06
俺の言葉に目を丸くして、彼女はこちらを見つめていた。
「……とも、だち?」
「ああ、友達!折角クラス一緒で、席も横なんだ。立海に友達がいないなら、俺が最初の友達になる。嫌じゃなければ、だけど」
正直何言ってんだ、って自分でもわけがわからなかった。
こんなすごい人に、俺なんかが何言ってんだって。
(でも、俺なんか、だから言えることだ。万が一にも彼女みたいな人と間違いがおこることはない。そんなのは他の輝いてる奴らに任せる)
彼女を、助けられる存在になりたいと思っていた。
「……いい、の?」
「…っ!当たり前だろ!?いつでも気軽に話せて、頼ることができる存在になるから!!」
戸惑いを隠せないといった表情をする彼女に、おれは勢いよく返事をした。
「友達…、とか、いつぶりだろう…」
だんだんと顔が綻んでいく白神さんを見て、肯定を示すものなのだと嬉しくなった。
「……よろしく、お願いします。桑原君」
向けられた笑顔は綺麗すぎて、思わず躊躇しそうになったけど踏み止まった。
「友達、なんだからさ。敬語やめようぜ?あと、ジャッカルでいいよ。桑原って、なんか違和感あるんだ」
図々しいかな、とも思ったが、最初が大事だ!と自分に言い聞かせた。
「……っ、うん。よろしくね、ジャッカル君」
いっぱいいっぱいな感じで話す白神さんに喜んでいると、彼女はもう一度口を開いた。
「あ、えっと、あのね!私も、紗弥で、いいよ!」
真っ赤になりながら話す彼女に、俺は思わず目を見開いて腕で顔を覆った。
(〜〜っ、誰だよ綺麗で完璧な人なんて言った奴は!!なんだこれ、可愛い小動物じゃねえか!!!)
これがギャップというものなのか。
美人は3日で飽きるとかいう言葉があるが、彼女には当て嵌まらないらしい。
なんで今まで話さなかったのかが悔やまれるくらい、短い会話の中から次々と魅力が出てくる。
(絶対、俺が守る)
「ジャッカル君…?」
心配そうにこちらをみつめる彼女の方に向き直り、思いっ切り笑いかけた。
「よろしくな、紗弥!!」
▼