05
「先に飯食うか」
というジャッカル君の提案でファミレスに入った私達。
(ジャッカル君の誕生日に、しかも私から誘っておいてジャッカル君に任せきりって…)
遅刻はするし、わけのわからない言い訳するし、私は本当に何をやっているんでしょうか。
「…ファミレスとかでよかったか?」
「え!?あ、全然大丈夫だよ」
「そうか?…なんか紗弥とファミレスってミスマッチな感じがしてな」
苦笑しながら話すジャッカル君の言葉に思わず笑った。
「ファミレス、好きだよ?中学生のお小遣にも優しいし」
「…紗弥でもそんなこと考えるんだな。なんていうか、本当に中学生だよな」
「え?…そんなに老けて見えるかなあ…」
「ははっ、違うって。身近な存在で嬉しいってことだ」
身近な存在。この容姿を気にして、言動ひとつひとつに迷いがあったけれど、素に近い自分を嬉しいと言ってもらえるなんて前までは思いもしなかった。
…まあまだ全く自信はないんですけどね。
「なんか変な感じだな。紗弥とこうして出かけるの」
「あはは、そうだね。私服で会うのも初めてだよね」
「ああ。その服、すっげえ似合ってるな」
さらっと笑って言われた一言に固まった。
なんていうか、照れるんですけど…。
「ジャッカル君って、そういうのあっさり言えちゃうよね…」
「ん?何がだ?」
「…私が勝手に照れてるだけだから、気にしないでください」
うう…、顔が熱いです。そんな風に褒められるなんて、家族以外にされたことないですから。
「…大丈夫か?」
「大丈夫です。…ジャッカル君」
「ん?」
あれですよね。褒められたら褒め返すのが普通ですよね。
「ジャッカル君も、すっごく似合ってるよ。格好いいです」
まあこれは、お世辞でもなんでもなく本心なんですけど。
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