09


ジャッカル君の提案で並木道を通って帰ることになりました。

…浮かれてたの、バレバレだったんですかね。

少し恥ずかしくなりながらも、やっぱりライトアップされた道が綺麗でそちらに目が惹かれる。


「…わっ、すみません…っ」
『あ、ごめんなさい!!』


すごい美人な人とぶつかっちゃったんだけど…!!という声が後ろから聞こえてきた。

こうやってぶつかった時に慌てられるのも、その度に申し訳なさを感じるのも慣れてきましたね…なんて考えていた瞬間。


「……え?」


不意に手に感じた温もりに驚いて顔を向けると、そこにはジャッカル君の大きな掌が。


「ジャ、ジャッカル君!?」
「…危なっかしくて見てられないからよ。みんな上見て歩いてるし、またぶつかったら危ないだろ?」
「で、でもね!?大丈夫だよ!?」
「…嫌なら、離してくれていいから、な?」


苦笑しながらそう言ったジャッカル君の言葉に、思わず俯いてしまう。

…ずるいですよ、ジャッカル君。


「…いやじゃ、ないです…」


その私の言葉に、頭上から安心したような、それでいてからかっているような小さな笑い声が聞こえた。


(顔、熱いです…)


でもそれ以上に最初より力が込められた繋いだ手が熱くて、恥ずかしさをごまかすように私もゆっくりと手を握り返した。



(あ、まだプレゼントあげれてない…)


タイミングがなくて渡せなかったプレゼントが、私の鞄に入っている。


(ついでみたいに渡すんじゃなくて、きちんとおめでとうって言いたいな…)


そう考えながらふと前方を見ると、並木道から少し入ったところに公園があるのを見つけた。


「ジャッカル君。時間、まだいい?」
「ん?大丈夫だけど…どうかしたか?」
「そこの公園に寄ってもいい?」


少し緊張しながら公園を指すと、じゃあ寄って行くか、と笑顔で返してくれました。



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