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01


「…は?」


終業式を明日に控えて学校全体が浮足立っているこの時期。俺は間抜けな声をあげていた。


「だーから!!25日の部活のクリスマスパーティーに紗弥誘えって言ってんだよぃ!!」
「いやいや、意味わかんねえ」
「ジャッカル先輩、紗弥先輩をクリスマスに独り占めとかずるいッスからね!!」
「誰も約束なんてしてねえよ!!」


部室に入った俺を待っていたのは、ブン太と赤也からの意味不明な集中攻撃。その様子を他の奴らは笑いながら見ていた。

…嫌な笑い方だけどな。


「なんで紗弥を誘うんだよ」
「一緒にクリスマスを過ごしたいからに決まってるじゃないスか!!」
「もうクリスマスまで日がねえのに、急に誘っても来れるかわかんねえだろ?」
「そこをなんとかするのがジャッカルの役目だろぃ!?」


この2人に何を言っても無駄だ。そう思いながら助けを求めて部室を見回すと、笑顔の幸村と目があった。


「白神さんを誘ってくれたら、俺に黙って白神さんと友達になってたこと許してあげる」
「……はい」


なんで紗弥と友達になるのに幸村の許可がいるんだ、なんて当然の疑問は口にしない。

俺は溜め息をついてジャージに着替えた。





「今日で2学期も終わりなんだね…」


終業式も終わり、HRで通知表が配布されるのを待っていると隣で紗弥が呟いたのが聞こえた。


「…なんか寂しそうだな?」
「え?…うーん。寂しい、のかな?」
「なんでだ?」
「…今年が幸せすぎて、終わっちゃうのが寂しいの。3学期ってすごく短いし」


もっともっとみんなと一緒の時間が増えればいいのにね。眉を下げて恥ずかしそうに笑う紗弥を見て、昨日戸惑ったはずの言葉がするりと口を飛び出した。


「25日、テニス部のクリスマスパーティーにこないか?」
「……え?」


俺の言葉に紗弥は大きな目を更に開いて瞬きをした。


「…テニス部のパーティー、なんだよね?」
「ああ」
「じゃあ私が行くの、おかしいよ?」


困ったように笑う紗弥の言い分は最もだ。


「幸村達が紗弥も誘えって言っててさ」
「幸村君達?」
「ああ。だからそういうことは気にしなくていいぜ?」
「でも…」
「残り少ない中学生活の思い出作り、ってことでいいんじゃないか?」


その言葉に紗弥が戸惑いつつも揺れ動いているのがわかった。


「…俺も紗弥とクリスマス過ごせたら楽しいだろうなって思うぜ?」


昨日の話の時から密かに感じていた本音を口にすると、紗弥は嬉しそうに顔を綻ばせながら控え目に頷いた。



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