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放課後、担任から頼まれた仕事を終えコートに向かうと、元レギュラー陣の姿がなく、不思議に思いながら着替えようと部室を開けた時だった。


「「「ジャッカル誕生日おめでとう!」」」


大量のクラッカーの音と声に迎えられ、思わず目を見開いた。


「遅えぞ、ジャッカル!ケーキ食えないだろぃ!」
「理不尽なことを言うんじゃないよブン太。準備のためにI組の担任に俺達がジャッカルを引き留めるように頼んだんだから」


好き勝手に騒ぐブン太達を呆然と見ていると、不意に肩を叩かれた。


「悪いな。本来なら明日祝うべきだろうが、休みでは全員集まれなくてな」
「1日早いですが、誕生日おめでとうございます」


誕生日……?…ああ。


「今日2日か」
「なんだ、気付いてなかったのか?」
「日付感覚なかったんだよ」


やっと理解した状況に、ありがとな、と笑う。

そこでふと昼休みのことを思い出した。



『あ、明日って部活あるの?』
『ひ、暇だったらでいいの!もし暇だったら…、買い物に、着いてきてくれませんか…?』



珍しく、というより初めて紗弥と休みの日に出かける約束をした。

紗弥に誕生日を教えた覚えはないし偶然だとは思うけど、誕生日に紗弥と一緒にいれると思うとそれだけで嬉しくなってきた。


「ジャッカル先輩、なーににやついてんスか!!」
「はよ来んしゃい。ブンちゃんが既に半分以上ケーキ食っとるよ」
「俺が作ったんだからいいだろぃ」
「俺のために作ったんじゃないのかよ…」


誕生日前日は引退しても一緒に馬鹿騒ぎできるこいつらと、誕生日当日は大切な友人である紗弥と一緒に過ごせるなんて、今年はかなり幸せだと思う。


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