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あの衝撃から早14年が経ちました。
あの日、期末考査が終わって部活もしてない私は一夜漬けで寝不足の体を引きずって帰宅していました。
そんな時、ぼうっとした頭に、急に可愛らしい鳴き声が響きました。
視線を横に向けると、真っ白のふわふわした子猫が。
道端にしゃがみ込むのは普段だと多少躊躇するものですが、何しろ働いてない思考。共にくる寝不足による疲れが、何よりも癒しを求めておりました。
……とかいろいろ言い訳を並べましたが、単に無類の猫好きなんですよね、私。
だからもう、一撫でしてしまえば理性なんてありませんよ。夢中で撫で続けました。
他の情報をシャットダウンして、そりゃもう夢中で。
突然猫が跳び上がって走り去った時にはもう遅く、次の瞬間には私は地面に叩きつけられていました。
朦朧とした意識の中で入ってきた情報では、どうやら居眠り運転で歩道に突っ込んだらしいです。
夜中や早朝ならまだしも、午前中で試験が終わった私が帰宅する時間。
そんな時間に居眠り運転て、どういうことですか。
そんなことを考えているうちに、私は完全に意識を手放しました。
そうですね、両親や友人にお別れを言えなかったのはとても残念です。
それでも、最後に大好きな猫に触れて死ぬことができたことはかなり幸せな死に方だったと思います。
これがもし校門を出た直後だったりしたら、悔いしか残っていません。
だってこれから先の進学や将来のために一夜漬けまでして体力を削った全てを無駄にして、完全燃焼したところで死ぬなんて。冗談じゃない。
そんな感じで、私白神紗弥は14年の生涯に幕を閉じました。
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