10
紗弥が寄りたいと言った公園に来て、ベンチに座って数分。
なんというか、紗弥が変だ。
ずっとそわそわしていて、無言になってしまっている。
「…紗弥?」
どうしようもなくなって名前を呼ぶと、ピクッと身体を震わせてこちらを向いた。
「…あ、のね?」
「ん?」
「今日、家にいれないとか言ったの、全部嘘だったの」
「…え?」
言葉の意味が理解できずに思わず聞き返した。
「嘘つくつもりとかなかったんだけど、なんて言えばいいかわかんなくなって、気が付いたらあんなわけわかんない嘘言っちゃってて、どうしようもなくなって…ごめんなさい」
「…ちょ、ちょっと待った。悪い、俺全然ついていけてない」
とりあえず家にいれなかったわけじゃないってことはなんとなく理解したけどな?と苦笑しながら伝えると、紗弥はまた小さな声でごめんね、と呟いて小さく深呼吸をした。
「…昨日ね、クラスの女の子達から、今日がジャッカル君の誕生日だって教えてもらったの」
「…え?」
予想外の言葉に思わず聞き返すと、紗弥はゆるりと微笑んだ。
「昨日初めて知ってプレゼントあげれないって落ち込んでたら、みんなが“明日買い物に誘って一緒に選べばいいよ”って言ってくれて。それで誘おうとしたけど、上手く理由付けて誘えなくて…変な言い訳になっちゃった」
あはは、と笑う紗弥の言葉に呆然としていると、目の前に紙袋を差し出された。
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