ、そんなことないよ?授業で説明したばっかりのとこ、だったから…!!」


頭良いとか、初めて言われたんですけど…!どうしよう、こういう時はなんて返せばいいんですか!?

自慢じゃないが私の頭は悪い。
前世の成績は中の下だった。
…本当に自慢じゃないですね。

公立の中学だったから追試とかの制度はなかったけど、高校とかでいう赤点ギリギリの成績だった。

この容姿になって、これで馬鹿はない…!!と思って必死に勉強しただけ。

勉強できない人っていうのは、基礎の基礎で躓いているだけなのは十分理解していた。
もういいや、ってなっちゃうんですよね。

反対に勉強できる人っていうのは、きちんと一から勉強してる。
だから私は基礎を馬鹿にしないことだけを心に決めていた。

前世の私は小学3年生の掛け算割り算辺りから、『電卓使えばいいんだよ』とか勉強を放置しちゃう子供だった。

どこで大事なことが抜けているかもわからないと、小学1年生の基礎の基礎も馬鹿にしないでしっかり聞いた。

ひとつひとつちゃんと理解していけば、前世であれだけできなかった勉強もできた。

それでも時間はかかるし、今までは前世の知識も多少はあったからどうにかなっただけ。

今年、死んだ年と一緒になった今からはどうなるかわからない。

頭のつくりが変わったわけではないから、ジャッカル君の言葉に返す答えは『NO』だ。



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