1万打 | ナノ







あ、なんか人がいっぱい出てきた。これ名前のクラスの人だ。


『名前、今日もジャッカルとお昼?』
「うんっ!」
『ジャッカルの奴こんな可愛い名前を独り占めとか狡いよねー』
「え、え?」
『お昼を邪魔する気はないからさー、今度うちらと遊び行こうねっ』
「っ!!ほんと!?…嬉しいっ」
『『『っ!!可愛いーっ!!』』』


本当だ。名前可愛いなあ。あのクラスの子達はみんな好き。あの子達といると名前がいつも笑顔なんだ。

もうお昼休みか。じゃあいつもの中庭に行かなくちゃ。

たくさんの生徒の間をくぐり抜けて走っていると、突然身体が浮かんだ。


『ミャッ!?』
「ちーじゃねえか。珍しいなこんなとこで会うの」


ジャッカルだっ!ジャッカルは大好き!名前と同じくらい好き!


「このまま一緒に中庭行くか」
『ミャア』


ジャッカルの腕の中で中庭に向かう。気持ちいいなあ。


「あ、ジャッカル君…って、ちーちゃんも一緒?珍しいね!」
「偶然あっちで会ったんだよ、な?」
『ミャー』


お昼休み。僕が1日の中で一番好きな時間。大好きな2人と一緒にいられるから。


「あのね、今日クラスの子達が今度一緒に遊びに行こうって言ってくれたんだ」
「お、良かったじゃねえか」
「うんっ!!…ジャッカル君とも、お出かけしたいね」
「っ、そうだな。今度どこか行くか」


人間は好き合ってたら付き合うんだって思ってたけど、この2人は違うみたい。僕は今までたくさんのカップルを見てきて、その誰よりも幸せそうなのに。好きっていろいろあるのかな?変なの。人間ってよくわかんない。


「ちーちゃんも一緒に学校の外行けたら楽しいよね」
「ちーも3人で出掛けるか?」


昔よりずっと幸せそうに笑う名前。その笑顔を作ってくれたジャッカル。友達が増えても、僕に変わらない愛情をくれる2人が大好き。

人間の好きって気持ちは僕には難しいけど、大好きな二人がどんな形でもずっと一緒だといいなって思う。


『ミャッ』
「へ?わ…っ」
「は?って、うわっ!」


飛び掛かった僕にびっくりして倒れかけた名前をジャッカルが支える。


「ご、ごめんねジャッカル君!!」
「え、あ、いや…っ、…ちーはいきなりどうしたんだ?」


真っ赤で困ったような顔。僕は気にしないふりをして距離が近いままの二人に同時にほお擦りをする。

離れないでね、二人はずっと一緒にいてねって。


恥ずかしさからか戸惑ったようにぎこちなく笑う大好きな二人を、僕はずっと見守っているから。








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