02


お参りを終え、閉じていた目を開くと隣にジャッカル君がいて、それがどうしようもなく安心した。


目を閉じている間考えていたことは、ジャッカル君と出会わせてくれたことへのお礼と今年の幸せ。


今の私はこんなに幸せだけど、4月までの私は一人ぼっちでした。14年間、一人でした。

そして14年前、大切な人達との別れもあって。人と離れることの辛さも、一人でいることの悲しさも私は知っていて。


なぜ私が死んで生まれ変わった世界がここだったのかはわからないけれど、大切に思える人と出会わせてくれた神様に感謝して、多くは望まないけれど、そんな人達と離れない幸せを願った。


だからこそ、隣にいてくれたジャッカル君に安心したんですかね。


「紗弥、寒くないか?」
「大丈夫だよ」


歩く途中で声をかけてくれるジャッカル君に笑って返事をする。


「ジャッカル君は、何をお願いしたの?」


ふとした疑問を投げかけると、ジャッカル君はごまかすように笑った。


「あー…ほら、願い事は口にだしたら叶わないって言うし、な?」
「え?あ、そっか」
「紗弥も真剣に手合わせてたな。大事な願い事だったのか?」
「え?……うん、すっごく大事な願い事」


私にとっては、何より一番の願い事ですよね。
頭の中で確認してこぼれる笑みを隠さずに頷く。



――ジャッカルはー!?
――どこ行ったんスかね!?
――ばかもん!!貴様らが走り出したりしたからだろう!!



――紗弥ー?
――紗弥どこ!?ほらやっぱり携帯持たせなきゃだめなんだよ!!
――あなたうるさいわよ?紗弥が嫌がっちゃうでしょう


「「………」」

「お互い相手来たっぽいな」
「あはは、そうみたい」


私を探すお母さん達の姿と、ジャッカル君を待つ丸井君達の大きな声に顔を見合わせて苦笑する。


「じゃあ、次会うのは始業式だな」
「そっか…、あとちょっとだね」


あと数日で冬休みは終わるのにそれすらも寂しく感じてしまうのは、私が人の温もりに依存してしまったからなのでしょうか。


「じゃあ、そろそろ行くか」
「うん。じゃあ、またね」


手を振って反対方向に歩き出してふと立ち止まって振り返る。

ジャッカル君の後ろ姿を見つけ少し大きめの声で名前を呼んだ。


「え、紗弥?」
「ジャッカル君!!…今年も、よろしくねっ」


大事な挨拶を忘れるところでした。そんなことを考えながら笑って手を振ると、目を見開いたジャッカル君は次第に笑顔になって手をあげてくれた。



きっと今年も、大事な人を大切にしたい気持ちは忘れない。



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