08
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「ああ!!雪積もり始めてるッスよ!?」
赤也の言葉に窓の外を見ると、いつの間に降り始めたのか確かに雪が積もりかけていた。
「神奈川で雪が積もるなんて珍しいですね」
「雪合戦しようぜぃ!!」
「は?」
飛び出して行った赤也とブン太に続き、ぞろぞろと全員が部室を出る。
最後に部室を出ることになった俺と紗弥は既にスポーツと化した雪合戦を眺めていた。
「悪いな、慌ただしくて」
「ううん、すっごく楽しいよ?」
苦笑する俺に対して紗弥は本心から笑っていた。
「ってか、その格好じゃ寒いだろ」
「え?」
部室に置いていた俺のコートを持ってきて紗弥の肩にかける。
「風邪ひいたらまずいからな、それ着とけ」
「あ、ありがとう…。ふふ、おっきいね」
その言葉に隣を見ると、袖も丈もブカブカなコートに身を包んでいる紗弥が目に入った。
(…なんか、俺またやらかしたんじゃないか?)
思わず視線を逸らした瞬間、頭に衝撃が走った。
「なっ!?」
「抜け駆けでイチャついてんじゃねえぞ!!」
「は、あ!?」
「ジャッカルも参加しろぃ!!」
容赦なく雪玉をぶつけてきたブン太に溜め息をついていると、隣から紗弥の笑い声が聞こえた。
「私のことは気にしないで参加してきてね?見てるだけで楽しいから」
微笑んだ紗弥に苦笑しながら謝って、雪合戦の方に向かう。
「ジャッカルに当ててやるぜぃ」
「はあ!?ふざけんなよ!!」
「ふふ、真田?俺に雪玉なんて当てれるとでも思ってるの?」
「む…っ」
「柳先輩!!俺が勝ちますからね!!」
「ふっ、お前のその雪玉が俺にぶつかる確率は10%にも満たない」
「仁王君!!真面目にやりたまえ!!」
「ピヨ、ただの遊びじゃろ」
雪合戦に本気になる俺らはすごいのが馬鹿なのか本当にわからない。
そんなことを考えていた時だった。
「幸村覚悟!!!」
真田のでかい叫び声が聞こえて力いっぱいの雪玉が幸村目掛けて投げられた。
流石、というかあっさり幸村は雪玉を避けたのだが、それが問題だった。
「危ねえ……!!!!」
雪玉の行方を見守ろうとした俺が目にしたのは、紗弥の姿だった。
俺の叫び声に全員が気付き青ざめた。
ドンッ
不幸中の幸いだったのは、距離が遠すぎて威力が落ちていたことだと思う。
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